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スペイン巡礼2018回想記(3)マドリード〜パンプローナ

 マドリードで1泊してから、巡礼の出発地サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(フランス)に向かう。

 スペイン旅行ではおなじみ国鉄レンフェに乗って、まずは北部の街パンプローナへ。牛追い祭りがよくテレビにとりあげられる街だが、後日再び通る巡礼路上の要衝でもある。

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(スペイン国鉄レンフェのパンプローナ駅)

 このパンプローナで、ちょっとしたトラブルがあった。

 乗るバスをまちがえて、自分の降りる停留所がわからず、気づいたら終点に運ばれていた。
 英語が通じない運転手さんはそれでも親切で、終点から折り返す別のバスの運転手に頼んで、パンプローナ市街地の停留所まで無料で連れ帰ってくれた。ありがたい。

 しかし旅行では、それぐらいのことはあるあるだと思っている。問題はこのとき、なぜか私と一緒に終点まで残った別の巡礼者らしき人(欧米系)がいて、なぜかその人に怒られたのである。

「まわりをよく見ていなきゃダメでしょ? みんなと一緒に動かないと」

 と、その人は言う(英語だった)。

 ごもっともではあるが、この人はなぜみんなが降りるところで私も降りると思っているのだろう。

 巡礼者らしき人々みんなが降りた停留所というのは、私も明日乗ることになるサン・ジャン・ピエ・ド・ポー行きのバスが出るバスターミナルだと思う。ある停留所でトレッキングスタイルの人たちがみんな降りたので、それは私にもわかった。
 しかし、私の本日の行き先はバスターミナルではなく、パンプローナの市街地だ。前述のとおり私は疲れていたので、大事をとってパンプローナで1泊入れていた。

「みんなと一緒に動け」だなんて、スペイン巡礼にまでわざわざ来ようという人間が、そんな説教をかますとは……。
 ついでながら、この人も一緒に終点まで来たのである。同じミスをしておいて、人につべこべ言えるのはなぜだ? 明らかに、お互いまちがえちゃったね☆ みたいな態度ではなく、おまえのせいだと言わんばかり。

 一応、私はそうじゃなく別の停留所に行きたいのだとガイドブック(日本語の文中に停留所名が欧文で書かれている)を指さしてみせたのだが、

「日本語なんてわかるわけないでしょ」

 と一蹴された。視界が粗い……。

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(パンプローナ市街地で迷いまくったあと、宿泊予定のホテルを標識にみつけて喜びのあまり撮った写真)

 出発前はやはり、スペイン巡礼に行けば、おもしろい人との出会いがあるかもしれない! みたいな期待は若干あった。
 ネット上のスペイン巡礼体験記ブログを読むと、たいてい巡礼仲間をつくってすばらしい交流をしている様子だし、「日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会」さん主催の「ワンデーカミーノ」イベントは、けっこう個性的な面々が参加していて興味深かった。その人たちも、すぐに巡礼仲間ができると言っていた。

 だが、「みんなと一緒に動くべき」というありがちな説教を通りすがりの他人にしてくる巡礼者に出会い、

(どこ行ったって人間は変わらないんだな。わざわざスペイン巡礼にくるような人間でも)

 と、しみじみ思った。

 この時点で、またしても巡礼が始まる前に、スペイン巡礼中の人間関係に対する特別な憧れは消え失せた。

 でも、期待したようなかたちではなかったけれど、私にも私なりの出会いはあった。それについては、また後日。

 ともかく、親切なパンプローナのバスのおかげで、無事市街地に戻り、迷いながらも何とかGoogle Mapを駆使してホテルに到着することができた。

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(パンプローナの有名バルで夜ごはん。まだバル慣れしてなくて緊張した!)

 明日はバスターミナルから、いよいよ巡礼の出発地サン・ジャン・ピエ・ド・ポー入りだ。

(スペイン巡礼2018回想記(4)に続きます)

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