7つの習慣を実践する(1)
「7つの習慣」という本をご存知ですか?
聞いたことのある方も多いと思います。
数ある自己啓発本の中でも、トップオブトップに君臨している本です。
多くの方々が、人生の指南書としてこの「7つの習慣」を挙げています。
実はこの「7つの習慣」、全部で約500ページとまぁなかなかボリュームのある本なんですが、複数回に分けて、本書の内容をこのnoteに共有することに決めました。
理由は単純で、より多くの人がこの本を読むべき、そして実践すべきと思ったからです。
今回は第一回。
今回は実践というよりは、本書の目的や、内容を実践するに当たって、まず知っておかなければならないことなどにフォーカスしています。
では始めていきましょう。
個人主義と人格主義
著者のスティーブン・R・コヴィー博士は「成功に関する文献」の研究にとても熱心でした。
そこであるパターンを発見します。
ここ最近の50年間の間に出版された「成功に関する文献」はどれも、社交的なイメージのつくり方や、成功に必要とされるテクニック(相手が自分を好きになるように仕向けるテクニック、相手の趣味に興味があるかのように振る舞うテクニック、etc)についてなどとどれも表面的であるというのです。
このように「成功は、個性、社会的イメージ・態度、スキル、テクニックなどによって人間関係を円滑にすることで得られる」という考え方をコヴィー博士は「個性主義」と名付けました。
これとは対照的に、アメリカ建国から150年の間に書かれた「成功に関する文献」は誠意、正義、謙虚など、人間の内面にある部分を成功のキーワードとして挙げているのだとか。
このように「実りのある人生には、それを支える基本的な原則(誠実、正義など)があり、それらの原則を体得し、自分自身の人格に取り入れ内面化させて初めて、真の成功、永続的な幸福を得られる」という考え方をコヴィー博士は「人格主義」と名付けました。
そして、コヴィー博士はこの「人格主義」があらゆる成功を支える土台であると言っています。
ここで勘違いをして欲しくないのが、「個性主義」のさまざまな要素が成功には必要ないと言っているわけではないということです。
時には不可欠なときもあります。
コヴィー博士が伝えたいのは、「成功には確かに個人主義の要素も必要だが、それはあくまで二次的なもので、第一の要素ではない」ということです。
僕たち人間は、どうしても「楽」をしようとしてしまいます。
何か悩みがあるとき、状況を打破するための「コツ」や、成功している人たちが実践しているであろう「秘訣」などを知ろうとしますよね。
でも、いくら人に影響を及ぼすテクニックを磨いたところで、二面性があったり、不誠実であったり、人格に根本的な欠陥があったら、最初はうまくいってもいずれは不信感を招き、相手からは「自分を操ろうとしてる」と捉えられてしまいます。
基礎となる人格のよさがあって初めて、テクニックも生きてくるのです。
そしてこの「7つの習慣」は「優れた人格」を獲得するためのバイブルです。
「パラダイム」の力
パラダイムという言葉をご存知ですか。
簡単に言えば、パラダイムとは物事の「見方」のことで、物事をどう認識し、どう理解し、どう解釈しているかということです。
少し実験をしましょう。
下の写真を10秒間見てみてください。
見ましたか?
では次は下の写真を見てみてください。
女性の顔が見えましたか?
20代くらいで、小鼻がかわいらしくて、おしゃれな服を着ている、華やかさを感じる女性?
何を言ってるんですか?
女性は女性でも、僕には年寄りで、どこか悲しい雰囲気を漂わせている、鼻の大きいおばあちゃんにしか見えません。
もう一度、二枚目の写真を見てみてください。
おばあちゃんが見えるまで、じっと目を凝らしてみてください。
見えましたか?
ヒントです。
あなたが若い女性の「耳」と思っていた部分が老婆の「目」の部分に当たります。
わかりましたか?
僕もこの写真が若い女性を描写していると気づくまで時間がかかりました。
なぜなら、僕は下の写真をみていたからです。
すごくないですか?笑
とても有名な認知実験なので、少しでも心理学をかじったことのある人は知っていたかもしれませんね。
この実験が教えてくれるのは、「経験による条件づけが、私たちのものの見方(パラダイム)に強い影響を与えている」ということです。
たった10秒の条件づけでこんなにも見え方に影響を与えているんです。
あなたは今何年の人生を生きていますか?
