
ヤクルト・青木選手は「バットの魔法使い」。一振りすると起死回生の同点打。サヨナラ劇につながった
ヤクルトの青木宣親選手のバットは、「魔法の杖」だ。一振りすると、劣勢だったチームに活力を与える。九回に1点リードされた場面で打席に立つと、起死回生の二塁打を放って同点に。最後はサヨナラ劇へとつながった。不惑の「魔法使い」は、チームに欠かせない存在だ。
17日にホームの神宮で行われた阪神戦。日本のプロ野球1500試合出場を記念したセレモニーが行われた。そして、この日は名実ともに「青木デー」となった。
試合は九回表終了時まで、阪神が1点をリード。そしてマウンドには左のクローザー、岩崎投手が上がる。
首位のヤクルトとしては意地を見せたいところ。先頭の山田選手が四球を選ぶ。続く村上選手はレフトフライに倒れたが、中村選手の中前ヒットで1死一、三塁となった。
ここで左打ちの青木選手がバッターボックスに入った。「左対左」は一般的に投手有利といわれる。しかし、青木選手に代打が送られることはなかった。こんな時こそ、ベテランの力が必要なのだ。
日米通算2600本超の安打を放っている男。メジャーではロイヤルズの2014年リーグVに貢献している。ここ一番でこそ、彼のバットに期待がかかるのも当然だろう。
緊迫の場面。初球は高めの変化球。見送ってボール。次の球は外角のスライダーを見送ってストライク。カウント1-1に。
そして3球目。青木選手は126キロのスライダーを強振すると、打球は右中間へ。三塁ランナーが還る二塁打となった。塁上で、青木選手は手を激しく叩いて、右手でガッツポーズ。喜びが爆発した。ここで代走が送られ、青木選手はベンチへ戻った。これほど満足な気分で戻ることも、そうないだろう。
なおも二、三塁の場面で、オスナ選手がライトへサヨナラの犠飛を放って、勝負あり。青木選手はサヨナラ打のオスナ選手にジャンプして抱きついた。サヨナラ劇の主人公2人による「カーテンコール」にも思えた。
劣勢からの起死回生の一打。青木選手の巧みなバットコントロールによるものだ。その技で、バットを「魔法の杖」に変え、一振り。たちまちチームを勝利の流れに乗せる。
「バットの魔法使い」青木選手。チームの2年連続日本一には、彼の「魔法」が欠かせない。
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