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16.4.1 科学技術の世紀 世界史の教科書を最初から最後まで

20世紀は科学技術の世紀

20世紀をひとことで表すとしたら、どんな時代だろう。

ここでは「科学技術」に注目して、20世紀に起きた変化をみていこう。

ミクロの世界への関心が高まった

理論

19世紀末に放射線が発見されると、物質を構成している最小単位に対する関心が高まった。
20世紀初めにアインシュタインの相対性理論によって「時間とは何か」「空間とは何か」ということに対する認識が大きく変化するとともに、

物質の構造を解明する量子力学が急成長した。


そのおかげで、物質の最小単位が、原子・陽子・中性子からなることが判明。

1938年には核爆発によって膨大なエネルギーが生まれることが実証された。


応用

これを応用したものが原子爆弾だ。
アメリカ合衆国は莫大な国家予算をつぎ込み、科学技術の成果が軍や産業と一体化して軍産複合体を形成。
こうした科学のことをビッグ=サイエンスともいう。


戦後には原子力の開発が水素爆弾というさらに強力な爆弾にもつながった一方、化石燃料を使わなくて済む次世代エネルギーとして原子力発電も実用化が進んだ。


石油の時代

また、第二次世界大戦中には石油化学も発達。
石油を原料にして、なんと「繊維」をつくったり(ナイロン)、「素材」をつくったり(プラスティック)をつくったりすることが可能になった。



考古学の区分に青銅器時代や鉄器時代という時代の分け方があるけれども、20世紀後半はさしずめ「プラスティック時代」といったところだろう。

プラスティックはあらゆる製品に使用され、生態系に排出された廃棄物や微小な粒(マイクロプラスティック)がめぐりめぐって人類に与える影響が問題視されるようになった。


空の時代

20世紀は空の時代でもある。

20世紀初めにアメリカ合衆国のライト兄弟(兄1867〜1912、弟1871〜1948年)が発明した飛行機は、「空を自由に飛べたらな」という人類の永年の夢をかなえる一方で、

第一次世界大戦中には軍用機、

第二次世界大戦中には戦略爆撃機やジェット機が開発されるようになった。





戦後には民間にも転用されるようになり、大陸をこえるような長距離移動も可能となり、「世界旅行」を一般化させるのにもつながった。


また、第二次世界大戦中にドイツによって開発がすすみ、

アメリカ合衆国とソ連が軍備を拡大する競争の中で重視されたのがロケットだ。
大気圏の外に飛び出して地球の軌道をぐるぐるまわる人工衛星を人類で初めて飛ばした国はソ連。スプートニク1号(1957年)はアメリカ合衆国を焦らせ、

1958年にアメリカ航空宇宙局(NASA)が設立された。


それが実って1969年にアポロ11号によって人類史上はじめて月の上に人類が立つこととなったのだ。


米・ソ(のちロシア)はその後協力して宇宙ステーションを建設することとなり、スペース=シャトルによって宇宙と地球を往復することも可能となった。21世紀に入ると民間企業による宇宙開発も盛んとなっている。


宇宙工学(スペース・エンジニアリング)の発達は軍事的な目的から始まったが、「宇宙とは何か」を明らかにする研究だけでなく、スマホの地図・位置情報アプリや衛星放送・国際通信など人々の暮らしを大きく変えることとなった。


このたびはお読みくださり、どうもありがとうございます😊