うたのシーソー

椛沢知世と中森舞の往復書簡です。不定期で更新します。

うたのシーソー

椛沢知世と中森舞の往復書簡です。不定期で更新します。

最近の記事

うたのシーソー 往復連作4

同じ画像からそれぞれ小編を作りました。 note・Twitter:椛沢知世

    • うたのシーソー 往復連作3

      同じ画像からそれぞれ小編を作りました。 落果   中森舞 人口の増える見込みのない街へゆっくり落ちてゆくユニコーン 歌わない小鳥の価値は?と問われたら裏切るための羽音を鳴らす 間違った宛名を眺めぽつり言う「途中で落ちたみたいなの、私」 note・Twitter:椛沢知世

      • うたのシーソー 往復連作2

        同じ画像からそれぞれ小編を作りました。 note・Twitter:椛沢知世

        • うたのシーソー 往復連作1

          同じ画像からそれぞれ小編を作りました。 note・Twitter:椛沢知世

        うたのシーソー 往復連作4

          「第4回笹井宏之賞」 授賞式のお知らせ

          3月13日(日)の13時より、第4回笹井宏之賞の授賞式が開催されます。 オンライン開催のため、どなたでも視聴可能です。 ぜひ、ともよさんの大賞受賞をともにお祝いしましょう。 なお、参加申込の締め切りは、明日、3月8日(火)までとのこと。 まだ、申し込みをされていない方はお早めに。 申し込みフォームは、以下よりアクセス可能です。 受賞作の「ノウゼンカズラ」(50首)および最終選考会の様子は、現在発売中の短歌ムック「ねむらない樹」vol.8に掲載されています。 ぜひ、授

          「第4回笹井宏之賞」 授賞式のお知らせ

          うたのシーソー 往復短歌6

          換気のため雨でも窓をあけているヨーグルトのにおいは湿ってる 濁流の無邪気さはたぶん望郷よ海に還るの雨という雨 水に石生まれるように投げ込まれ生まれたときから離れるばかり はじめから嘘であるなら嘘じゃないちいさな石を磨きつづける ※1首・3首の作者:椛沢知世 ※2首・4首の作者:中森舞 note:椛沢知世 中森舞 第1歌集『Eclectic』発売中

          うたのシーソー 往復短歌6

          うたのシーソー 往復短歌5

          浅く残るビニールプールの水が跳ね光よ風よ舌を隠してよ 足だけをひたす 返事が上擦れば二酸化炭素が抜けゆくコーラ 治っていく青あざみたいな朝の空 二酸化炭素が見えそうで吐く 底のない不安の揺らぎに匙ひたす今朝も不透明なヨーグルト ※1首・3首の作者:椛沢知世 ※2首・4首の作者:中森舞 note:椛沢知世 中森舞 第1歌集『Eclectic』発売中

          うたのシーソー 往復短歌5

          「第4回笹井宏之賞」 受賞のご報告

          11月24日、第4回笹井宏之賞(主催:書肆侃侃房)にて、椛沢知世「ノウゼンカズラ」(50首)が大賞を受賞したと発表されました。 近い将来、ともよさんの歌集が出版されるということです。 なお、「ノウゼンカズラ」(50首)および最終選考会の様子は、2022年2月刊行予定の短歌ムック「ねむらない樹」vol.8に掲載されるとのこと。 受賞作を拝読するのがとても楽しみです。 また、第9回現代短歌社賞においても、ともよさんの「パッチワーク」(300首)が佳作に選ばれました。 「

          「第4回笹井宏之賞」 受賞のご報告

          うたのシーソー 往復短歌4

          お祭りの露天のひかりが穴みたいにわたしの記憶に穴を開けたの 鬱屈にペールトーンの流れ星ちいさな胸のひかりを覗く 妹の足の裏ふたつと犬と淡水魚のぬいぐるみ眠ってる 途切れ途切れの浅い眠りに映り込む怯えたグザヴィエ・ドランはきれい ※1首・3首の作者:椛沢知世 ※2首・4首の作者:中森舞 note:椛沢知世 中森舞 第1歌集『Eclectic』発売中

