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「子供を殺してください」という親たち


タイトルをみたとき、てっきりこの本は子どもに悩むマンガかなと思った。

けど、全然違う。親に死んでほしい、死んでくれたらと思われた子どもたちの、切実な現場だった。


立派な毒親

共通する親の特徴。

それは、「子どもを認めない」こと。

常に子どもを否定し、自らの理想を押し付ける。

親の証言には「高校までは成績上位だった」「良い子だった」と、親の理想の姿をしていた子供の姿を懐かしむものがある。

子ども本人が、どんな人間なのかを、どんな個人なのかを表す言葉は無い。

そんな風に子どもを育てたのに、その報いが自分に向かっただけなのに、「自分の身が危ない」からと、今度は子どもに死んでほしいと願う親。

何を言わずとも、毒親であり、立派な虐待者だ。

このマンガを読んで、毒親がまるで魔王のようだと思った。


「子どもの心」という世界を壊した「親」という魔王

RPGの定番と言えば、魔王が世界を征服して恐怖に陥れる。

これは、そのまま毒親と子供の関係に当てはまる。

毒親によって恐怖を植え付けられた子ども。

毒親によって支配された子ども。


なら、魔王の支配から抜け出すためにはどうするか?

魔王を倒せばいい。

勇者が、魔王を倒す。

魔王が倒されたあとは、世界が恐怖から救われる。

そう言うと、「子どもが親を殺せというのか?」と言われてしまいそうだが、それはもちろんできない。

それでは子どもは救われない。親はどうでもいいけど。

じゃあどうするのか?

魔王を世界から追い出せばいい。


魔王は世界を治せない

魔王にできることは何か?

それは建物を破壊し、人々を殺し、恐怖に陥れること。

建物を建て、人々を癒し、安心をあたえる存在じゃない。

魔王は世界を治せない。

魔王という親に、子どもの心という世界は治せない。

魔王が改心して、世界を治してくれるRPGは存在しない。

つらい現実だけど、魔王がいる限り、世界に平和は訪れない。

「ぼくがこうなったのは親のせいだ!」

その通りだと思う。

「だから、お前の責任だ」

残念だけど、それはちがう。

責任ということは、その問題を解決すること。最後まで、立ち向かうことだ。

魔王が、自ら恐怖におとしいれた世界に、平和をあたえるのか?

あなたをそんな風にした親に、あなたを治す力があるのか?

あるわけがない。

親に、そんな力はかけらもない。

あなたの心をそんな風にした親に、責任はとれない。


魔王を世界から追い出す

魔王が世界に居続けるかぎり、世界に平和は訪れない。

じゃあどうするか?

魔王を世界から追い出す。

あなたの心という世界から、親という魔王を追い出すしかない。

親にどうにかしてほしいという気持ちが、きっとあなたにあるはずだ。

こんな自分にした責任をとれと、親にぶつけたいはずだ。

だけど、現実はムリ。

親は魔王だから。

あなたの世界の魔王だから。

だから、あなた自身が勇者となって、魔王を世界から追い出すんだ。

あなたの心に魔王はいらない。

魔王なんて捨てていい。

魔王が回復魔法をかけてくれることを期待しちゃいけない。


勇者になろう。

勇者になって、魔王を世界から追い出す。

親を頼らない。親に任せない。親にかかわらない。

親を捨ててしまえばいい。

あなたは勇者なのだから。

勇者は魔王を追い出す存在。仲間でも、奴隷でもない。

それができて、はじめて世界は復興の道を歩む。


第2巻の最後、押川さんの言葉がどうしようもないくらいにぼくの心に響いた。

「どうしようもないクソ親のことは、おまえからけじめをつけてもいいんじゃないか?」

親に暴力も、親を奴隷にするのも、親を非難し続けるのも、結局親に執着しているから。どこまでも、親に甘えている。

親に見切りをつける。

自分が、自分を治す。その覚悟が必要なんだと。


KindleUnlimitedなら2巻まで読めるので、興味がある人はぜひ読んでみてほしい。



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