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英雄問答

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司馬遼太郎全作品から、英雄の心構えや技法を中心に約3300項目の「ダンディズム」を抽出。それらを対話形式でまとめた、時代に“逆行”する自己啓発書。 まえがき~修行したオヤジが「英…
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2017年7月の記事一覧

1-2弁が立つからなめられる

塾長:薩摩人の間では「沈黙が倫理」とされていた。下野する西郷隆盛と大久保利通との最後の対面は、薩摩人の「沈黙」をよく表している名場面といえるだろうね。  西郷はしばらくだまってすわっていた。こういう場合の沈黙に耐えるのは薩摩人の特徴であるが、その点において大久保のほうがむしろ深刻な耐久力があるといえる。大久保は背筋をのばしたまま黙っている。〔翔ぶが如く〕 『翔ぶが如く』の主人公候補だった村田新八は典型的な薩摩人で、〈軽忽な男ではなかった。無口で、動作に陰翳があり、物を問い

1-1「からっぽ」はよくしゃべる

塾長:若いころは、誰でもおしゃべりなもので、「沈黙の提督」とよばれた東郷平八郎ですら、とてもおしゃべりだった。  ある人が大久保利通に東郷を推挙したのだけれど、大久保は「東郷はおしゃべりだから」という理由で却下してしまった。〔翔ぶが如く〕  この一件で懲りたのだろう。その後の東郷はみずからに「沈黙」を課し、日露戦争で大活躍するころには「沈黙の提督」として、すっかり沈黙キャラが板に付いていた。  伊藤博文も若いころは、〈中年以後の彼とはちがい、多分に軽躁浮薄〉で軽口だったんだけ