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ヨルダンのコロナ事情の話

こんにちは、シーナです。

noteをたくさん更新したいなあと思いつつ、気づいたら前回の更新から1ヶ月ほど経っていました。
もうちょっとペースを上げたいなと思いますが、これからもマイペースに更新していきます!

さて、これはセンシティブなトピックなので書くか迷いましたが、今日はヨルダンのコロナ事情についてお話ししていこうかなと思います。


現在、10月27日の段階でヨルダンでは累計58,856件のコロナ感染が確認されています。
人口が1000万人程なので、少し比率が高めなのかなと感じています。

ヨルダンでは、コロナに対する初動が早かったので最初はうまく抑え込みました。
でも今、世界中で第2波に見舞われているのと同じで、ヨルダンにも第2波の到来により最近またみるみるうちに増加しているというのが現状です。

というわけで、今日はコロナがヨルダンに入って来てからどのような動きがあったのかをまとめていきます。


日本とヨルダンの違いをまとめてみます。

まずは、コロナに対しての初動の違いについてお話ししますね。

あくまでも日本の外から日本を見ていた日本人の一個人の目としての見解では、新型コロナウイルスの発生源とされる国から物理的にも距離が近く、また日本にコロナが入って来てしまったときは正しい情報が公表されていませんでした。

そのため、日本の初動の対応が遅いなどの批判があったようですが、たしかにもう少し早く対処できたかもしれないと思うと同時に、その状況では迅速な対応をするのも難しかっただろうとも思います。

一方のヨルダンでは、コロナウイルスがヨーロッパでも拡散した後の3月の頭にヨルダン国内で初めてのケースが出たので、他国の動きを見ることも出来たし、対策を考える時間も十分にあったと考えられます。

そのためか、初の感染者が出る前から入国制限をかけたり検疫強化の措置を取ることができました。


さて、その後、累計感染者数が20名に満たない間に拡散を防ぐために空港や学校の閉鎖を実施しました。
そのため、ヨルダンで活動をしてくださっていたJICAボランティアの方々も緊急帰国となってしまいました。

多くの方々体育などの教育の面でボランティアをしてくださっていて、学校閉鎖と未曾有の事態であったので仕方のない判断だとは理解しつつ、JICAボランティアのみなさんとはプライベートでの交流もあったし、なにより強い志を持って活動をされていたのに志半ばで帰国しなければいけないということに非常に寂しく、そして残念に思いました。

でもこの初動のおかげで、第2波が来るまでは累計件数2000人ほどに抑えられていたので、賢明な判断だったと思っています。


2020年3月17日の正午すぎ頃ー
ロックダウンが24時間以内に発令されると発表されたため、全従業員が慌てて帰宅しました。
後に病院や生活インフラなどの必需施設を除き、すべての政府機関と民間企業の営業が停止となりました。


それではここで、このロックダウンの違いについてもお話ししていきましょう。

日本には、国民の動きを制限できる法律はありませんよね。
しかし、日本人は同調力とルールからはみ出ることをしないという意識が高いと思います。
なので、緊急事態宣言で自粛”要請”だけである程度の抑止力をもたらすことが可能なのだと思います。

また、県外への移動の制限が一時期かけられたと聞きました。
これはヨルダンでも同様に、一時期は他県への移動は禁止となっていましたが、現在では解除されています。

ヨルダンではロックダウンが発令されたのですが、これは日本の緊急事態宣言とは別物です。
ヨルダンでは、緊急時において国民の動きを制限できる法律が存在します。
そのためロックダウンの抑止力が強く、違反者には罰金または禁固刑を課すことも可能です。
実際に長期ロックダウンのときも、最近実施されているたった週末ロックダウンでも自宅待機を守れず、警察のお世話になった方はたくさんいらっしゃいます。


次に、マスクに関する違いにも触れますね。
また日本では今回のコロナによるイレギュラーな事態を除き、年間を通してマスクが必ず店頭に並んでいますよね。また批判もあったようですが、安倍前首相のアベノマスクも配られたと聞きました。

ヨルダンでは、普段はマスクをつける習慣がないので今でこそマスクを手に入れることができますが、最初の段階ではマスクを置いているお店がそもそもなかった上に、店頭に出始めるとみんながこぞって買うのでマスクを確保するのが少し大変だったようで、わたしは当時、それこそアベノマスクが欲しいなあと思っていました。


更に経済の面から見ても、日本とヨルダンでは大きな違いがあると感じました。
ヨルダンに住む一日本人として見ると、給付金が全国民に配布されたことがすごいなと感じました。これは、日本が世界でも指折りの経済大国だから出来たことだと思います。

