あなたが変える。あなたにしか変えられない世界がある by 甲地里沙子 / 八洲学園大学国際高等学校(沖縄)#ジェンダー平等を実現しよう


“住む人すべてが笑顔の惑星-地球”これは理想論じゃない。あなた。

今これが目に止まったあなたが地球を変える。
あなたにしか笑顔あふれる地球はつくれない。

近年話題になっているSDGs「誰ひとり取り残さない」ことを強調し、貧困や飢餓から環境問題、経済成長やジェンダーに至る広範な課題を網羅していて豊かさを追求しながら地球環境を守る持続可能な開発目標。これを読んでいるいま現在も、5秒に1人の子供が命の灯火を消している。世界に目を向けてみるとあなたが思っている以上に多くの子供が、人が、苦しんでいるのかもしれない。不条理な苦しみを抱えながら生きている人がこの地球には多くいるのかもしれない。心の底から笑顔になれない人が多いのかもしれない。それを変えるのはあなただ。もう一度言う。あなたにしか変えられない。

<ジェンダー平等を実現すれば世界は笑顔であふれる>
 SDGsは17のゴールとその課題ごとに設定された169のターゲットから構成されている。これら17の目標が孤立しているわけではなくそれぞれが密接に関わり合っている。どの目標も切っても切れない関係にある。そこで私はSDGsのGoal5ジェンダー平等 を実現しように着目した。なぜなら「誰ひとり取り残さない」世界で人々が人間らしく暮らしていくための社会的基盤の根底はジェンダー平等にあると考えたからだ。例を2つ挙げよう。

例1 ゴール1 貧困
女性だから、お金がないから教育を受けられない→教育を受けられないから仕事に就くことができない→仕事に就くことができないからお金を得ることができない→お金がないから子供に教育を受けさせることができない

このような負のループに陥り貧困の連鎖から抜け出すことができない。女性だから教育を受けられない、という男女差別がなくなることで貧困をなくす一歩になる。

例2 ゴール11 まちづくり
女性に期待せず男性だけが活躍するまち→女性がそのまちを出ていく→およその男女比5:5から、人口の半分の女性がいなくなる→経済が成長しない→生産年齢人口が減少→出生率の低下→少子化の進行→人口減少→まちの消滅

住み続けられるまちづくりには男女平等の要素も必要になる。
例1、例2共に乱暴な推測ではあるが、起こり得ることだと考える。ここで、例1例2共に男女平等が鍵になっていることに気づいただろうか。挙げた例以外にもさまざまな課題、それぞれがジェンダー問題と深く関わり合っていると考えている。むしろジェンダー問題が関わっていない課題はないといえるだろう。よって、ジェンダー平等を実現すれば自ずと様々な課題が解決に向かう道が開けるだろう。世界で起こっているさまざまな課題解決の大きな鍵になるジェンダー平等が実現できれば、世界から不条理な思いをする人が減り、笑顔が増えるのではないだろうか。

<笑顔で溢れる世界にするのは簡単>
ではなぜ男女不平等が起こるのか。男女間の不平等は古くから存在しているが、狩猟をしていた時代から男性は狩りに、女性は家事をというところから始まり、それがより強固になったのは1960年代日本の高度経済成長期に、男性は外に出て働き、女性は男性を支えるこの制度がうまくいきすぎてしまったためだと考える。では男女不平等をなくすにはどうしたらいいか。それはジェンダー平等を実現することにあると考える。
ジェンダー不平等はアンコンシャス・バイアスと言われる無意識の偏見や、男らしさ・女らしさといったジェンダーバイアス、社会の風土・風潮、強い固定概念からきているものだと考えることができる。例えば、男性のトイレのマークは青、女性のトイレのマークは赤、男の子は線路を組み立て、電車を走らせるおもちゃ、女の子はおままごとやお世話人形など、挙げ出したらきりがない。こういった日常に潜む小さなステレオタイプの積み重ねがジェンダー不平等を生むのだろう。

ではジェンダー平等を実現するにはどうしたらいいのか。

意識を変えることだ。自分の無意識の思い込みや偏見に気づこう。そこに疑問を持ち行動を変えよう。男の子がおままごとやお世話人形で遊んでいい。女の子が線路を組み立て、電車を走らせていい。大切なのは既存の意識に従うことではなく、本人の意思を尊重することだ。ジェンダー平等を実現するにはあなたの意識を変えることが重要になる。あなたひとりの意識が変われば周りの人の意識も変わる。周りの人の意識が変わればその周りの人の意識も変わる。これは連鎖する。この連鎖が続けば、いずれ自分から自分の周り、日本、そして世界へと広がっていく。そうすれば言わずもがなジェンダー平等は実現することがわかる。

