9月スライダー

「娯楽の殿堂」の特異な軌跡を再発見! !『藤森照信のクラシック映画館』写真家が語る本書の魅力とは?/前編

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絶賛発売中の『藤森照信のクラシック映画館』について、写真撮影を担当いただいた中馬聰さんに前後編で語っていただきました。前編では、主に本書が生まれた経緯について語っていただきます。

はじめまして、中馬聰と申します。関西で映写技師として働いていますが、写真家としても活動を行っています。

現在、映画はスマートフォンからシネコンまで、いつでもどこでも楽しめる様々な鑑賞手段が整っていますが、ではその始まりの19世紀末、海外から日本に映画が初めて上陸した時代、どのような場所で上映されていたのかご存知でしょうか? 日本で初めて造られた映画館とはいったいどこで、どのような形だったのでしょうか?

本書はこれまで詳らかにされてこなかった謎多い日本の映画館建築に迫る一冊です。

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謎多い、と書きましたが、映画に関する書籍は監督論や作品論など数多くあれど、なぜか映画館に関するものは数少なく、さらに映画館の成り立ちや歴史についてまとまとまった文献はこれまで無かった!のです。

日本に映画が紹介されて以降、人々の娯楽として爆発的な人気となり、映画館の数は瞬く間に急増、最盛期には全国に7400館以上も造られた、にもかかわらずです。

その理由として、これは逆説的ではありますが、当時の人々にとってあまりにも身近な、日常的な風景となった映画館は常日頃から目にする当たり前の場として、わざわざ記録を取ったり、研究する意欲が湧かなかったのかもしれません。今でいえば、例えばカラオケボックスやコンビニエンスストアを記録調査するようなものかもしれません(それらの研究を現在行っている方もいるかとは思いますが…)。

それゆえかどうか、映画館の記録や写真は少なく、資料もほとんど残されていません。また映画の人気が斜陽に向かうにつれ、数多くあった映画館は次々と閉館し、現在、古くからの映画館はほとんどありません。
そうした映画館建築の困難な歴史に向かうは、建築家・建築史家・建築探偵の藤森照信先生です。

本書の執筆にあたり、残された僅かな資料を駆使し、現存する数少ない歴史ある映画館のフィールドワークを重ねました。

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ここにようやく、初期から最盛期の映画館の姿が藤森先生ならではの筆致と観察眼で紙上に再現された、本邦初の映画館建築の書『藤森照信のクラシック映画館』が誕生しました。
是非、本書を紐解いて、映画館建築に触れてみてください。あなたの側にある映像が辿ってきた歴史がここにあります。

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後半では、撮影の裏話についてたっぷり語っていただきます。

後編はコチラ

また、本書の関連写真展並びに藤森照信先生のトークイベント開催が続々と決定しています。こちらも是非お越しください。

・1月12日(日)青山ブックセンター
「藤森照信×木村俊介 トークイベント」
http://www.aoyamabc.jp/event/movietheater/

・1月18日(土)-29日(土)メリーゴーランド
「映画館のかたち:中馬聰写真展」

・1月26日(日)京都・徳正寺
「藤森照信氏 トーク&サイン会」
https://www.mgr-kyoto2007.com/talk-show

『藤森照信のクラシック映画館』
全国書店・Amazonなどオンライン書店で好評発売中!!


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