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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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2021年7月の記事一覧

つながりと結節点の学 | ハイデル日記 『越境の文化学』

実は、ずっともやもやしていたことがあった。 オランダでの3年間のリベラルアーツ型学士号で人類学や哲学を学んで以降、世界を謙虚な目でとらえなおそうとすると、よく「相対主義」という大きな壁にぶちあたる、ということだった。どういうことか? たとえば、日本における捕鯨を例にあげてみよう。日本では古くから捕鯨がおこなわれてきた。しかし近年、環境NGOなどがその過度な捕獲量と残酷な手法を批判し、国際社会(IWCなど)からプレッシャーを受けるようになる。彼らの主張の根幹にあるのは、動物

これもルールかもしれない|J-POP、K-POPにおける言語

六本木・21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「ルール?展」は、無意識にルールに縛られている私たちに警告を鳴らしています。それは本来、安心に暮らすために自分たちで作り上げるもの。言語を例に、J-POP、K-POPの世界で新たに運用されるルールを見れば、それがこれからのコミュニティの前提となるように思うのです。  国内音楽ユニット・YOASOBIが発表した、自身のヒット曲「夜に駆ける」の英語版「Into The Night」が話題になっている。  沈むように溶

フィンランドデザインの質の高さは「工業」と「アート」の往復運動から生まれる 〜アアルトとカイフランクのデザインアプローチ〜

みなさんこんにちは! 暑い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか? 今回の北欧デザインコラムでは、フィンランドデザインのクオリティの源泉を、アルヴァ・アアルトとカイ・フランクの二人の名デザイナーの事例を引きながら「工業」と「アート」という二つの視点から紐解いてみたいと思います。 1.アアルトのデザインにおける「遊び」の役割先日、世田谷美術館で開催されていたアルヴァ・アアルト展に行ったときのこと。最後のブースにアアルトが描いた「絵画」が展示されていました。アアルトと言

国際バカロレア(IB)とASEAN諸国のインターナショナルスクール

国際バカロレア(IB)校を増やす日本2021年6月29日、加藤官房長官が「現在167校ある国際バカロレア(IB)の認定校を増やして、2022年度までに200校以上にする」と表明したニュースを目にしました。この目的は、文科省のIBの説明ページを見ると、グローバル化に備えた人材づくりということです。 国際バカロレア(以降IB)には、小学校向けのPYP、中学向けのMYP、大学進学に向けたDP(以降IBDP)があります。PYP、MYPは特に国際転校をする子どもたちが、転校しても同じ

欧州動向で「人権」「脱植民地」が注目すべき点ー「安全保障」「環境」だけ見ていると話が通じなくなる。

7月8日、欧州議会は来年開催の北京五輪の招待拒否の決議をしました。 欧州議会は8日、2022年の北京冬季五輪への参加について、中国側が香港やウイグルなどでの人権問題で状況を改善する姿勢を示さない限り、EU機関や加盟国に政府代表や外交官が招待に応じないよう求める決議を賛成多数で可決した。人権問題に絡み、EUは中国と大筋合意した投資協定の批准手続きを事実上停止するなど、関係悪化が続いている。 民主主義体制と対峙する「政府の強権化」は、中国だけでなく世界各国で多く目につくように

インカ王の贈り物 8.1.2 アメリカ大陸の征服

インカ帝国は「帝国」か?1533年にスペイン人の征服者ピサロによって滅ぼされたインカ族の国家は、「インカ帝国」と呼ばれ、その歴史も、ヨーロッパ人のイメージする「帝国」に当てはめるようにして理解されるようになりました。 しかし、「インカ帝国」が実際にどのような支配をしていたのか、当時再録された証言をもとにすると、いくぶん違った実態が明らかになっていきます。 ワンカ族は、かつて「インカ帝国」に征服されたときのことを、スペイン人の記録者に次のように証言しました。 「本証人が父