ヨルダンでは、政府からの金銭的援助は日雇い労働者や低所得者などの社会的弱者や観光分野など、今回のコロナの影響を大いに受ける範囲に限定して行われました。
また、最初のロックダウンは結果として2ヶ月ほど続き、その間の給与支払いの処置として「半額+各従業員が納めている年金から更にその半分を引き出させることが可能」という、会社存続と雇用確保のための処置がなされました。

わたしが勤めている会社はロックダウン中も全額支給をしてくれましたが、夫の勤めている会社はその処置を利用したため半額のみの支給でした。
もしわたしが仕事をしていなくて夫の給与が半額支給だったら、生活できる状況ではなかったかもしれません。

そして現在、毎日多数の新規感染数を記録しています。
ヨルダンのみならず、世界中でコロナの影響で既に経済的な落ち込みがあり、回復に時間がかかると言われていますね。
そのため、ヨルダンでも初回のようなロックダウンを施すのは難しいとわたしは思っていて、どうやって拡散を防ぎながら経済を回して行くかを模索していると感じます。

その一つとして、週末はお出かけしてショッピングモールに人が集まったり、1世帯当たりの人数が多く、金曜日は家族で集まる文化のあるヨルダンだからこそ、週末ロックダウンをすることによって拡散を防ぐという政策を取っているんだと思います。


さて、最初のロックダウンは3月21日より本格的に発令されることとなったため、その前日に夫が大量に食料とお水を買って来てくれました。
でも、やはり2ヶ月間ものロックダウンとなると食料やお水が底をついてしまいます。

最初の頃はドッカーンと呼ばれる小さなスーパー(個人経営のコンビニだとイメージしてくださいね。日本のコンビニのように、スーパーより近くて便利だけど少し割高となっています。)の営業が許可され、外出許可時間内に徒歩でのみ食料の買い足しに行くことが可能でした。

その後、大型スーパーのデリバリーが始まりました。whatsappというLINEのようなトークアプリで一度注文をしてみました。
が、注文した物が入ってなかったり、「これ賞味期限、今日までやん」というギリギリの物が送られたりして、ヨルダンの人はやっぱりテキトーだなあと思いました(笑)
でも、みんなが自宅待機しているロックダウンにたくさん注文が入って対応するのも大変だし、その中でも働いてくれて本当にありがたいですね!


その後、4月21日より営業許可の取得や稼働率30%などの条件下で徐々に民間企業の営業が再開されました。
現在は廃止されていますが、ロックダウンの段階的解除下において一度に車に乗れる人数の制限と「車両ナンバー制」というものが導入され、車両のナンバープレートの末尾が奇数の車両と偶数の車両が1日ごとに使用を認められるという政策もありました。


そして、5月10日より政府機関を除く全民間企業が営業再開となりました。

ロックダウンが解除されてからも感染者は出ていましたが、生活がほぼ元通りになったことで少しずつ人々の気が緩んで行くのが目に見えて分かりました。

元々マスクをつける習慣がなかったヨルダンなので、マスク着用義務のある公共の建物内以外ではマスクを着けずに外を出歩く人たちをたくさん見かけるようになり、またあいさつをするときに握手はもちろん、親しい間柄では頬にキスをする習慣があるので、そういう距離感で人と接する習慣に戻って行きました。
わたしも週末になるとたまに夫の実家へ行っていたのですが、先ほども言った通り1世帯当たりの人数が多いので、一つ屋根の下で10人以上が集まるなんてこともありました。


そんなある日のこと、私営のメディカルセンターで働いている義母が「9月ぐらいに第2波が来るだろうって予想されているの」と教えてくれました。

そしてその言葉通り、それまでは毎日50人以下だった新規感染数が9月に入る辺りから50人を超え始め、みるみるうちに何百人単位へと増え、現在では毎日1500~3500人前後の新規感染の確認がされるようになりました。


そして先日、金曜日のみの週末ロックダウンを今年いっぱいまで実施されること、また夜間外出禁止を2時間前倒しにして11時から朝の6時までとされることなどが新たに発表されました。

また、日本の外務省によりヨルダンの感染危険情報が、レベル2からレベル3へ引き上げられたことも発表されました。
つまり、日本国籍以外の方のヨルダンから日本への入国は、特別な事情以外は原則拒否されるということになります。
また入国する際は、国籍を問わず原則空港での検査を受けなければなりません。



さて、今回はコロナに関する日本とヨルダンの比較と現在のヨルダンの状況についてまとめてみました。
世界を襲うこの未曾有の事態に、日本とヨルダンのみならず、各国の政府が経済とのバランスを取りながら最善を尽くしていると思います。

今回、コロナについて書いた理由は、日本にいると中国や韓国などの近隣諸国やアメリカ、ヨーロッパの情報なら入ってくるけど、きっとヨルダンの情報は入って来ないんじゃないかと思ったからです。
広い世界の中の一つの国、ヨルダンではどんなことが起きているのかを知ってもらいたいなと思って書きました。

一刻も早く、コロナが終息することを願っています。

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