あなたのものの見方(パラダイム)はいったいどれだけ条件づけの影響を受けているんでしょうね?
誰しも、自分は物事をあるがままに、客観的に見ていると思いがちである。だが実際はそうではない。私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件づけされた状態で世界を見ているのである。何を見たか説明するとき、私たちが説明するのは、煎じ詰めれば自分自身のこと、自分のものの見方、自分のパラダイムなのである。
「私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままの世界を見ている」
これです。
僕たち人間は、相手との意見が合わないと、相手のほうが間違っていると瞬間的に思ってしまいます。
先ほどの認知実験でも、まさかこの写真が老婆に見えるなんて信じられなかったですよね。
同じものを見ても、それ以前の経験によって解釈が変わってしまうんです。
でも、この自分の中にあるパラダイムを自覚できるようになると、それを見つめて、現実にすり合わせることができます。
また他の人の意見に耳を傾け、その人のパラダイムを受け入れることもできるようになります。
結果的には、はるかに客観的で、より大きな絵が見れるようになるんです。
しかし、今の時代に生きる多くの人のパラダイムは「個性主義」の影響を強く受けています。
なので本当の幸せ・成功を得るには「個性主義」から「人格主義」へパラダイムシフトをしなければいけません。
つまり「個性主義」に基づいたものの見方から、「人格主義」に基づいたものの見方へ、鍛錬を積んで少しずつ変えていきましょうということです。
実はあなたはすでにこのパラダイムシフトというものを経験しています。
次のストーリーはコヴィー博士が実際に経験したパラダイムシフトの例です。
ある日、私は電車に乗っていた。そこに一人の男性が子どもたちを連れて乗車してきた。途端に子どもたちが車内で大声で騒ぎはじめた。車内の平穏は一瞬で破れ、他の乗客はイライラしはじめている。しかし、子どもたちの父親は私の隣に座っていて、目を閉じていて、何もしようとしない。私自身も自分の子どもたちの傍若無人ぶりを放っておき、親としての責任を何も果たそうとしないこの男に苛立ちを抑えられなかった。私は精一杯に穏やかに「お子さんが迷惑になっていますよ。少し大人しくさせていただけませんか」と伝えた。すると男は目を開け、子どもたちの様子に初めて気づいたかのような表情を見せて言った。「あぁ、そうですね。どうにかしないといけませんね。......病院の帰りなんです。一時間ほど前にあの子たちの母親が亡くなって。あの子たちも動揺しているのでしょう。」私のパラダイムは一瞬にしてシフトした。突然子ども達の様子がまったく違って見えたのだ。違って見えたから、考えも、感情も、行動も変化した。苛立ちは消えてなくなり、私はこの男の苦しみに共感した。同情と哀れみの感情が溢れ、自然と「お気の毒に。何か私にできることはありませんか?」という言葉がでた。
あなたにも似たような経験がありませんか?
