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進行形JR乗りつぶし日記(少しのオマージュ)#38~ついでの旅(1)【常磐線、西九州新幹線】

 3月上旬の信越~南東北を巡る旅を終えた時点で、JR全線の未乗区間は1462.8キロ、乗車率は92.485%まで進捗したが、その後の根室本線富良野~新得間の廃止、北陸新幹線金沢~敦賀間の延伸開業とこれに伴う並行在来線の三セク化で、分母が勝手に変動し、未乗区間が1587.9キロ、乗車率は91.806%となった。
 未乗区間は相変わらず東北地方と北海道が大部分を占めるが、白河の関以南にも手付かずの路線が散在している。

 〇 常磐本線    友部~我孫子  67.5キロ
 〇 北陸新幹線   金沢~敦賀   125.1キロ
 〇 武豊線     大府~武豊   19.3キロ
 〇 可部線     可部~あき亀山  1.6キロ
 〇 西九州新幹線  武雄温泉~長崎 69.6キロ
 〇 長崎本線(旧線) 喜々津~浦上  23.5キロ

 しばらく東北・北海道に行く予定はないので、それまでの間にこれらの小敵をどうにかせねばならぬ。何かのついでに乗ることができればと強く念じると、不思議に何とかなった結果が今回の記録であるが、「ついで」のために無理矢理「何か」を作ったのかどうかは判然としない。

 まず2024年4月12日(金)に常磐線の誠に中途半端な残存区間である友部~我孫子間に乗車した。この日の本業は翌土曜日の横浜での野球観戦で、神戸空港からスカイマークで茨城空港に入り、水戸から常磐線・京浜東北線で横浜に至るという行程を立てた。
 連絡バスで空港から水戸駅に着き、前回非常に高評価だった常磐線ホームのかき揚げ駅そばを今回も食す。自分的駅そばランキングで相当上位に位置する一品に満足の舌鼓を打って、11時5分発の常磐線土浦行き各駅停車に乗り込む。

 桜が散って少々淋しくなった偕楽園の横を過ぎ、11時20分に友部駅着。ここから我孫子駅までが未乗になる訳だが、友部はどうということのない分岐駅であり、車内から駅名票を撮影するだけで常磐線の旅は淡々と続く。
 田舎でもなく都会と言うにも少々違和感のある平凡な風景の中を走るだけで、しかも車両もロングシートの長編成で旅情は全く湧き上がってこない。土浦駅で12時12分発の品川行きに乗り継ぎ、12時49分に我孫子駅着。友部でも我孫子でも下車せず乗ったままでだったので、常磐線を完乗したというのに全くどうということもない。
 そのまま終点の品川まで行き横浜方面へと乗り継ぐ予定が、ダイヤ乱れで上野で運転打ち切りとなってしまった。急ぐ旅でもないのだが気分は良くない。そして本業の野球はといえば、我らがベイスターズはスワローズに為すすべもなく敗れた。本来は国鉄の系譜を継ぐスワローズを応援すべきだったのかも知れない。

 さして盛り上がらなかった常磐線完乗の半月後に、今度は家族で長崎に出かけた。今回は台風やら大雨で過去2度中止となった軍艦島見学に行くというのが本業で、その行き帰りに西九州新幹線と長崎本線の旧線区間に乗ろうという企みである。
 4月27日(金)、まずは山陽新幹線で博多に入り、11時53分発の武雄温泉行き特急『リレーかもめ25号』に乗り継ぐ。たまたま新しい観光列車『かんぱち・いちろく』の出発セレモニーでホームは賑わっていたが、この車両は新造ではなく、元々肥薩線を走っていた『いさぶろう・しんぺい』なのである。数年前の豪雨災害以降未だに不通となっている肥薩線から引き離されて久大本線用に化粧直しされたもので、その経緯を考えると一抹のやるせなさが心をよぎる。

 JR九州の長年の顔である781系特急『リレーかもめ』に乗り込み、博多駅で仕入れた折尾駅名物弁当「かしわめし」を食べる。ちょうど1時間後の12時53分に武雄温泉駅に到着、弁当のせいかもしれないが本当にあっという間で、このまま在来線特急でも十分ではないのかと思ったが、長崎の人にはそうではないのだろう。しかし佐賀の人にはこれまた違う意見がある訳で、西九州新幹線問題の先行きは未だ見通せない。
 武雄温泉駅での乗り継ぎは在来線と新幹線を同一ホームに並べるというJR九州伝統の得意技で、たった3分の乗り継ぎ時間でもスムーズである。あまりにスムーズ過ぎて、慌てて駅名票を撮る以外は武雄温泉駅の様子を見ることも殆どできない。新幹線をあえて1本ずらそうかとも思ったのだが、博多~長崎通しの割引切符ではどうしても3分乗り継ぎを強要されるシステムになっており、個別に買うと高くなるという仕様にはいささか首を傾げざるを得ない。

 12時56分に西九州新幹線『かもめ25号』は武雄温泉駅を発車、次の嬉野温泉駅を通過したと思ったらすぐに新大村駅、諫早駅へと疾走し、僅か半時間後の13時24分に真新しい長崎駅ホームに滑り込んだ。半月前の常磐線友部~我孫子間もどうということもなかったが、この新幹線は殆どトンネルを突っ走るだけで更にどうということもない。そして久しぶりに来た長崎駅は見違えるように綺麗になっていて、少し煤けた古の味の出ていた旧駅舎の面影は全くなかった。

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