しあわせちゃん

どうしようもない恋愛の話などを書いています。

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最近の記事

D.S.(Short Story)

私という人間は、ほんとうにしょうもない。 自分から危険だと分かっている人に手を出して、案の定、溺れる。 好きかどうかなんて、まだ分からない。 ただ、連絡があるとうれしい。会いに来てくれるとうれしい。 明日もおいでと言ってくれたら、うれしい。 誰かとつながっていることが、うれしい。 それだけ。 経験を重ねたって、何にもうまくならない。 人と長期的な関係を築くのが苦手。 初めに距離を詰めすぎる。 詰めすぎるから、飽きられる。 あ、この人、私のことそんなに好きじゃないな。と、

    • グッバイ、彗星(Short Story)

      スイちゃん。 きみに直接言えなかったこと、伝えきれなかったこと、 たくさんあるから、こうして文字にしてみます。 こんな私に、というと、きみは呆れた顔をしそうだけど、 それでも、こんな私に、 たくさんやさしくしてくれてありがとう。 私のことを知ろうとしてくれて、 手を握ってくれて、抱きしめてくれて、ありがとう。 こんなめちゃくちゃな関係に、 何も言わずに付き合ってくれてありがとう。 例え、嘘っぱちの愛情だったとしても、うれしかった。 スイちゃん。 私はあなたのことが、とても

      • まっすぐな私で(Short Story)

        はじめは、今抱きしめてくれる人がこの人しかいないから、だからこんな気持ちになるんだと思ってた。 連絡が来なくてやきもきしたりだとか、昼間にも会いたいとかセックスなしのデートがしたいとか、きみのことをもっと知りたいとか、こんな気持ちは全部錯覚だって、そう思おうとした。 でもね、この前気がついちゃったの。 私はスイちゃんのことが好きなんだって。 ” 気になる ” とか ” 好きかも ” じゃなく、好きだって。 次で最後にしようと決めたあの日に。 まっすぐな私で 仕事を辞める

        • Love fool(Short Story)

          あの人は、憐んでいたのかもしれない。 しあわせになりたいともがく私を。 Love Fool 時々、私はスイちゃんに星さんの話をした。 星さんを尊敬していたこと。星さんを信じていたこと。 星さんのことがどうしようもなく好きだったこと。 その日もいつものように、ぐちゃぐちゃになったベットの上で、天井を見つめながら色々な話をしていた。行為の後の雰囲気って不思議。どうでもいい話と大事な話がごちゃ混ぜになる。話があっちにいったり、こっちにきたり。どうでもいい話の延長線上で、私は星

        D.S.(Short Story)

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        • 星さんと幸ちゃん
          8本

        記事

          しあわせちゃん的TOP5MOVIE2020

          こんにちは。しあわせちゃんです。 実はわたくし、映画がとても好きです。 昨年は年間100本を目指してこつこつと映画を見ていたのですが、70本というところでタイムアップとなってしまいました。 そんな70本の中から、しあわせちゃんが選ぶ2020年のTOP5 MOVIEをご紹介したいと思います。 ※多少のネタバレを含みますのでご注意ください。 ※完全にしあわせちゃんの主観によるご紹介となることをお許しください。 5 Call me by your name/君の名前で僕

          しあわせちゃん的TOP5MOVIE2020

          しあわせになりたい(2020年振り返り)

          2020年は多くの人にとって試練の年だったのではないでしょうか。 例に漏れず、私にとっても厳しい年でした。 2020年のはじめに、私は長い間付き合っていた人とお別れすることを決めました。その人との未来が見えないと思ったから。その人と居ても私は幸せになれないと思ったから。私からお別れを告げました。 その後、好きな人ができたり、幸運にも付き合ってくれる人がいたり、その時々で、私は少しだけ、幸せでした。 でも、すべてインスタントコーヒーのようにお湯を注げばハイ完成みたいな、

          しあわせになりたい(2020年振り返り)

          こんなの、愛じゃない(Short Story)

          星さんと別れてから、半分ヤケクソで男の人をとっかえひっかえしてみようと思い、マッチングアプリに登録した。 その中で出会った一人と、気がつけば定期的に会うようになっていた。ご飯を食べて体を重ねるだけの関係。 私はその人と最初に体の関係を持ったとき、「わたし、彼女にはならない」と言った。 「なんで?」 「引っ越すから」 「どこに?」 「東京」 「だから、彼女にはならない。わたしいなくなるから。」 「ふーん、ま、俺のこと好きになるなよ」 「なにそれ。うける。」 - 明日は無理

          こんなの、愛じゃない(Short Story)

          さよならのゆめ(Short Story)