何かひとつのことがきっかけで、その人・ものに対する見方が一瞬で変わったという経験。
それがパラダイムシフトです。
ただすべてのパラダイムシフトがこのように一瞬で起こるとは限りません。
困難にぶつかりながらも時間をかけ、意図的なプロセスによってもたらされるものもあります。
むしろ僕たちが目指すパラダイムシフトはこっちのタイプです。
ここで覚えておいて欲しいことは、「パラダイムシフトがプラスに働こうがマイナスに働こうが、あるいは一瞬にして起ころうが徐々に進行していこうが、ひとつのものの見方から別の見方に移行することは大きな変化を生む」ということです。
原則中心のパラダイム
ここで一旦、「人格主義」の定義についておさらいです。
「実りのある人生には、それを支える基本的な原則(誠実、正義など)があり、それらの原則を体得し、自分自身の人格に取り入れ内面化させて初めて、真の成功、永続的な幸福を得られる」という考え方
自然界には引力の法則など時間を超えて不変であり絶対的な法則がありますね。
これと同じように、人間社会にもまた時間を超えて不変、そして普遍的、異論を挟む余地のない法則があります。
それが原則です。
出身国や宗教など、どんなに社会的な条件づけが違っていても、原則はすべての人間の内面に必ず存在しています。
もちろん、これらの原則に対する忠実さの程度は人それぞれ異なるし、忠実さが低かったりすると、原則が見えず、感じ取れないこともあります。
でも、そのような人でも、原則は内面のどこかに存在しているんです。
では原則とは具体的にはなんなのか。
原則の具体例をいくつか紹介します。
公正さ(正義・平等)
小さな子どもの行動を見れば人が生まれながらに公正の原則を備えているのは明らか。
誠実・正直
協力関係や長続きする人間関係、個人の成長に不可欠な信頼の土台となる原則。
成長・可能性
私たちは常に成長することができ、潜在する能力を発見し、発揮し、さらに多くの才能を開花できるという原則。
他にも、貢献・奉仕・忍耐・養育などさまざまな原則が存在します。
ちなみに原則は価値観とは少し違います。
価値観とはつまり「その人のあるがままの世界」であり、原則は「あるがままの世界」です。
犯罪者には犯罪者なりの価値観、もしくは理由があります。
でも、彼らの行動は原則には明らかに反していますよね。
少し考えてみてください。
不正、詐欺、卑劣、無駄、堕落、裏切りといった価値観があなたの望むような長続きする幸せや成功の土台になると思いますか?
思わないですよね?
もしいるんだとしたら、ちょっと悲しいです。
正しい原則に価値観を置いて、それに従って行動することが幸福や成功の土台になることはすでに歴史が証明しています。
それなら、どんなに時間がかかってでも、この「正しい原則に価値観を置き、それに従って行動」ができるように努力すべきではないでしょうか。
僕は、誠実、成長、貢献の3つを自分の内面の中心に据える原則にしたいと考えています。
少し逸れますが、誠実や貢献などといった言葉が話題にあがると、「偽善」という言葉が度々出てきます。
同じ奉仕活動でも、「すばらしい人だなぁ」と言われる人と「偽善者ぶるな」と言われる人がいるのはなぜでしょうか。
そういうことを言う人がそもそも原則とはかけ離れた価値観で物事を見ているから?
世の中の奉仕活動に従事しているあらゆる人間をみて、「いい人ぶりたいやつの集まりだよね」と言う人も残念ながらいますね。
なのでそれももちろん可能性として大いにあります。
でも、「すばらしい人」と「偽善者」の違いを生んでいるのは紛れもなくその人の「人格」によるものだと思うんです。
さっきも話しましたが、僕たち人間は、他人の二面性だったりを違和感として察知できるものです。
僕ももしかしたら二面性があるのかもしれません。
友達が僕がどんな人間か話すとき、わりと多くの人が「優しい人」や「誠実」といったことを言ってくれます。(とてもうれしい)
でも「なんか裏がありそうだよね」とも言われたことがあります。
正直自分でもわかりません。
何かしらの形で世の中に、人に貢献したいという気持ちは確かにあります。
でも自分でも気づいていない「貢献」とは相容れない「何か」が自分の内面に存在していて、それを周りの人が感じ取っているのかもしれない。
「何か」がなんなのか、今はまだわからないんです。
だから「7つの習慣」を実践していくなかで明らかにできたらいいなぁって思います。
そして最終的には、この本のゴールの一つでもある「正しい原則に価値観を置き、行動することで、人格主義のパラダイムを獲得する」を達成したいなぁって思ってます。
目指せ脱・偽善者!です。笑
インサイド・アウトのアプローチ
コヴィー博士は「7つの習慣」を実践し、新しいパラダイムを得ることで、継続的な幸福、そして成功を実現できると言っています。
