見出し画像

サラリーマンの主張【創作】

ここは老舗の喫茶店。
レンガと木目で装飾された壁に、アンティークな西洋食器がかけられ、テーブルの脇にはくすんだ黄金色のブロンズの置き物。

名物は、ホイップクリームたっぷりのウィンナーコーヒー。
モーニング発祥の地で、長年続く個人店。

僕は、ウィンナーコーヒーのモーニングを頼み、一口目にホイップクリームの甘さを感じ、すすり続けると甘さが引いていき、ブラックコーヒーが口の中に静かに流れ込んで来る。
最初は心躍るほどの甘さなのに、後味はスッキリ。

そして、熱々のトーストをひとかじり。
小麦の香りが蒸気とともに鼻から抜ける。
小倉あんをトーストの端に乗せ、はむり。
ファーストバイトはトーストのザラリとサクリだが、二度目の咀嚼では舌で押しつぶされ、トーストからはみ出た小倉あんの甘さが波のように押し寄せる。

ここで、さきほどホイップクリームを退けた隙間からブラックコーヒーだけを慎重にすする。
甘さが喉へと流れ込み、良いリセットに。

一度、ここでお冷を流し、お口の中を次なる冒険に向けてリフレッシュ。
次は、トーストの端にあんこを乗せて、さらにウィンナーコーヒーのホイップクリームをすくってあんこの上に乗せる。
黒のメイド服に白のフリルをあしらったような、見た目からして絶対に合う! と思える、そのトーストの端っこにかじりつく。
あんこの「和」の甘さとホイップクリームの「洋」の甘さが下の上で混ざり合い、トーストを甘いカラーに染め上げる。
ごくりと飲み込み、もう一度、器用にブラックコーヒーだけをすする。

、、、幸せ〜。。。

途中で、ゆで卵の殻を綺麗に取るインターバルを挟んだあと、トーストとゆで卵を頬張り、朝食の味を楽しむ。

ゆで卵は好きだが、それ以上に、ここのウィンナーコーヒーと小倉トーストのハーモニーが好き過ぎて、熱量に差が出てしまう。

最後は、再び、ウィンナーコーヒーのトーストと小倉あんのルーティンをして、
最後に残ったコーヒーとホイップクリームを混ぜて、少し冷めたそれを飲み干す。
コーヒーゼリーを食べた。と舌が勘違いをしたあたりで、お冷を流し込む。

口の中に残っていた、甘さが消え、甘ったるさという言葉を使わずに、最後まで美味しい印象で終われる。


これが、僕の朝のルーティン。
支払いは、もちろんお店独自の珈琲チケットで。
顔馴染みの定員さんに挨拶して、今日も僕の深夜まで続く甘くない一日が始まる。。。。。。。


城連 株式会社(じょうれん かぶしきかいしゃ)
宇井名 浩平(ういな こうへい)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?