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かたわれどき

 特養の3階ホールからの外の景色は高速道路の車の流れ、雲の流れや空模様が見え、見晴らしも良く、時には心を癒してくれます。特に夕方の車のテールランプや夕日がとても美しくずっと眺めていたいくらいです。

 そんなある夕食時のことです。カーテンが閉まっていたので開けると見事な夕焼けでした。窓際に居た利用者さんが「わぁ、きれいやなぁ。すごいなぁ」と歓声を上げました。あまりの大きな声に少し驚いたくらいです。その声に他のご利用者さんも外を見て「ほんとだねえ」と・・・静かな時が流れました。

 それから外を眺めながら昔の話に耳を傾け、一緒に笑ったり、お願い事を聞いたりと楽しいひと時を過ごしました。

 毎日同じ風景でも一日を通してみた時や、季節やその時の心情によっては時に感傷的になったり癒しになったりと違って見えてくるものです。

 特に年齢の違いは大きく、春が来ると「また来年も桜がみられるかな」の言葉を耳にします。その意味をよく理解して、穏やかな時間を一緒に過ごせたらいいなぁとおもっています。

特別養護老人ホーム 清華苑
大島さおり

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