政治経済における学習者主体の教育実践 単元「ニューノーマルの提案と依拠する政治哲学」 ~生徒が外部有識者と交流、学習成果を報告~ by 河野大樹〔大分県立中津南高等学校〕#せかい部×SDGs探究PJ先生レポーター

1. 個人的な関心と所属する学校
 私は高等学校の地歴公民科の教員として入職して6年目、現在は2校目の赴任先となる大分県立中津南高等学校で学級担任、進路指導、総合的な探究の時間特命担当、サッカー部顧問を拝命している。加えて、博士課程後期に在学しており、日々の教育活動において個人的な関心は主に3つのテーマが存在しているように感じる。

私の関心
① 社会科教員としての生徒が悩み、考えたくなる授業とはどの様な内容・方法
② 総合的な探究の時間において多くの教員の主体的参加を促す方法
③ 他者の授業改善をする上で、教師の特性や来歴を加味した効果的なアプローチ

今回のSDGsレポーターへの応募は②や①を主たる動機としたものである。所属する、大分県立中津南高等学校は明治26年を始まりとした歴史ある伝統校で、1学年5クラス規模の普通科高等学校として、地域に根差したグローバル人材の育成を使命として日々の教育活動は営まれている。平成30年度からは総合的な学習(探究)の時間をSUSUMEプロジェクトと設定し、地域を考え、世界に羽ばたく生徒を育成している。

2.SDGsレポーターへの応募と活用のイメージ
 本企画に応募した背景として、総合的な探究の時間における「学習者の発表場所の獲得」「外部有識者との交流による学習レベルの深化」の2点がある。サポートして下さっている西川氏との話し合いの中で、現在2つの活用案が決まり、その内の教科教育における実践を紹介する。

活用案
(1) 総合的な探究の時間における、他県の高校生とのディスカッション(現在相手高校と日程の調整中)
(2) 公民科(政治経済)授業における、探究学習成果の発表の場、有識者からのフィードバックの経験(※報告する実践)

3.単元「ニューノーマルの提案と依拠する政治哲学」 
  対象:第3学年 政治経済選択者

■SUSUMEプロジェクト
・3年次「SUSUME-University」
・生徒の個別の興味関心に合わせた個人探究
・論文作成における探究スキルの獲得
・探究ハンドブックの活用
探究スキルの獲得
自然と活用

■政治経済
政治経済と哲学者の思想
・命に関する論争
・お金に関する論争
・社会に関する論争
・生き方に関する論争
⇒コロナ禍におけるニューノーマルとは何か?(本時)

実施した授業は、3年間の総合的な学習の時間で培った探究スキルを基盤としてデザインされており、学習者たちは思い思いの切り口から大小のグループの中で自分なりの提案を行った。生徒たちの発表テーマと外部講師として講評してくださった方をまとめると以下の通りである。
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令和2年12月16日(水)講師:KAYAKURA代表 伊藤 将人氏
テーマ『大分県の宿泊施設における感染対策の可視化~コロナミシュランの活用~』
テーマ『感染リスクを抑えながら経済活動を維持していく〜ミニGO TOを通して〜』

令和2年12月23日(水)講師:SDGs-SWY共同代表 高木 超氏
テーマ『欧州のロックダウンの効果と我が国への転用』
テーマ『外出禁止期間の新しい生活スタイル~ワイツマン研究所 ウーリ教授の考えを元に』
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2学期の後半のテーマとして、身近な社会的な論争問題を扱って授業を行っていく中で、学習者の興味関心に合わせてGoToキャンペーンへの是非を吟味に移行した。学習が進んでいくと、自分たちなりに新たな行動様式を考えるようになり、コロナ禍における新しい行動様式の提案へと実を結んだ。参考文献の収集、発表構成やパワーポイントの作成など全て学習者主体で行われ、本校でもコロナ禍で実用化が進んだTeamsを用いたデータのやり取りや連絡も授業の円滑化に効果的であったといえる。発表した学習者の声は一様に肯定的で、「自分たちが考えたことが外部講師に評価されて嬉しい」「大学に進学しても学ぼうという刺激になった」という嬉しい感想が出てきた。

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4.今後の展望
 外部とのつながりは閉鎖的な教室内の学びから解放され、他者からの高評価を頂いた際には単純にうれしく、学習者に学ぶ楽しさを提供できるように感じる。やはり、教師として生徒が喜ぶ姿や、真剣に考え、悩む姿には喜びを感じるし、数多くそういった機会を作っていきたい。今回は、小規模での個人的実践であったが、学年規模となるもう一つの活用計画(学校間交流)を現実のものにするべく、西川氏のご尽力の下で進めていきたい。多忙な中、本校生徒のために講師として講評してくださった伊藤、高木両氏には感謝の念に堪えない。ありがとうございました!

中津南高等学校(大分) 河野大樹
#せかい部 ×SDGs探究PJ先生レポーター

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