『人生を変えた、3人の師匠』〜練り天屋店主の語り〜
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『人生を変えた、3人の師匠』〜練り天屋店主の語り〜

SEKAI HOTEL

こんにちは。SEKAI HOTELインターンの北川です。

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今回は布施商店街の中にある三ツ矢蒲鉾本舗の店主・守さんにインタービューをしてきました。

三ツ矢蒲鉾本舗 布施店 店主・井上守さん

SEKAI HOTEL フロントがある、みやこ通り商店街を抜けると魚介の香ばしい匂いがフワッと薫ってきます。匂いの先には、年季が入った柿色の暖簾が特徴の三ツ矢蒲鉾本舗がありました。

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この笑顔が素敵な男性が、今回の主役である店主の井上 守(いのうえ まもる)さんです。守さんが店奥の厨房で練り天ぷらを揚げている傍ら、奥さんの美鈴(みすず)さんが店頭に立ってお客様を迎えます。美鈴さんの明るく元気な人柄に、地域の方々もついつい店先で立ち話に花が咲いてしまいます。

そんな素敵な守さん・美鈴さんご夫婦で営なわれているのがこちらの三ツ矢蒲鉾本舗布施店です。

今回は、私たちSEKAI HOTELのスタッフにもいつも優しく、時には揚げたての練り天片手にフロントに遊びに来てくださる、店主・守さんの温かな魅力に迫ります。

お話を伺いにお店を尋ねると、厨房の床の清掃をしている最中にもかかわらず、「下濡れているから気をつけてね〜」といつもの笑顔で迎えてくださいました。

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徹底的なお客さんへの心配りが生んだ、
”商売”以上の人間関係

三ツ矢蒲鉾本舗は河内山本(八尾市)に本店を持つ昔ながらの練り天屋さんです。その3号店に当たるのが今回ご紹介する布施店。スーパーの店頭販売からはじまり、10年前に店舗としてオープン。その後、お子さんが生まれたことをきっかけに暖簾わけの形で独立することになりました。

当時、催事を担当していた守さんは百貨店廻りで店の管理から、練り天の揚げ方まで十分に知っていたこともあり、開店当初からこの3号店を任されました。”布施で商売できたらどこでもやっていける”という言葉もあるらしく、布施はもともと商人のまちと言われています。

舌が肥えている方が多いことや、包み隠さず正直な感想を言われる方が多いことから、まちの人に愛され定着する商売にすることが難しいと言います。そんな布施で守さんは地道に地域の方との信頼関係を築いてこられました。

 ー特に意識しているのは言葉ですかね。「ありがとう」という気持ちを必ず言葉で伝えるようにしています。買っていただいてありがたいと言う気持ちが伝わればお客さんはきっと戻ってきてくれる。2回でも3回でも、ありがとうと言っても損はしません。「笑顔やお礼はタダだから」と三ツ矢蒲鉾本舗の社長も言っていました。

ー道端でお客さんにお会いした時にも挨拶をするようにしています。お客さんが喋りに行こうかなとお店に立ち寄ってくださることで、最後には何か買って帰ろうかってなることもあるでしょうしね。

そうしてお店に立ち寄ってくださったお客さんを魅了するために、品質にもこだわっていると言います。

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良い素材を使い、手作業にこだわること。業務用の野菜は家庭用のスーパーに並ぶものより、硬くて大きいものが多いのですが、それらの野菜もほとんど全て手作業で仕込むのだそう。

ー手を使い、手間をかけたことは商品を通してお客さんに伝わっていると思います。「手を使うことによって、お客さんは絶対に認めてくれるんや」と社長からも言われました。商品への細かなこだわりが店のお客様への姿勢として伝わり、お客さんはこの店を認めてくれるようになるのだと僕も信じています。

「手間をかけてお客さんに届ける」ことにこだわり続けた結果、三ツ矢蒲鉾本舗布施店は多くの常連さんで賑わう人気店になっています。
また守さんご夫妻の長女・あやめちゃんは、常連客のみなさんの娘や孫のよう。近所の方からあやめちゃんに多くの差し入れが届くといいます。

