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エンゼルス・大谷選手が日米通算150号。打たれた投手は何を思うのか。アスレチックス・アービン投手

打った瞬間に入ったと分かる当たりだった。エンゼルスの大谷翔平選手(27)が日米通算150号を放った。打った側の歓喜に、反比例する打たれた側の失意。この試合で被弾した投手は何を思っていたのだろうか。

22日(日本時間23日)に地元アナハイムで行われたアスレチックス戦。大谷選手は1番指名打者としてスタメン出場した。

初回、いきなりビッグアーチが飛び出した。アスレチックスの先発左腕、コール・アービン投手の2球目をとらえた。高めに抜けた121キロのカーブを強振。ボールはセンターへグングン伸び、フェンスを軽々と超えた。

飛距離135メートルは、大谷選手にとって、今季最長だった。ダイヤモンドを回りホームイン。ベンチ前でヘルメットを両手で高々と掲げた後、チームメイトに白いカウボーイハットをかぶせてもらい、ベンチで祝福を受けた。

打たれた投手のことを思った。大谷選手の一打に、背番号19の左腕アービン投手は打球の行方を追うことなく、悔しさのあまり、左手で自身の太ももをパンッと叩いていた。

アービン投手は左肩痛からの復帰登板だった。4月30日以来のマウンド。その出鼻をくじく先制パンチを食らった。「あれで試合を始めたくなかった」と、いきなりの被弾を振り返っていた。

アスレチックスの地元紙は「オオタニの本塁打がアービンの復帰ぶち壊す」と報じた。それだけ、衝撃的な一打だったのだ。

日本でホームランを打たれた男として最も有名なのは、鈴木康二朗さんかもしれない。王貞治さんが通算756号を放った時に、被弾したヤクルトの投手だった。ハンク・アーロンさんの持つ世界記録を更新する一発だった。

1977年9月3日、後楽園での巨人ーヤクルト。三回裏に飛び出た当たりだった。それ以後、鈴木さんは「王に756号を打たれた男」と言われ続けた。

しかし、鈴木投手は翌年に、チームの日本一に貢献。自らも13勝3敗と最高勝率投手となっている。

今回のアービン投手にとって、大谷選手の一撃はあまりに衝撃的だった。それでも、この試合を6回3失点に抑え、先発投手の及第点とされる「クオリティ・スタート」を達成している。負けはしたが、上々の復帰戦だったのではないか。

アービン投手はメジャー4年目の28歳。大谷選手とほぼ同じ年齢だ。これからも二人の対決を見られるだろう。

打たれて名を残し、その後の糧とする。そう考えると、大谷選手からの被弾は、良い経験となり、アービン投手の飛躍の礎となるはずだ。

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