<性別って必要?>
 あなたが性別と聞いて思い浮かぶのはなんだろう?男女、この2つだろうか。いま現在世間で一般的に使われている性別は男女の2つだ。あなたは自分が男だ、女だ、ということがしっくりくる、安心する、それ以外考えたこともないかもしれない。だが、男女のいずれか一方に限定しない性別の立場を取る人もいる。中性や、両性、無性など一般的に使われている性別の枠組みから脱するというあり方、女性または男性か定まらない流動的であるというあり方など多様である。最近になって日本企画協会が履歴書の様式例を削除したが、性別欄はいまだになくならないものが大半だ。日本の法律では、男女雇用機会均等法によって性別を採用の判断に用いることは禁じられている。ましてや、多様な性のあり方があるのにも関わらず。

 あなたはLGBTQIA +という言葉を聞いたことがあるだろうか。LGBTQIA +についてまとめた図1を見てほしい。これを見ればLGBTQIA +がセクシュアルマイノリティの総称であることがわかるだろう。日本で起きているセクシュアルマイノリティの現状は当事者に対する差別やいじめ、法律や制度が不十分などの問題がある。これらは「LGBTQIA +は特別」「普通じゃない」という意識が蔓延しているからだ。ではなぜ「普通じゃない」のか。それは自分の周りにいるはずがないという思い込みがあるからだ。例えば、日常会話の中で同性愛者を笑いのネタとして扱っていたり、ホモ・オカマなど嘲笑するような呼称があったりすることに表れている。加えて、恋愛は男女でするものという意識が強くあるからだ。「同性愛者は生産性がない。」という国会議員の発言や、「男女で子供をつくるのが普通」という意識、「恋人ができないために同性に走ったらどうしよう」という発言などに表れている。LGBTQIA +の人の声は、LGBTQIA +ではない人と同じように暮らしたい、自分のことを堂々と語れるようになりたいといったものがある。一番の問題は誰にも言えないことだ。カミングアウトとはこれまで公にしていなかった自らの性的指向を表明することだが、セクシュアルマイノリティに該当する人がカミングアウトしている割合は約25%、カミングアウトしたい割合は約41.5%と、カミングアウトしたいのにできない人がいるのが現状だ。それにより肩身の狭い生活を強いられ、気づかないうちに言ったり、してしまっていたりするかもしれない差別によって苦しんでいる。カミングアウトには、悩みがつきまとう。例えば、テレビ等を見て家族がゲイやレズビアンを否定している姿を見て言えなかったり、カミングアウトした本人の了承なく、セクシュアリティーについて第三者に公言してしまうアウティングが怖かったりなどだ。現在、LGBTQIA +当事者が社会で生きる上で「LGBTQIA +である」ことが障害となってしまうという状況に置かれている。障害としてあげられることは、カミングアウトできない、しても否定された、周りと違うことや本当のことが言えないことがストレスになり健康へ悪影響を及ぼす、仕事や住まいに自由がない、家族として見られない、子供の有無などだ。
ではどうすればいいのか?「男と女の組み合わせが普通」という強い固定概念が存在していることにより、LGBTQIA +という「普通じゃない」人の存在を受け入れられないから、迫害しようとしてしまうのが現状だ。よってまずはLGBTQIA +当事者以外の人間の意識改革が必要である。「周りにいる」「普通に生きている」ということを理解しなければならない。また、支援するための制度が出来つつあるとはいえ、数は少なく、全国に普及させていく必要がある。
 
