人生はじめてのバイトは小走りで
高校一年生の娘の話。
彼女はN高生です。とってもとってもうらやましい。
その話はまた別にするとして、週3回しか学校に行かないので、「バイトをしたい」ということになりました。
もちろん、理由はそれだけではないです。
お友達に恵まれ、男の子も女の子もとにかく仲良しで、休みの日もよく遊びに出かけるようになりました。
「おこづかい」が足りない。
のが一番の理由です。
そしていろいろバイトを探していたのですが、
一つはあっさり「ご縁がなく」、
一つは折り返しの電話をもらえるはずが、全くもらえず。
一つは15歳ということであきらめました。
「高校生可」というバイトも少ないのですが、アルバイトは「16歳以上」というところが多いのですね。知らなかったです。
近くにできた韓国料理屋さん。お昼どきはとっても賑わい大繁盛。たまに食べに行きますが、娘は気づきました。
「韓国料理」なのに、どうしてかかっている曲がK-popじゃないの?
許せない様子。
バイト募集の紙をスマホでパシャリ。
「絶対にK-popにすべきだって店長に言うんだ」
結局ご縁はなく、店長は高校生にそんなことを言われずに済みました。
そしてある日、いよいよご縁が。
(実際に働くので場所や職種の詳細は伏せます。)
面接から帰ってきた娘に「どうだった!??」と聞くと、なんと「即合格」だそうで、びっくり。
「どうして?どんな面接だったの?」と聞くと、
「チヤホヤされた。」
らしいです。そこ・・・大丈夫かなと思いましたが、そりゃあ20代の社会人お姉さんたちから見たら、15歳の小娘はピチピチに見えるでしょう。
そして、いつもタレ目の笑顔で「ありがとうございます」が口癖の娘。
私が面接官なら即合格だよ!
とお母さんは親バカ丸出しで喜びました。
親の私は大学生以来、ほとんどお化粧なんて力を入れたことがないのに、高校一年生にして、お化粧がプロ並みに上手い娘。
先日一緒に美容院に行った時の話。
髪のセットはどのようにされていますかの質問に、「全く手をかけていません」という私。
娘を担当したお姉さんから、
「娘さんからヘアオイル借りてください」と言われました。
「娘さんの美意識を見習ってください」と言われているようでした。
鏡に映る苦笑いの顔に広がるシミやシワが、数倍にも増えたように見えました。
それはさておき。
きちんとした身なりと言葉づかい、身のこなしが必要とされるお仕事です。
さあ、実際に始まるのはこれからだけど、楽しんで行っていらっしゃい。
人生ではじめて。
働いてお金をいただく。
自分の時間を差し出すということ。
人間関係もお金や仕事の仕組みも、たくさん学んでおいで。と私の方がワクワクしています。
続くかわからないけど。
何度でも、どんな仕事でも、やってみればいい。
そんなワクワクと同時に、娘の書いた提出書類の最終チェックをしていた私たち母娘。
交通費の申請書に驚くべきミスを発見。
通勤方法の欄に、徒歩(とほ)と書くべきところ、
徒走
と書いていたのです!
朝、誰よりも早く起き、イヤホンをつけて朝日とともにウォーキングが日課の娘。もちろんこのバイト先にも歩いて行きます。
それなのに、「徒走」と申告。
調べると、これは歴史民族用語で、「カチハシリ」と読むそうです。
小走りで戦い(バイト)の場に向かう、メイクばっちりの兵士(娘)の姿を想像して、笑いが止まりませんでした。
こんな娘も、小学生の時は忍者にあこがれ、「見つからないごっこ」にさんざんつき合ったのを思い出します。
そんなこんなで、この「徒走」を調べていた時、全く違う意味でとらえる人々の会話を見つけました。
小学校の運動会のプログラムに「徒走」とあり、内容は50m走のかけっこ。
「徒競走」という表現をあえて使わずに、どうやら順位の優劣をつけなくて良いように競い合うという言葉を取り除いたのではないか。
とのこと。
現代の学校では「競争」が避けられている。ある学校では、学芸会で白雪姫が7人も舞台に立つ。運動会のお弁当は皆が平等になるように(各家庭の差が分からないように)教室で食べるようになった。
などなど。「徒走」からふくらんだ話は、現代の日本の教育について考えさせられる内容にまで発展していました。
確かに競争による弊害はあるのかもしれないけれど、全くないのもどうなのかな。挫折を味わうことなく大人になると、どうなるのだろう?
ココでは書ききれないので別の機会に。
「徒歩」に修正せず、そのまま「徒走」で提出することにした娘。頑張って小走りで通勤してください。
美意識の高い娘は、うっかりミスやもの忘れの多い、愛すべきキャラクターの持ち主です。
競争も失敗も挫折も適度に味わい、寛容な社会に包まれ、のびのびと暮らしていくことができますように。
サポート頂けたら嬉しいです!自分の世界をどんどん広げ、シェアしていきたいです。コツコツ階段を登り続け、人生を楽しみ尽くします。