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ペルーの新規感染者数と第三波

COVID-19感染は2月に入りわずかに感染数減少が止まり、新たなリバウンド期に入っている。医療関係者は第三波に入るリスクを分析しているが、感染は再び上昇がみられるため第二波の終わりはまだ遠いように思える。

3月15日以降、ゆっくりとした感染者数が減る傾向から再び、上昇し始めている。過去10日間だけでも1日平均感染者数は約5800人から約7800人と2000人増えている。保健省は24日の感染者数を過去最高数の11,260人と、土曜日(20日)は9134人に達したと報告している。感染者数の増加は病院の病床利用率に表れており、今回、第一波のピークを6週間上回り続けている。2月の病床使用数は緩やかで、3月上旬には減少したが、先週に入り約800人が新規患者として入院している。

ICUベッドは毎日、待機リストが増しており、満床状態で深刻な状態が続いている。1月21日以降、集中治療室(ICU)ベッドの需要は、第一波の記録を上回っており、第一波の時よりもベッド供給が増えたにもかかわらず、これを上回る速度で、止められない状態で感染者が増え続けている。前回の記事でも述べた通り、リマとカヤオでICUの人工呼吸器の占有率が99%に達していて、空きのICUのベッドはなく、入院患者が増え続けているのが現状です。

『ペルーは第二波の最悪の瞬間にいることをあまり自覚していないような気がする。感染者と死亡者の数はほとんど減少しておらず、経済的負担も大きくなってきているのが事実であると思います。今後、数日間の長期休暇(セマナサンタ)に入れば、更に状態がひどくなることが予測される。』

ここ数日で大幅な感染増加を引き起こした要因はなにか。疫学医師エドアード・メンソネ・ホルギンは、状況は複雑であるとしたうえで、増加要因は防疫策の緩和と、より伝染力の強い、変異種の存在に関係していると指摘している。3月24日の保健省は、首都圏リマでのCOVID-19の新規患者の39.7%がブラジル型の変異種であり、アテ区、エルアグスティノ区、チョシカ区といったリマ東部地域で62%に達していると報告した。同医師は『心理学者のいうところの“パンデミック倦怠感”と呼ばれるリラクゼーションの感情が起こっており、その反映として増加するリバウンドの可能性を回避するためには、防疫対策を継続する必要があるとのメッセージが必要となる』と述べている。

カイエタノ・エレディア医科大学病院の感染症専門医レスリー・ソトは、セマナサンタでの市民の行動は制限されるべきだと指摘しており、もし感染増加のリバウンドが今後数カ月続くようであれば、ヨーロッパで起こっているように、第三波の感染が起こるかもしれないとの危惧を付け加えている。『感染が軽症な患者は理論的には3カ月間防疫を続けねばならないし、重症者は6カ月間かかる。しかしその後には、患者がウイルスと接触したことを忘れることになる』と説明した。

専門医は感染第二波が後退したかどうかを測定する方法として、入院患者数、集中治療室(ICU)の使用曲線を分析することや国家死亡者情報システム(SINADEF)に登録された過剰死亡者数を検討するのが良いのではないかと各専門家が述べている。実際にリマでの死亡者数の減少は停滞していて、総死亡者数曲線は感染第一波を上回っている。リマでは毎日の死亡者数は昨年6月のピークを更に20%上回っている。

先の見えないこの戦いに市民は日々の生活のみに目をやり、政治家たちは目前の大統領選挙に注目するばかりで少し先の将来と現実を見失っているのかもしれない。

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