日本におけるLGBT層は約8%である。これは左利きの人やAB型の人とほぼ同じ割合である。佐藤、田中、鈴木、高橋の日本の四大苗字の割合を全て足しても全人口の約5%である。つまり、佐藤さん、田中さん、鈴木さん、高橋さんよりもさらに多くの割合でLGBTはあなたの周りに存在している。しかし、あなたの周りにLGBTはいるか?という問いに対して「いない」と答えたストレート層は88.5%であり、LGBTが身近な存在であることが認知されていない。ここで大事なのは、LGBTQIA +がカミングアウト“しやすい”環境ではなく、“する必要のない”環境を作るべきだ。そのために一人一人がLGBTQIA +が身近な存在であることを知る必要がある。私はLGBTQIA +だからという理由で苦しむ人がいない世界にしたい。そのためにはまず正しく理解することだ。理解ができなければ共感ができない。共感ができなければ迫害しようとする。人間は知らないものに対して恐怖や嫌悪感などを覚える。それらも迫害の原因になってしまうのだろう。知らないこと、無知は恥ではない。無知に甘えることが恥なのだ。ただここで、知っているからといってただ知識として蓄えるのは無意味だ。SDGsは知識ではない。達成すべき目標なのだ。LGBTQIA +は知識ではない。同じ人間なのだ。私はいずれ、この世界が男性・女性・LGBTQIA +といった区別がなくなり、全ての人がひとりの人として認識されるようになることを望んでいる。

<ジェンダー平等は女性・セクシュアルマイノリティだけへ向けたものではない>
 これまで、ジェンダー平等を実現するために男女差別をなくそう、セクシュアルマイノリティを理解しよう、と書いてきたが、これは男性が常に優位である、ということを言いたい訳ではない。

図2を見てほしい。このグラフからわかるように日本の自殺者の割合の7割を男性が占めている。図3、図4は全年齢層の自殺の原因・動機を表したものだ。そして図5は男女別自殺理由を表したグラフだ。このグラフを見ると経済的な理由で自殺する男女差の大きさがわかる。全体に男性の方が自殺する人が多いため、全ての要因で男性(ピンクのバー)の方が高くなっている。しかし、他の理由では男女差はせいぜい倍程度だが、経済的理由で自殺する人は、男性10人に対して女性1人という割合で男性が圧倒的に多い。
経済・仕事問題での自殺が男女合計として健康問題での自殺より少ないのは、女性がお金や仕事を理由に死を選ばないからだと考えられる。また、経済的な理由での自殺男女比がここまで違わなければ、全体での男女の自殺比率格差もかなり縮小することだろう。男性の人生にとって経済力や仕事がどれだけの重みを持つものか重要なことなのか再認識させられる。“女性にとっては全く死を選ぶ理由とはならないお金や仕事のこと”でこれだけの男性が死を選んでいるという現実がある。

「男は働くべき」「男は家族を養うべき」「男は我慢するべき」「男は弱音を吐かないべき」。こういった社会にはびこる“男らしさ”に苦しめられる男性が多いのではないか。こうなると、生物学的、遺伝子的性差というよりジェンダー的な社会的役割によって「男性が自殺するのだ」と考えざるを得ない。自殺の多くは様々な原因や背景が重なることで起こる。“男らしさ”“女らしさ”こういったものをなくしていくことが誰にとっても生きやすい世界になるのではないか。もちろん、経済力や仕事がモチベーションになっている男性がいるのも事実だ。だがここで言いたいのは、モチベーションを奪うことではなく、誰もが生きやすい世界にするために身近に潜むジェンダー差別に気づき、意識を変えていくことが必要であるということだ。

<あなたの意識を変えるだけで世界が変わる>
 意識を変える。まずは意識を変えるだけでいい。それがいずれ世界を変える。意識を変える、それが難しいことなのはわかる。今まで社会にある強い固定概念の中で生きてきているのだから。
だからまずは私たちから変わろう。私たちが変われば社会が変わる。社会が変われば教育のシステムも変わる。小さい頃から多様な性があること、恋愛は男女間だけではないこと、他人の違いを認めること、その違いこそに価値があること、ありのままの自分を愛し生きることなどを教育の現場で教えることができればこれからの日本は明るいだろう。そして、日本のみならず世界にも良いインパクトを与えるだろう。

<あなたが変えた世界は笑顔であふれる>
 ジェンダー平等が実現すれば、男女平等も実現する。さらには世界に存在するさまざまな問題を解決する大きな鍵になる。そして自分の中にあるアンコンシャス・バイアスに気づき、意識を変え、偏見や思い込みなどをなくしていくことができればジェンダー平等達成の一つの指標になる。

あなたが変える世界は笑顔であふれる。
あなたにしか笑顔あふれる世界はつくれない。
あなた、あなたが世界を変える。

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八洲学園大学国際高等学校(沖縄) 甲地里沙子 
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生リポーター(ジェンダー平等を実現しよう)


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