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【ライブラリ】notes

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#推薦図書

叱られる

 やはり、知ったかぶりはするものではない。  こちらはテキトーに口にしたつもりでも、相手がその内容を確固たる知識として吸収する可能性がある。そしてそういう知識は、また別の人に話されることによって広まっていく。出発点にはあった「テキトー」という要素を抜きにして。 *  先日、かつて家庭教師で担当していた学生さんと会う機会があったのだが、会って早々「これ見て、先生」と叱られてしまう。  叱られの原因は、それこそ「知ったかぶり」である。  見せられたのは、加賀野井秀一の『感情的

なぜ「新幹線」は世界に誇ることができるのか?|高橋昌一郎【第10回】

「世界で最も安全な高速鉄道」もしパーティが開かれたら、何時に訪問するかという「エスニック・ジョーク」がある。パーティの開始時刻前、すでに到着して待っているのが日本人である。開始時刻ちょうどにドアをノックするのがイギリス人、20分遅れるのがフランス人、30分遅れるのがイタリア人である。さらに、40分後にスペイン人、1時間後にイラン人、2時間後にポリネシア人が到着する。ちょうどその頃、ようやく自宅から出かける準備を始めているのがメキシコ人だという笑い話である。 実際に、国際会議

温もり

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忘れられた思想家|畑中章宏さんが選ぶ「絶版本」

 だれしもが若かりし日の読者体験のなかにおいて、読む、読まないにかかわらず持っておかないといけない本がある。つまり、その本を買って、本棚に並べておくことが、自分が関心を持つ領域に参加している証だとみなされるからだ。そうした本のなかには、そんな当時の“雰囲気”が忘れ去られてしまい、何年か経つとまさに「絶版本」の栄誉(?)を受けるものがある。  1962年生まれの私は、高校生から大学生の頃、つまり1970年代の終わりから80年代にかけて、広い意味での「思想」にかぶれて、さまざまな

新書が1冊できるまで ③:書籍の「顔」をどうするか?

こんにちは、光文社新書編集部の江口です。先日、来年4月に弊社入社予定のみなさんとお会いする機会がありました。ちょうど1年前には、私も「内定者」としてひとつ上の先輩方のお話を聞いた覚えがあるのですが、それにしても時が経つのは早いですね。もう「新人」ではいられないわけなので、あらためて気を引き締めなければ……と焦っている今日この頃です。 さて、この「新書が1冊できるまで」も3回目の更新です。「原稿整理編」「入稿&校正編」につづき、今回はついに「完成&発売編」になります!……と予

驚き

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【第67回】「人権」は「国家」に勝てるのか?

「国際人権」の重要性第二次世界大戦中、世界各国で特定の人種の大量虐殺や迫害、特定の社会的・思想的立場の人々に対する侵害や抑圧が横行した。それらの「非人間的行為」に対する根本的な反省から、「人権」は「国家」を超えた国際社会全体の課題であり、「人権」こそが世界平和の基盤と考えられるようになってきた。 1948年12月10日、パリで開催された国際連合の第3回総会において、「すべての人とすべての国が達成すべき共通の基準」として「世界人権宣言」が採択された。この宣言は、人類が史上初

152.ロボットこそは人に近づけてなんぼでは

弱いロボット(上記リンクをクリックすると版元ドットコム。いろいろな場所で買えます。) 三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2019-2020のヨンデル選書 2nd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。 読んだなーこれ。たしかに前後にならぶさまざまな「ケアをひらく」のシリーズとは毛色が違う……今、さいしょ、「経路が違う」と変換されたんだけど、この際毛色でも経路でもどちらでもいい気がする。

【読書感想文】地形と歴史から探る福岡

読書感想文を書いてみる第3弾です。 今回もあらすじはなぞりません。ネタバレ回避していこうと思います。 感想サマリKindleで買っても良かったかも。3時間で読破! 福岡に移住した私ですが、歴史が結構好きだったので福岡の歴史なんて結構わかっていたつもりでした。 でも、この本は縄文から近現代までを凄くラフにまとめてくれているので、とてもわかり易くかつ、自分の抜けている時代や歴史があるということをわからせてくれて、かつそれを補完してくれる本でした。 福岡移住者は地元理解のた

姉妹都市

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言葉の網目で個をつつむ|荒井裕樹|第15回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞スピーチ【全文公開】

 2022年4月22日(金)、神田神保町の出版クラブホールにて、第15回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」の表彰式と記念講演会がおこなわれました。本賞は、個別の「作品」ではなく「人」そのものに、過去の「業績」ではなく今後の「可能性」に対して与えられるものです。栄えある第15回の受賞者は、文学者の荒井裕樹さん。柏書房からは『まとまらない言葉を生きる』を出版いただいています。 ▼受賞理由はこちら▼  コロナ下での開催であったため、限られた関係者のみを集めての会

稀有な書き手による、生涯に一冊だけ書ける本 『ウナギが故郷に帰るとき』

どんな人でも、ある程度の年齢になれば、一冊は本が書ける。自伝だ。 退屈な自分語りに終わるか、興味深い本になるかは、その人の歩みによるだろう。 『ウナギが故郷に帰るとき』は後者のなかでも、極めてユニークな傑作だ。 謎に満ちたウナギという生物を追う人類の歴史と、著者の子ども時代のウナギ釣りの思い出が交互に差しはさまれる構成に、読者は最初戸惑うだろう。 地理としては大西洋から欧州大陸全域、時間軸はアリストテレスから現代まで広がる壮大なウナギの謎と、父を中心とした家族の回想記。

新書を読んでみよう!

こんにちは、Yukiです。 新型コロナウイルスの感染が拡大してから早くも2年が経ちました。その間、様々なことが起きましたが、その1つが独学に対する注目が高まったことだと思います。 そのきっかけは、読書猿氏の『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が発売されたことではないでしょうか。 現在では20万部を超え、電子版のみですが公式副読本も発売されています。この本の発売をきっかけに独学への注目が高まったことで、岩波書店は独学フェアを開催しました。

メディア掲載情報|あいつゲイだって|松岡宗嗣

2021年11月に刊行された松岡宗嗣 著『あいつゲイだって——アウティングはなぜ問題なのか?』。おかげさまで発売即重版となりました。この間、各地でイベントを実施、様々なメディアでも取り上げられました。本稿にはその情報をまとめます。本の感想や記事をシェアしていただくことで、「アウティング」に関する議論を深めるきっかけにしていただけたら幸いです。本年も「かしわもち」をありがとうございました。来年も何卒よろしくお願いいたします。 [最終更新日=2022/4/7] ▼「はじめに」