読書2019

2019/12/21 16:55 に 旧アカウントにて投稿した記事を転載

2019年に読んだ本の中で、村上春樹さんとそれ以外でそれぞれベスト5を選びました。ベスト10と言いましたが厳密には異なります。やや「釣りのタイトル」でスミマセン(そんなつもりはないのですが…)。
振り返ってみるとけっこう再読が多めのようです。
そして記事の末尾に2019年に読んだ本リストを掲載します。

【村上春樹ベスト5】
1位 ダンス・ダンス・ダンス(長編小説)【再読】
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」の続編とされているので左記3部作の後に読むとなおさらですが、これだけ読んでも非常におもしろいと思います。ハデさはあまり無いかもしれませんが冒険性、ユーモア、あたたかさ、どれをとってもバランスが良いのでオススメします。そこまで長すぎないので初心者の方にも読みやすいでしょう。

2位 ねじまき鳥クロニクル(長編小説)【再読】
かなり長いですがオススメです。この作品から「井戸」や「暴力」が顕著に出てきます。これまでになかった「社会とのコミット感」が観られ、より世界的作家として著名になっていく足がかりになった作品ではないかと思っています。(もちろんこの作品までに氏の著作は世界中で売れていますが)

3位 回転木馬のデッド・ヒート(短編小説集)【再読】
短編集として。ややノンフィクション的な要素も入った珍しい作品です。

4位 遠い太鼓(紀行文・旅行記)【再読】
村上春樹は旅行記も非常におもしろいですがその代表作。1980年代後半つまり氏が30代後半から40歳に向けて、という時期。なぜ日本を飛び出したのか?氏のリアルな感情や描写が豊富で超オススメの1冊。小説が苦手な方もぜひどうぞ。

5位 使いみちのない風景(写真と旅と短いお話)
10月頃に買った本。写真は別の方が撮られています。あまり表立って語られないようなタッチの短いエッセイ。「ある雑誌を見ると僕の趣味のところに旅行と書かれていたが…」みたいなはじまり方をします(確か)。本当は、自分は「農耕型(狩猟型ではない)」で、では旅をする(移り住む)理由は?氏の根底にある「無常観」のようなものもありありと垣間みえ、短いながらもとても誠実に、かといって全く窮屈な感じではなく、さらっと読めて人生や日々の生活にあたたかい何かをもたらしてくれる名著だと思います。何度も読み返したくなる。

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【ベスト5(村上春樹以外で)】
1位 こころの声を聴く 河合隼雄対話集(河合隼雄 他)
ある読書家の方が推薦されていた1冊。思えば今年は(も)その方の推薦の本をずいぶん読んだように思います。感謝。そして「類は友を呼ぶ」ではないですが、河合さんと対談されているみなさんにも関心を持ち、いくつかの著作を読みました。なんだか今の時代に忘れられてしまったような「地味さ」と共に「地に足がついている感」も同時に知ることができました。僕が最も共感できる心理学者といえそうです。「こころの処方箋(新潮文庫)」も合わせてオススメですがあえてこの対談集を推薦。深い、広い、おもしろい。

2位 思考の整理学(外山滋比古)【再読】
「当時、東大生が一番よんだ本!」みたいな宣伝文句で書店に平積みされていたときに購入してもう3回か4回ほど読みましたがやはり色褪せず名著です。しかし他の連続して出版される外山氏の本は濃度が薄くなってきた(もしくはガンコになってきた)印象を持ちます。でもこういうのって自己啓発系作家の多くにも言えそうです。

3位 深夜特急3 インド・ネパール(沢木耕太郎)【再読】
禅やヨーガに今年はたくさん触れましたが、その中でフツフツと1年前に訪れたインド(北インド)の記憶が…。ハデな旅行記のように見えて沢木耕太郎さんの素朴な立ち振る舞いが非常にニュートラルに入ってきます(また、巻末に此経さんという方との対談が特別掲載されていますがこれがまたおもしろい)。ということで来年はボチボチと「深夜特急シリーズ」読んでいくつもりです。

4位 呼吸による癒し 実践ヴィパッサナー瞑想(ラリー・ローゼンバーグ)
禅の師に教えていただいた1冊。「呼吸法と健康」みたいなことはいろいろなところで語られていますが、その「方法論」を自然にそぎ落とし、それでも体験ベース、理論ベースでしっくりとくる1冊。「理屈を超えたところの理屈ってこんな感じか」と思わされます。うまくいえませんが実践あるのみなんだろう、と。あと「痛み」に関する考察がおもしろかったです。それは心や精神と密接につながっている。こういう本が手元に1冊あると励みになります。

5位 現代坐禅講義(藤田一照)
文庫本にしては厚いのですがこちらはそれこそタイトルに「現代」とか「講義」というのが入っているぐらいなので、より理論的。ですが4位の本と同じく理論ではありません。ちょっとなんとも説明は難しいです。理論なんだけど理論じゃないってところがどうもしっくりくるようです。「こういう世界があるんや」と知れるだけでも本当におもしろい。また筆者と他の関連分野(整体とかヨーガとか)の識者との対談も非常に明快でおもしろい。つきつめている人たちがいるということがなんだかうれしい。

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↓ 2019年に読んだ本リスト ↓

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