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「奴隷ラムシル」連載化構想 その4 プロット

ラフ・プロット

 昨日の基本構成を基にプロットのアイデアを考えました。ラフ・プロットを図にしたものはこれです。

 最も大きな変更は冒頭の部分です。新たに冒頭でのみ出て来る人物を1人加えます。その人物は砂漠で奴隷として捉えられて逃げ出す事ができました。ただし、実際にその人物が出て来るのではなく報道の中で映されるのみです。その人物が登場する報道映像を主人公ラムシルが観ますが、それと同等の過酷な奴隷生活が後のラムシルに降りかかってくる事を匂わせます。

 匂わせるどころか読者は主人公がそれと同じ事になるとわかってしまうので、短時間でできるだけ酷い状況を伝えた方が良いでしょう。主人公にとっては伏線のようなものですが、読者に対してはネタバラシです。(実際にはもっと酷い事になるにせよ。)

仕掛けのネタバラシ

 (ネタバラシ不要の方は読まないで次へ行ってください。)

 さらにここでネタバラシしてしまうと、これはSF的仕掛けにも関わります。映像の人物は通常社会に戻ってきて脳は自動的にセカンダリー・システムに接続されますからその知識はシステムに吸い込まれます。ただし、恐怖の部分は自動的に切り取られて捨てられます。「通常は。」

 ラムシルが開発している新規事業のシステムは切り捨てられる部分を利用しますのでセカンダリー本体には入りませんがラムシルの試験システムでは利用されます。これはラムシルが意図的に利用するのではなくてラムシルの組んだプログラムが勝手に利用するのでラムシル本人にはわかりません。

 つまり、ラムシルは意図せずにその人の経験を追体験してしまうのです。

 そして、エンディングで自分の体験がシステムの中でのものだったとわかりますが、その体験は厳しいものであったと同時に甘い部分もありました。つまり、ラムシルのシラへの想いは中吊りになってしまいます。そしてラムシルは冒頭の報道映像の人物に思い当たります。オリジナル版では「ああ、そうだったのか」で終わりますが、この心理的中吊りをどうするかはこれから考えなければなりません。連載継続か、それとも続編にするか、あえてそこで止めてしまうか?

研究所の中

 図では緑の部分です。

 ここでは潜入工作員のエリスという女性が出てきます。エリスはプログラマーとしてそこにいるのですが、組織には疑われていてカルロスに監視されています。

 オリジナル版ではカルロスにただ疑われていて、対決場面は研究所の爆破の時のみですが、これを変更して爆破前に気付かれてカルロス(男性)に捕まり理不尽な暴行を受けるようにしようと考えます。これをラムシルが知る必要がありますのでラムシルは陰から見ていて助けに入る事から次の展開へというのはどうかと考えます。

 助ける過程でエリスは自らの所属する国の組織に連絡をとり、援軍が覇権されます。この後でエリスには悲劇が訪れてしまいます。(これはオリジナル版でも同じ。)ただ、エリスに起こる悲劇には手を加える事になるでしょう。(これはちょっと考えます。)

奴隷化

 奴隷化の中で少し強調しようと考えているのは2点あります。

 1つ目は、捕まってすぐに去勢されそうになりますが、オリジナル版では第一婦人シラの援護によって簡単に免れます。この部分をもう少し危機感を強調するものにします。例えば、同時に連れて来られた奴隷達が何人か先に去勢され、それを恐怖の眼差しで見ている。そして自分の番が来るというようなものです。

 そして方法も具体的にしようと考えます。(読んでいる事に耐えられるかという事もありますが。)


 2つ目は上下関係をはっきりさせて、特に第二婦人の性格をもっとキツいものとし、奴隷へのイジメをはっきり前に出そうというものです。これは権力に伴うものなのでかなり理不尽でも良いという事です。第一婦人であるシラとの争いもその理不尽の理由に含めるのが良さそうです。


困る事

 上記のような変更を行う事で少し困る事も出て来そうです。オリジナル版では本文の前にあるセンテンスを入れました。

『日の名残』より(カズオ・イシグロ著)

どこの誰に生まれついたって、
金持ちだって貧乏人だって、みんな自由をもっている。
自由に生まれついたから、意見も自由に言えるし、
投票で議員を選んだり、辞めさせたりもできる。
それが人間の尊厳であり品格ってもんですよ。

 これが意味的に薄まってきてしまいますので、削除しようかと考えます。無くてもテーマのようなものは隠しておいてかまいませんし。


今日はここまで。そろそろ書き始めます。

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