見出し画像

MSI 2021 グループBチーム紹介

LEC代表:MAD Lions

画像1LoL Esports Flickrより

LECは競技としてのLoLシーン黎明期から存在感を発揮している強豪地域だ。古くは第1回のWorlds優勝に始まり、以来FnaticやSK、G2といったチームが国際大会で活躍してきた。近年はWorlds優勝こそ逃しているものの、2018~2019年はWorlds決勝進出、MSI2019優勝と強豪地域の一角として結果を残している。ヨーロッパ各地のアマチュアトップリーグで大勢の才能が切磋琢磨する環境も整い、今後が楽しみな地域の一つでもある。

元々はスペイン国内リーグのチームだったが、2020年からSplyceのスポットを買収しLECに参加している新チームの一つがMADだ。旧チームからLEC有数のミッドレーナー有望株の一人だったHumanoid選手はもとより、2020年のWolrds参加を経てチームは成長。またArmut選手やElyoya選手といった補強メンバーの活躍もあって、春のプレイオフではG2 EsportsやRogueといったライバルを破って初のLEC制覇を成し遂げた。

現在の環境ではHumanoid選手とElyoya選手のミッドージャングルラインが強力であり、強豪リーグ代表チームとしての存在感を発揮できるかの一つのキーになるはずだ。

PCS代表:PSG Talon

画像2PSG Talon公式Twitterより

かつて強豪地域が5大リーグだったころの強豪地域LMSと、ベトナム以外の東南アジア地域のリーグを統合した比較的新しいリーグ。強豪リーグだったLMSとマイナーリージョンの複数のリーグが合併したことから、競技水準の先行きなどが心配されたものの、資本の強化等によりリーグ運営は活況なようだ。また、目覚ましい活躍を見せた選手がLPLへ移籍するなど、かつての強豪地域としての地力は失われておらず、国際大会での復権を期待するファンも多い(2012年のSeason 2 World Championship以来、LCKチームを破る活躍を見せてきたのが旧LMSチームでもある)。

2020シーズンから新たにスタートしたPCSにおいて、現在トップを走る強豪チームの一つ。今シーズンはLMSを代表するミッドレーナーの一人だったMaple選手がLPLより復帰し、盤石の態勢でリーグを制覇している。強豪リーグ水準のベテランソロレーナー2名に対してリソースを集中することで発揮される爆発力が、彼らの最大の武器だ。

しかし、このMSIではボットレーナーのUnified選手が体調不良(気胸)のため、アイスランドへ渡航できなくなってしまった。そのため、春プレイオフの準優勝チームBeyond Gamingより、Doggo選手が一時加入している。ステージ上では組んだことのない即席コンビを抱えることとなってしまったチームの総合力が、このMSIで試されることだろう。

TCL代表:fastPay Wildcats (Istanbul Wildcats)

画像3Istanbul Wildcats公式Twitterより

ヨーロッパに隣接した地域として、競技的な交流も多く、4大リーグに次ぐ地域とみなされてきた歴史のあるトルコリーグ。

チャンスを求めてTCLからキャリアをスタートし、TCLでの活躍からLECチームへと移籍してその後才能を開花させた選手も多い。現在LECで最高のミッドレーナーのひとりと見なされるCaps選手や、2019年デビューの新人ミッドレーナーたち、そしてArmut選手(MADトップレーナー)はみなTCLからプロ生活をスタートさせている。もちろん地域のプレイヤーやチームの実力も相応に高く、昨年のWorldsではTCLチームがプレイインステージにおいてMADとのBo5に勝利し、Worlds敗退に追い込むなど結果も残している。

IWはこの春、SUPやFBといった国際大会の常連を破ってMSIへのチケットを勝ち取った。チームの歴史はTCLでもかなり古い部類だが、リーグは中位を占めていた時期が長く、国際大会への出場経験はない。今シーズンは集団戦の強さでリーグ上位を勝ち取り、プレイオフではシーズン1位、プレイオフ決勝では国際大会の経験も豊富な大本命ともいえるSuperMassiveを破っている。地域外からの選手がほとんどいなくなりリーグ全体の強さは衰えた、との話もあるが、彼らの真の牙は集団戦のチームワークにある。力強い集団戦に期待したい。

CBLOL代表:paiN Gaming

画像4paiN Gaming公式Twitterより

スポーツと観戦がいずれも盛んなブラジルで、その熱気がesportsにも及んでいるリーグ、それがCBLOLだ。リーグの規模はマイナーリージョンの中ではかなり大きく、過去にはワイルドカード地域(当時)のチームとして初めて強豪リーグに勝利するなど記録的な結果も残している。ただ、近年はマイナーリージョン間での力関係も変化しており、以前ほどの結果を残せていないのも確かで、ファンの熱気に応える勝利を欲しているリーグでもある。

PGはブラジルにおける最古参チームの一角。過去のWorldsでは強豪地域のチームに勝利を収めたこともあるが、近年は国内リーグで苦闘しており、久々の国際大会への復帰となる。

なんと言っても注目はリーグを代表するボットレーナーであるbrTT選手だろう。競技シーン黎明期からプレイを続けるベテランながら、地域の期待を背負ってMSIへとやってきた。代名詞ともいえるドレイヴンはプレイオフでも活躍しており、大会でもピックされるか、それともバンされてしまうのかに注目だ。

グループB事前予想

Worlds 2020から数えて2回目の国際大会出場のMAD。プレイインステージで敗退した昨年の苦い記憶は、選手のみならずスタッフを含むチーム全体の進歩を促しているはずだが、国際大会の経験がまだ少ないという面は不安材料かもしれない。

一方でPSGは、旧LMS時代から活躍し、国際大会の舞台にも何度も上がった経験のあるベテランたちを筆頭に、国際大会経験が豊富な選手たちで構成されているので、MADのような不安は抱えていないはずだ。

どんでん返しが起こるとしたらマイナーリージョンのIWとPGからだろう。明らかな格上チームにどれだけ食らいついて行けるか、プレイ内容に注目したい。

いただいたサポートは、主に取材費に充てさせていただきます。取材先でのおやつ代にもなります!