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約束されたコラボ『Goat Simulator 3』のデジピン化が素直に喜べない

私がそのニュースにたまたま気付いたのは8月2日。月末月初で慌ただしいさ中に機械音痴の上司から新PCのセットアップを命じられ、データの移行のためWin7という化石を相手に四苦八苦していたときのことでした。

『Pinball FX』用DLC『Goat Simulator 3 Pinball』配信決定

『Pinball Fx』といえば、Zen Studiosが贈るデジタルピンボールゲームの最新作。実機のデジタル移植から本シリーズオリジナルのテーブルまで、バラエティ豊かなピンボールマシンを4K HDR映像&レイトレーシングで楽しむことができるリアル志向のピンボールシミュレーターです。

でもって『Goat Simulator 3』といえば、Coffee Stainが誇る次世代ヤギシミュレーションソフトの最新作。よくある無免許運転から壮大な腎臓結石手術まで、最先端のBAAAチャルテクノロジーによって前作以上にヤギらしい言動が可能になった超豪華なヤギシミュレーターだってことは、みなさんもよーくご存じのはず。

そんなリアルで豪華なシミュレーションゲーム同士が出会い、リアルで豪華な恋に落ち、リアルで豪華な愛を育んだ果てにあるものといえば、もちろん超リアルで超豪華なコラボイベントです。
かつて激しくナメナメするほど食パンと愛し合いPAYDAYギャングからブツとハートを盗み出したあのヤギが、今度はスティール・ボールと愛の逃避ランへと駆り出す――ああ、なんてゴージャスでロマンティックなコラボでしょう。これを題材に今からでもミュージカル映画化すれば、次のアカデミー賞とゴールデングローブは約束されたも同然です。

ちなみにこのコラボは、例のウルトラクリプティックビンゴでも示唆されていたりします。ヒントが「金属製のボール」と割と素直だったこともあり、ある程度予想できた方もいるのではないでしょうか。少なくとも「ブロブフィッシュ=ギアコンペ開催」ほど理不尽じゃないし。

それはさておき……公開されたビジュアルのなんと美しいことでしょう。
ピンボール台という小さな世界に『Goat Simulator 3』のエッセンス――カオスを以ってマルチバースの均衡を保つ我らがスーパーヒロインに相応しい、ナンセンスの美が凝縮されているのが一目瞭然。テーブルを彩る数々の遊び心溢れるオブジェクト加え、本編でも手に汗握った牧場主戦やピルゴールに相応しい美ヤギオーディション等がイベントとして用意されている模様。前作リスペクトに満ちたアナウンストレイラーと相まって、開発スタッフのヤギ愛がひしひしと伝わってきます。

おそらく世界中のヤギ愛好家ならびにピンボールマニアは、この北欧が生んだ美しき乙メェが織り成すゴートフルなメェロドラマの開幕に驚愕し、興奮し、涙を流し、気絶ヤギのようにブッ倒れ、ヤギの鳴き声にも似た歓喜の声を上げつつ、Pinbotとスカ○リムカートに相乗りしてJunkyardからFunhouseへGetawayしたことでしょう。少なくとも私はそうした。

そもそも『Pinball FX』は、DLCで課金するタイプの基本無料ゲーム。無課金でも指定の3台は自由に遊ぶことができるし、DLC台も2分間のお試しプレイが可能。おまけに初回インストール特典で1日分のピンボールパス(ほぼ全台遊び放題のサブスク)も付与されます。
つまり、来たるべくヤギの黙示録に備えた演習が無料でできるということ。買う買わないはさて置いて、とりあえずでもプレイしない手はありません。誰だってそうする。少なくとも私はそうした。

うわむっず!!! ボールおっも!!! スピードはっや!!!

フリッパーってこんな短いん!?! 台パン意味あんのこれ?!?

ルールさっぱりわっかんねぇ!!! 英語多すぎ頭痛が痛い!!!

ちなみにこの時点における私のピンボール知識はほぼ皆無。一応子供の頃に『ソニックアドベンチャーDX』のミニゲーム等を通じてプレイしたことはあれど、落ちてくるボールを反射的に打ち返す以外の遊び方を知らず、そのため「なんかボールを弾いて遊ぶやつ(パチンコではない)」という認識で止まっています。

なので今回初めて真面目に向き合ってみて思ったのが、ピンボールは演出が派手なだけの「運ゲー」ではなく、ちゃんとしたルールがあって攻略テクニックも存在する立派な「ゲーム」だということ。運の要素以上にプレイヤーの知識と経験が求められるゲームということで、なんだか『Downwell』のような高難易度アクションを彷彿とさせる手触りです。
何も考えずにボールを弾き続けるだけでもそこそこ楽しめるとはいえ、ある程度ルールを意識しつつプレイすると、狙っていたモードが上手く発動したときの喜びや達成感は前者と比べ物になりません。

問題は『Downwell』同様、スピーディーなゲーム展開に自身の腕前がまったく追いついていないということ。慣性でホールド失敗や起死回生の台パンが裏目に出るのはしょっちゅうですし、メインゲームの進行やマルチボールの発動条件を意識すればするほど余計にボールを落としやすくなる気がしてなりません。
……まさか、小さい頃に「制限時間内に○○しろ」系のミッションがまったくクリアできなくてストーリーモードの2面か3面で積んだ『ソニックピンボールパーティー』の悪夢が今になって蘇るとは思いませんでした。

そんなわけで、約束されたメェ作のデジピン化を心から歓迎しようにも『ソニックピンボールパーティー』のトラウマから素直に喜べず、とりあえずスローボタンを駆使しながらピンボールの練習を行った週末でした。はたしてこのモチベーションはDLC発売まで持つのだろうか。

こんな記事に投げ銭するぐらいならレンガかフラフープを買った方が有意義だぞ。