ー娘にいろいろとしてくださる様子を見ていると、一生懸命やったかいがあるなと感じます。社長からも一生懸命やったから今があると言っていただきます。

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常連客と商売以上の人間関係ができている三ツ矢蒲鉾本舗。
お客様を大切にすることだけでなく、守さんからは師匠からいただいた言葉が多く挙げられました。ここからは、守さんと師匠とのご関係についてお伺いしました。

半年間のフリーター生活から一転、
3人の師匠との出会い。

ー僕の中で師匠って3人いてるんです。

守さんにとっての3人の師匠とは、現在三ツ矢蒲鉾店を共同で運営されているご兄弟の社長。そして、最初に弟子入りをした蒲鉾店の社長のことだと言います。

ーいや。本当偶然で。当時は遊び呆けていたんです。

そう語る守さんは弟子入りをすることになった経緯を丁寧に教えてくださいました。

高校を卒業した後に農器具を取り扱うメーカー企業に就職するもののすぐに辞め、半年間パチンコに通う日々。この様子を見かねた友人が紹介してくれたのが最初の社長さんでした。もともとものづくりに関心があった守さんは、練り天づくりに没頭していきます。

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諸事情によりお店を畳むことになったのですが、その後社長に紹介されたのが、三ツ矢蒲鉾本舗の兄弟社長でした。先述のように三ツ矢蒲鉾本舗に弟子入りされてからは催事担当として、百貨店を回る忙しい日々を送ります。

当時を懐かしみながら、守さんは続けました。

ーこんな商売してますけど、ほんま最初は「いらっしゃいませ」も言えないほど恥ずかしがり屋でした。それでも今こうして商売できるようになったのは社長が仕事を任せてくれ、色んな経験をさせてくださったからですね。

やりがいを感じられる仕事に出会わせてくれたこと、そして商人としてお店を持つまでに育て上げてもらえたこと、守さんからは師匠らへの大きな感謝が感じられました。

師匠が伝えたのは技、そして...

ー師匠らからは「3人のいいところだけ盗め。そうしたら絶対一流になる。絶対にいい店ができる。」と言われてきました。それを今でも意識しています。そうやって練り天をあげる技術は上がり、またお客様との関係づくりのためにできることはなんでもやってきたのですが、師匠らは全く抜くことができません。僕の中では、社長は永遠の師匠であり、ライバルです。

改めて周りを見渡すと厨房には、丁寧に手入れされた道具がきれいに並べられていました。

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ーいまだに初代から頂いた付け包丁を壊れたら直してを繰り返しながら20年間使っています。道具は大事に使わないといけないのでね。店も借り物なので汚す、散らすなんてもってのほかです。20年前に師匠から言われたことを守りながらも続けてきました。師匠に認められているのは全部そういうところなのかなと感じますね。

師匠とは、弟子に技術だけではなく、仕事の仕方、お客さんとの向き合い方、そして人としてのあり方そのものを示し続ける存在なのだと感じました。

守さんご自身も師匠から教わったそれらを今も体現し続けており、そしてその自身の姿を通して次は娘さんを初め、次世代の人たちに伝え続けているのだと思います。

私自身も、サービスを提供する者としてお客様がいることのありがたさ、そしてそのお客様に対して自身ができる最大の価値を提供したいという想いを改めて考えさせられる時間となりました。

終わりに

現在の日本において、年上の方と濃密な時間を過ごすことはだんだんと減ってきているのではないでしょうか。昔の人の仕事ぶり、そして生き方を感じられるのも今のうちかもしれません。布施のまちではお客様や商品、そしてご自身と向き合う”職人”と呼ぶべきかっこいい大人と出会うことができます。

守さん、そして先代の皆さんの想いが込められた練り天をぜひ食べにきてください。店頭では素敵な笑顔で守さん・美鈴さんご夫妻が待っていられますよ。

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店舗案内

三ツ矢蒲鉾本舗布施店
住所:大阪府東大阪市足代1-20-17
営業時間:10:00~19:00(不定休)
TEL:06-6723-0722
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