          うたのシーソー 往復短歌4

          うたのシーソー 往復短歌3

          消したてのテレビさわって静電気だめなわたしでも信じてる 第五話で好きな男が死ぬときも同じテンポでポッキーを齧る 音もなくざくろが割れた目を開けて閉じないでまばたきをかわかす 可食部の少ない果実「記憶」とはそういうわれの集まりである ※1首・3首の作者:椛沢知世 ※2首・4首の作者:中森舞 note:椛沢知世 中森舞 第1歌集『Eclectic』発売中

          うたのシーソー 往復短歌3

          うたのシーソー 往復短歌2

          トマトトマトパントマイムで持ちたいな したことがないことがたのしい 一粒の青い匂いの春、終わる 種がたくさんある実はこわい タピオカ入りアイスクリームはもうないね泣いてないのに太いストロー 溶け果てたクリームソーダを飲み干した悪いひとにはなれないあなた ※1首・3首の作者:椛沢知世 ※2首・4首の作者:中森舞 note:椛沢知世 中森舞 第1歌集『Eclectic』発売中

          うたのシーソー 往復短歌2

          うたのシーソー 往復短歌1

          2021年の春から、イメージをしりとりするように短歌を詠みはじめました。 安心よ チューリップに舌を差し入れて花びらがぐるりさわりと触れる 電線に等しく並んでいる鳩のハナミズキより赤い爪先  石けんと錆びた蛇口のいいにおい鳩の上にも雨が降ってる  大小のしゃぼんのような永遠を生まない日々を繰り返す日々  ※1首・3首の作者:椛沢知世 ※2首・4首の作者:中森舞 note:椛沢知世 中森舞 第1歌集『Eclectic』発売中

          うたのシーソー 往復短歌1

          うたのシーソー 12通目

          トモヨさんへ 寒くなりました。雪の季節が訪れようとしています。 しかし、こちらへ引っ越してきてから、雪はほとんど見ていないのです。指が冷えはじめると、そのことをとても寂しく感じます。 昨晩は雪がふるえていました。と目を閉じて今を昨晩にする 雪の降るさまは確かにふるえているようです。雨のように真っ直ぐには落ちてきませんから。雪が「舞う」と言われるのもそのせいでしょう。 この歌はひとりでいるようで誰かといるような、誰かといるようでひとりでいるような歌だと思います。「昨晩は

          うたのシーソー 12通目

          うたのシーソー 11通目

          マイさんへ こんにちは。 二日前は最高気温が13度と寒かったのに、今日は20度まで上がるらしく、12時になった今、部屋にある窓をすべて開けています。日が差してきて、膝の上にのっていた犬が、少し離れたクッションの上へ移動して、眠りはじめました。 土曜日でも続いている工事の音も、今はお昼休みで静まっています。 あたたかいだけで、縮こまっていた背中や首が緩む感じがしますね。 昨日、約十年ぶりにインフルエンザの予防接種を受けてきました。 「はじめてではないんですね、ってかなり

          うたのシーソー 11通目

          うたのシーソー 10通目

          トモヨさんへ おはようございます。びっくり、ちょっと寒いの。 昨日まで半袖で寝ていたのに、置いてけぼりにされたような気持ちです。今日の夜から、私は長袖のパジャマで寝るのだと思います。ところが、私の太ももにはいつ刺されたのかわからないけれど、明らかに刺されたての虫刺されが3つ並んでいて、ぽっこりと腫れているの。 今しがた私を刺した虫も、置いてけぼりにされたのでしょう。 実をいうと、私は滅多に虫に刺されない体質で、今年もありがたいことに虫刺されの跡は、ほとんどありません。

          うたのシーソー 10通目

          うたのシーソー 9通目

          マイさんへ ずっと、ではないけれど、継続的に、わたしは何で短歌を詠んでいるんだろう、と思っていて、けれどわからずにいて、だから、マイさんの手紙に、かんたんに言うと困ったような気持ちになって、潮のにおいを探しています。 今日は朝から風のある曇り空で、少しばかりの潮が混ざっていても不思議ではない生ぬるさがあったから。 潮のにおいはしなかったけれど、工事の音とともに土埃のにおいがしています。 土のにおいと土埃のにおい、何が違うんだろう。 わからないのに、同じじゃないと思って

          うたのシーソー 9通目