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症例05:舟状骨骨折にはグラスホールドポジション

1ヶ月前に転倒して手首の痛みが取れない為来院された患者様です。

圧痛は舟状骨結節を中心に存在するのに、レントゲンにて著しい骨折所見が認められずMRI撮影をして舟状骨骨折だと判明いたしました。


恥ずかしながら舟状骨骨折を対応するものが初めてだったものであたふたしていると先輩からひとこと。


グラスホールドポジションで固定しておいて!



少し時間をもらい改めて調べ直してから固定に望みました。

こういう時、瞬間に、短い言葉で、本質をつくのがうまいなあといつも思い知らされます。
欲しい情報をいいタイミングで引き出せて、相手に渡せるように今日も勉強していきたいと思います。


⒈舟状骨骨折とは

発生機序

・手関節過伸展位での外力が橈骨-舟状骨-有頭骨靭帯に過緊張をもたらし発生する骨折

見逃されやすい骨折

・XPでも骨折を確認するのは難しい
・骨折だが外見上の腫脹、変形が少なく捻挫と誤診されやすい

嗅ぎタバコ入れの圧痛

・長母指伸筋腱と短母指伸筋腱に囲まれた部位の下に舟状骨が存在
 ・Snuff boxの限局性圧痛が特徴的な臨床所見

XP撮影方法


・XP撮影時は必ず5方向撮影が必要  
  ⑴正面像:Russe撮影 ⑵側面像
  ⑶15°回内位の正面像   ⑷15°回外位の正面像
  ⑸手を握り、手関節尺屈位での正面像
(★Russe撮影:握りこぶしを作って手根部を20°挙上、手関節最大尺屈位で撮影)

・XPで骨折線が確認できない場合CTやMRIを用いる
・初診時に分からなくても2W経過時に骨折部が明瞭となることもある

Herbert分類が一般的

・骨折の部位、安定性、損傷からの時間を考慮したHerbert分類が用いられる


⒉グラスホールドポジションによる固定

Thumb spica cast

・手関節中間位〜軽度背屈位、母指は対立位にてグラスを持つような肢位で前腕からMP関節にかけてギプス固定

・6〜12Wの外固定が必要


と大まかにこんな感じですかね。
当院では骨癒合器も使用しているので早めにくっついてくれるといいのですが。

それでは!