画面の向こうの世界 私の世界 by 齋藤夏帆 / 静岡東高等学校(静岡) #ジェンダー平等を実現しよう

私のスマートフォンには知らない人の顔がたくさん映っていた。
誰一人知っている人がいない。
しかし、みんな一様に同じ方向を向いていることがわかった。

スタート地点

小学3年生の時に、性同一性障害が原因で親や友達と上手く関係を築けない子がいた。親からは気持ち悪がられ、クラスメイトからは変な人として扱われていた。同じ「人間」なのにどうして平等にあつかわれないのだろうかと疑問に思った。転校し、その子と話すことは2度となかった。その後、その子の他にもジェンダー問題によって苦しんでいる人が世界にもたくさんいると知った。女性だから、男性だから、性別がわからない人だから…で、人を傷つけたり、決めつけたりして、その人の未来を狭めてほしくないと思った。

女性に対する暴力撤廃

UN Women (国連女性機関)日本事務局 中村敏久さん

 「UN Womenはジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関です。UN Womenがめざす目標は女性と女児のニーズに応えることでグローバルな支援者になることです。」 UN Women 日本事務所ホームページに記載されている概要だ。   

女性のリーダーシップの向上と参画の増加
女性に対する暴力の撤廃
平和と安全保障のあらゆる局面における女性の関与
女性の経済的エンパワーメントの推進
国家の開発計画と予算におけるジェンダー平等の反映

この大きな5つの目標に取り組んでいる組織である。中村さんのお話で一番衝撃をうけたのは、「アフリカのある国に女性の権利の重要性を伝えに行った時に、なぜ女性を襲ってはいけないのか聞かれた」というお話だ。中村さんが伝えに行かなければ、「女性の権利はなくて当たり前」の世界が続いていたのだ。世界の男女平等問題を考える時に一番大切なのは、伝統を良い方向へ変えることだと思う。

女性の権利がないのは親が子に伝え、子が新たに自分の子に伝え、
繰り返し繰り返し「伝統」をつなげてきた。今この世界にも続いていることだ。
同じ人間なのに、生まれた地域、家庭によって、
なぜ同等の権利を持つことができないのだろうか。

画像1


国会議員の立場から 衆議院議員野田聖子さん


画像2

日本の女性議員の割合は世界的に見ても低い。国会は日本の最高機関であり、立法機関でもある。政治に女性の意見が反映されないことは、国全体の政策が男性中心になっていくと思う。では、なぜ日本には女性の議員が少ないのだろうか。
世界の国会と比べて考えてみたい。

ニュージーランドランドの国会

10月17日、ニュージーランドで総選挙が行われ、アーダーン首相率いる与党・労働党が圧勝するとともに、オープンリーLGBTQの議員が7人から12人に増え、定員120人のうちの10%を占めることになった。

画像3

日本

画像4

ニュージーランド

日本には「女性は政治に口を出すな」と言う風潮が未だに根強く残っている。


有権者女性からも女性議員を出して欲しいという意見は少なく、日本人の意識に問題があると考えた。対して女性議員が多い他国はどのような考えが普遍しているのだろうか。

画像5

ニュージーランドでは、企業におけるジェンダーギャップの有無については、政府が責任を持って監督している。例えば、性別によって給与額に差がないかどうかなどを、政府関連の機関がチェックし、もし差があるような場合はどうやって是正するかなどをみんなで話し合い、改善している。政府に女性が少ないと、こういった意見すら出ないと思う。やはり、女性の自ら変えようとする意思とジェンダー平等の考えを広めることが第一歩だろう。


人間は本当にみな平等なのだろうか

全国の高校生レポーターとの交流は自分の価値観を広げる大切な機会になった。普通高校に通っている人、男子校、女子校に通っている人、通信制の高校に通っている人、それぞれ自分の未来のために日々学んでいる。自分の周りにこういった活動について語れる相手はいなかった。しかし自分の今までの活動が間違っていなかったと思えるようになった。一様に、前を向いている高校生レポーターは最高の仲間だと思う。

 今回自分の地域以外の人との交流で改めて考えさせられたことは、「人間は本当にみな平等なのだろうか」という疑問だ。生まれる家庭、地域によって必ず経済格差はある。先進国である日本ですら相対的貧困はなくなっていない。「平等」という言葉の重さをまだ私は理解しきれていない。本当の平等というのは人それぞれだと思う。では、私たちができることは何だろうか。私の見えている世界と全く違う世界で生きている他者を「助ける」「救う」そんな大それたことではないが、何か影響を与えることはできるのだろうか。活動を一通り通して、自分の考え方を改めて考えた。そこで私は自身の原点に戻った。

 SDGsはより良い世界を目指すための指針だ。SDGsに関係した活動は気軽に始めることができる。「自分のしている活動が正しいのかどうか」不安になったときに改めて感じた。SDGsに沿った活動が良い世界を目指すための指針なんだと。

世界平和を夢物語で終わらせずに目指す友人がいる。私の世界と遠い地域で自分と戦い続けている子の世界は平行線ではなく、どこかで繋がっているのだ。


ゴールを見据えて

1.  貧困をなくす (No Poverty)…「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」

2. 飢餓をゼロに (Zero Hunger)…「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」

3. 人々に保健と福祉を (Good Health and Well-Being)…「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」

4. 質の高い教育をみんなに (Quality Education)…「すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」

5. ジェンダー平等を実現しよう (Gender Equality)…「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」

6. 安全な水とトイレを世界中に (Clean Water and Sanitation)…「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」

7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに (Affordable and Clean Energy)…「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」

8. 働きがいも経済成長も (Decent Work and Economic Growth)… 「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう (Industry, Innovation and Infrastructure)…「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」

10. 人や国の不平等をなくそう (Reduced Inequalities)…「各国内及び各国間の不平等を是正する」

11. 住み続けられるまちづくりを (Sustainable Cities and Communities)…「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」

12. つくる責任つかう責任 (Responsible Consumption and Production)…「持続可能な生産消費形態を確保する」

13. 気候変動に具体的な対策を (Climate Action)…「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」[注釈 1]

14. 海の豊かさを守ろう (Life Below Water)…「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」

15. 陸の豊かさも守ろう (Life on Land)…「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」

16. 平和と公正をすべての人に (Peace, Justice and Strong Institutions)…「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」

17. パートナーシップで目標を達成しよう (Partnership)…「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」

画像6


自分の勇気ある一歩が誰かのための一歩に繋がると信じて、前を向いて走り出す。


静岡東高等学校(静岡) 齋藤夏帆
#せかい部 ×SDGs探究PJ 高校生レポーター(ジェンダー平等を実現しよう)


#せかい部sdgs   #ジェンダー   #せかい部


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?