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2020年11月12日 ブラック & ネイビー、オックスフォード、コンビブーツ

Siroeno Yosui の完成したばかりのビスポーク靴を囲みながら、作り手たちにこだわったところや苦労したことなど話してもらうシリーズです。

今回はこちらのオックスフォードブーツについて話してもらいました。よければお付き合いくださいませ。

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▲ 左:髙井俊秀、右:片岡謙

:よろしくおねがいします。

& 髙井:よろしくおねがいします。

:オックスフォードのコンビブーツです。

髙井:良いブーツができましたね。

:うん、いい感じのオックスフォードのブーツに仕上がりました。

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:オーダーくださった方はブーツが好きな方で、「チェルシーブーツやダービーのブーツは持ってるんだけど、オックスフォードのブーツはなかなか足に合うものが見つからなくて」という話を伺って、それなら作りましょうか、ということでオックスフォードのブーツを作ることになりました。

:もとからコンビブーツのオーダーだったんですか?

:いや、最初はまっ黒で、というオーダーでした。そこからやりとりをしていくうちに、まっ黒じゃなくてもいいんじゃないか、という話になって、ちょうどそのタイミングで一緒に革屋さんに行ったんです。
そこでネイビーのスエードを見つけて、これシャフトのところに使ってコンビにしたら結構カッコいいかもですね、という話をしたら、それでいきましょう、ということでコンビブーツになりました。

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髙井:デザインめっちゃいいですよね。すごいクラシックっていうか。

:そうですね。内羽根のブーツってかなり昔からあるデザインで、多分 100 年前くらいに一番主流だったデザインじゃないかな。だから、内羽根のブーツっていうだけでクラシックな雰囲気が出ますよね。

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:革もいい感じですね。この甲側というか下側のほうは、アノネイのボカルーという革を使ってて、張りがあって艶感が強い革なんですけど。実は、一緒に革屋さんに行ったのはこの革が目的で行ったんです。

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:そこでネイビーのスエードを見つけたと。

:そうそう。このスエードは、イギリスのチャールズ・F・ステッドというタンナーの “スーパーバック” と呼ばれている革ですね。スーパーバックってもともとは牡鹿のスエードのことを言う言葉で、この革は牛革なんですど、鹿革のスエードみたいに毛足が短くて、品のある表情が特徴です。

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髙井:ちなみに、シャフトの部分にスエード使うのって結構いいみたいですね。スエードってスムースレザーに比べて柔らかいので、締まりも柔らかくなって、履き心地もいいみたいな。

:そうなんですね。

:その話で思い出しましたけど、ブーツのフィッティングって短靴とちょっと違ってて、足首周りで締めれば、中はそんなに締める必要ないんですよね。中はほどほどにタイトにしておいて、足首周りでしっかりホールドされるように設計します。でスエード使ってるので、足首周りをきつく締めても、履き心地はわりと柔らかい。

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▲ このあたりがしっかり締まるようにフィッティングを調整するそうです

:ちなみにこれ、今回の木型なんですけど、シャフトのところまでしっかり作っています。

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:基本的にブーツって、短靴用の木型にアタッチメントを取り付けてブーツ向けにしたもので作られることが多いんですけど、自分たちはシャフトの部分まで作り込んだ、ブーツ専用の木型で作ります。

:ブーツ専用の木型だと、できあがりが変わる?

:シャフトの部分まで作り込んだ木型だと、完成する靴もシャフトの形がきれいに出るようになります。わかりやすいのはくるぶし周り。アタッチメントと言っても、甲側と踵側に取り付けるだけのものなので、くるぶしの形なんかは出せないんですけど、ブーツ専用の木型だときれいに出せます。

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▲ 短靴用の木型にアタッチメントを取り付けるパターンの参考画像
(靴職人&革職人 Yoshida Takashi 様のブログ記事『靴と木型と・・・!!』より引用させていただきました)

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▲ 奥に見えるのが今回使われた木型、手前がその試作の木型です。どちらもくるぶしの形が作られているのがわかります

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▲ 完成した靴もくるぶしの形が出ています

:余談ですけど、ブーツ専用の木型は三分割になります。短靴用の木型はたいてい二分割で、”甲切り” といって甲のところに切り込みが入っててそこで分かれるようになっているんですけど、ブーツ専用の木型の場合はそれだと抜けないんで、三分割にします。
まず、上が外れるようになっているのと、足首のところから垂直ぎみに切り込みが入ってて、そこで分かれるようになっています。

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▲ 短靴用の木型

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▲ ブーツ用の木型

:ちなみに、こうやってシャフトの部分まで作り込んだブーツ専用の木型を作るところってあんまりないのかな?

:どうなんだろ。アタッチメントを取り付けて作っているほうがよく見るので、そっちのほうが主流ではあると思います。やっぱり楽なんで。

髙井:大変ですもんね。ブーツ専用の木型を作るのは。

:そうですね、やっぱり手間がかかりますからね。短靴用の木型にパテで足首の形を作って、そこから木型屋さんにコピーを作ってもらうんですけど、木型屋さんにコピーお願いできる木型の高さにも限界があるので、高さが足りない分はさらに自分たちで木を切り出して作ります。

:なるほど、それは手間かかりますね。

:まぁ手間はかかりますけど、ぶっちゃけ履いちゃえば一緒ですね。

:え?

:アタッチメントを取り付けて作るやり方でも、履いているうちにシャフト周りも足首の形に馴染んでくるので。なので、シャフトの部分を作り込むのは手間はかかりますけど、労力と機能がもう…全然比例してない笑

:なるほど…

:それでもやっぱりきれいに作りたいというか。できあがったタイミングでの立体感とかはやっぱり違うので、パッと見てもらったときの「おっ!」っていうのは変わってくるかなと思います。

髙井:一応、シャフトの部分まで作り込んだ木型だと、足首の形により近くはなるので、ヘンな皺とかが入りにくくはなりますよね。

:たしかに。それはありますね。

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:あと、ブーツの場合はベロのクセ付けもやります。釣り込みの前に、ベロだけ木型に釘で打ち付けて形を作っておくんですけど。ブーツって短靴に比べてベロも長いので、釣り込みの段階で無理に形を変えようとすると、ヘンな皺が入ったりするんですよね。

:へぇ。ブーツならではのひと手間。

髙井:あとはクセ付けしていないと、履いているうちにベロが左右にズレて皺が強く入っちゃったりすることがあります。でも、あらかじめクセ付けして形を作っておくと、皺も左右均等にきれいに入りやすくなります。

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髙井:スピードフックもこの色にしてよかったですね。

:そうですね。真鍮のアンティークゴールド。

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:いやぁ良いブーツができました。内羽根のブーツで全然合うのがないって言ってらしたので、喜んでもらえるといいなぁ。

:そうだね。

髙井:そうですねぇ。

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