ただ、博士はこれらの実践を始めるための大前提として、「インサイド・アウト」という言葉を挙げています。
インサイド・アウト(内から外)とは簡単に言ってしまえば、「自分自身の内面から始める」ということです。
例えば、あなたが幸せな結婚生活を望むのなら、まずはあなた自身がポジティブなエネルギーを生み出し、ネガティブなエネルギーを消し去るような人間になる。
自分の子どもにもっと協調性のある人間になってほしいと望むのなら、まずはあなた自身が子どもを理解し、子どもの視点に立って考え、一貫した行動をとり、愛情あふれる親になる。
仕事でもっと裁量がほしいと望むのなら、もっと責任感が強く協力的で、会社に貢献できる社員になる。
信頼されたいのなら、まずは信頼されるに足る人間になる。
このように、何に関しても、まずは内面のもっとも奥深くにあるパラダイム、人格、動機を見つめることが大事です。
人生のゴール
コヴィー博士はこの本のなかで、「周囲の人たちと影響を与えあい、相乗効果を発揮することによって、相互依存関係を築き、自分一人では成しえなかったような大きな成果を周囲の人たちとともに実現すること」を人生のゴールの一つとしています。
博士はこれを「公的成功」と呼んでいます。
しかし、この公的成功を実現させるためにはまず、自分自身を制する私的成功を果たさなければなりません。
自分自身を高めずに他者との関係がよくなるわけないですもんね。
相互依存とはなにか
相互依存についてもう少し詳しく説明します。
博士は成長には3つの段階があるとしています。
依存、自立、そして相互依存です。
依存の段階にいる人間は「あなた」というパラダイムを持っています。
あなたに面倒を見てほしい。
あなたに結果を出してほしい。
あなたが結果を出さなかった。
結果が出ないのはあなたのせいだ。
自立の段階にいる人間は「私」というパラダイムを持っています。
私はそれをできる。
私の責任だ。
私は自分で結果を出す。
私は選択できる。
そして相互依存の段階にいる人間は「私たち」というパラダイムを持っています。
私たちはそれができる。
私たちは協力しあえる。
私たちがお互いの才能と能力を合わせれば、もっとすばらしい結果が出せる。
ではなぜ私たちはより良い「相互依存」の関係を築くべきなのでしょうか?
それは、私たちの社会が相互依存で成り立っているからです。
どんなに自立した人間でも、何らかの形で誰かに依存しています。
子供は親に依存しています。
親は職場に依存しています。
企業は顧客に依存し、自治体は納税者に依存します。
政治家だって有権者に依存していて、研究者は出資者に依存している。
「世の中が相互依存で成り立っている以上、私たちは自立というしっかりとした土台を築いた上で、さらに相互依存の能力も身につけなくてはいけない」ということです。
本書の流れ
本書の流れとしては、まずは第1、第2、第3の習慣で私的成功を目指します。
そして第4、第5、第6の習慣で公的成功を目指します。
最後の第7の習慣では、それぞれの習慣に磨きをかけ、より効果的な相互依存の実現を目指します。
さあ、旅に出よう
実は僕が本書を初めて読んだのは、まだ高校生の時でした。
大学でももう一度読みました。
そして今、本書をまた手に取っています。
理由としては「過去二回、読んだ後に果たしてちゃんと行動したのか?」と自問自答した時、自信を持ってイエスとは言えなかったからです。
僕は今回、これが自分の人生が変わるきっかけになるだろうなってなんとなく感じてます。
「この本のエッセンスを獲得できた!」と思えるまでにはどれくらいの時間がかかるんでしょうか。
果てしない気がします。笑
でも、この本と向き合ってがんばり続けた先には何かものすごく幸せで充実した未来が待っている気がして、楽しみです。
コツコツとやっていくのは得意なのでがんばりたいと思います。
今回はこのnoteを読んでくれる人にもなるべく簡潔にわかりやすく、要約する努力をしましたが、とってもボリューミーになってしまいました。
もし、ここまできちんと読んでくれた方がいるのなら、感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。
もし、この記事を読んで少しでも刺激を受けてくれていたらとっても嬉しいです。
これからもnoteでは、それぞれの習慣についての説明や、自分が実際にやってみて気づいたことなどの共有をしていくつもりなので、ぜひ読んでくれた方も実践してくれたらなぁって思ってます。
もちろん実際に「7つの習慣」を手に取って、読むのも大ありですよ。
一緒に旅に出ましょう。
(第二回記事はこちら)
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