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シンプル世界史 1. うまれる

このnoteでは、世界史の流れを15の「輪切り」にカットして、シンプルに眺めていきます。


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【1】「考える」サルが生まれた


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われわれ人間は動物の一種だ。

科学者は、人間に遺伝的に近いサルたち(チンパンジー、ゴリラ、オランウータンなど)も含め「ホミニド」という呼び方をする。

しかし、ある時点以後、人間はまっすぐ立って二本足で歩くようになり、大脳が巨大化しはじめた。

チンパンジーやゴリラとは区別するべきだろうということで、科学者は彼らを「ホミニン」と呼ぶ。

現在もっとも古い「ホミニン」はサヘラントロプス・チャデンシスではないかと言われているが、彼らがまっすぐ立って二本足で歩いていたかも定かではないため確証はない。

突然変異が繰り返され、いくつもの「ホミニン」種が生まれたが、環境の変化や生存競争に負けて絶滅していった。

そして最後に生き残ったのが、われわれ人間だ。

学名は「ホモ・サピエンス」という。






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Photo by Vinicius Amano on Unsplash






われわれホモ・サピエンスの遺伝子を解析すると、未発見の「謎のご先祖」の遺伝子情報が含まれている。
いったいいつの時点で、どのホミニンの種族がわれわれホモ・サピエンスに結びつくのか、現時点ではまだはっきりしないのである(*1)。


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【2】「言葉」が人間をレベルアップさせた

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突然だが、猫に「歴史」はない。



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「この町にはじめてナワバリをつくったのは五百年前のタマだった」とか「250年前に大規模な抗争があった」とか、猫全体としての「歴史」に想いを馳せることは、恐らくできない。

もちろん、個々の猫が「思い出」や「記憶」を備えることはできるのだろう。
しかし、一匹の猫が獲得した情報を子々孫々に受け継ぐ方法を、猫は持ち合わせていない。




なぜなら、「言葉」がないからだ。


たしかに「コミュニケーションの伝達手段」という点では、人間以外の動物の中にも「言葉」と言えるものを持っている種はある(*2)。


しかし、複雑な感情、うわさ話、気晴らしのおしゃべり、昔話、夢で見た話、将来の予測、過去の経験といった、複雑な情報を「言葉」にのせて他人に伝えることができるのは人間だけだ。

こうしてわれわれのご先祖は「言葉」を発達させていくことで、「現実世界」とは別のもうひとつの世界(「言葉の世界」)を築き上げていったのである。



この「もうひとつの世界」は、正しく情報を伝達する「事実」によって構成されることもあれば、不確かな「うわさ話」や悪意ある「」によっても構成されることもある。

われわれの世界は、数百万年もの気の遠くなるような年月の間、多くの人たちによって発せられた気の遠くなるような分量のツイートリツイートによって構成されているといっても過言ではない。

そのおかげでわれわれは時空を超えて情報を共有することができるようになったのだが、その一方でときにコントロールすることが難しく、しばしばわれわれを激しく翻弄させることともなる。

これから15回、「言葉」を操る「複雑な知能を持ったサル」の歩んだ道を、やはり「言葉」を使って、できる限りシンプルに確認していきたい。


*1 こちらが読みやすい。

*2 こちらが読みやすい。


つづく

このたびはお読みくださり、どうもありがとうございます😊