          今でもたまに、あの人の夢を見る。 それはいつも決まってさよならの夢で、私たちは港に向かっていく。歩いていたり、車に乗っていたり、道中は様々だけど、終わりは決まっている。あの人は船に乗って、遠くに行く。私はそれを見送る。悲しさを心の奥底にしまい込んで。 私と星さんは手を繋いでいる。今日も港に向かって歩いている。東京へ向かうフェリーが港についているらしい。私はこれがお別れのシーンだと理解している。だから、じんわりと寂しい。 夢の中の星さんはうんとやさしい。にこにこと私に色んな

          さよならのゆめ(Short Story)

          太陽が地球を飲み込む前に迎えにきて(Short Story)

          読まれることのなかったメッセージはどこへ行くのだろう。行く先を失ったわたしの言葉達は、ふわふわそこら辺を漂ってる。 _ 電話で喧嘩腰でお互い言い合って、最後は冷たく他人みたいな態度で「さようなら」と言った。 ずっとやさしかったこの関係が、険悪な雰囲気で終わってしまったのが、どうしようもなく悲しかった。 だから、それが自己満足だと分かっていたけれど、最後に星さんにメッセージを送った。 「わたしなりにあなたのこと、精一杯好きだった。たくさん、やさしくしてくれてありがとう。」

          太陽が地球を飲み込む前に迎えにきて(Short Story)

          セプテンバーを聴いて泣く女は私くらい

          私はSeptemberが苦手だ。 あの有名な曲。軽快な前奏に、ポップなサビ。 とても明るい曲なのに、私はこの曲を聴くと息が詰まってしまう。最後にちゃんと聴いたのはいつだろう。聴こうとする度、途中でやめてしまう。気持ちとは裏腹に、体が勝手に反応してしまう。セプテンバーを聴いて泣く女は私くらいだろうなあ。と、他人事みたいに思う。 好きだった人がよく聴いていた。 あの人が口ずさむセプテンバーが大好きで、ひとりの時も、この曲をよく聴いていた。 ドゥーユーリメンバー。 あなたは覚

          セプテンバーを聴いて泣く女は私くらい

          シングルベッドが広くても(Short Story)

          ぎゅう、とあの人に抱きしめられると、抱きしめられた強さの分だけ、私はくるしくて、たまらなくなる。 _ 「2ヶ月、その前は3ヶ月。今回は」 「半年、だろ」 星さんが私の声を遮るように言った。 顔を上げると、視界の端に星さんのツンととんがった唇が映った。ちょっと得意げな声色に苛立って、私は頬を撫でる星さんの手を鬱陶しげに払った。 ちがう。と心の中で呟く。 ちがう。半年じゃない。全然ちがう。 会えなかったのは、半年と2週間と1日だ。 会えなかった日を指折り数えていたのは自

          シングルベッドが広くても(Short Story)

          街中ですれ違ってもお互い気づかないフリをしようね

          恋人の関係って、不思議だ。 知り合いも、友達も、全部飛び越えて、親密になるのに、一度関係が崩れると、友達でも、知り合いでもない、「徹底的な無関係の人」になるのだ。 友達には言わない秘密の話や、恋人にしか見せない表情、顔を寄せ合ってくすくす笑ったことなんかも、全部全部なかったことになる。 私は、それがとてもかなしい。 どうして友達に戻れないんだろう。 最初から友達じゃなかったと言われれば、それはそうだけど、だけど、もう二度と話すこともないの? 一緒にいるとたのしかったから

          街中ですれ違ってもお互い気づかないフリをしようね

          嗅覚って五感の中で一番記憶力がいいのかもしれないっていう話

          忘れられない匂いがある。 雨上がりの土の匂いとか、花火の火薬の匂いとか、好きだった人の香水の匂いとか。 どれだけ一緒にいて、大切だと思っていても、案外顔や声はすぐ忘れてしまったりする。 けれど、匂いは一生忘れないと思う。 私はいろんなことを嗅覚で覚えている。 例えば、コーヒーの匂いを嗅ぐと、好きだった人と一緒にギルバートグレイプを見た午後の空気を思い出す。 あの人はコーヒーにミルクを入れる人だったとか、部屋に入り込む空気が冷たかったこととか、その日は一日中雨が降っていたこ

          嗅覚って五感の中で一番記憶力がいいのかもしれないっていう話

          26歳とねこと映画

          この狭い8畳の部屋には私の好きが詰まっている。 自分で撮った空の写真、ふんわり光るフェアリーライト、お気に入りの本と映画が詰まったブラウンの本棚、それからちょっととぼけた柄のある黒猫がいっぴき。 私はこの部屋が好きだ。風通しが良く、家の中で一番日の光が入る。 窓を開けて、本を読みながら車が走る音を聞くのが好きだ。 お気に入りに囲まれた私は最強になる。私はオタク気質な人間なので、好きになったものはとことん掘り下げて好きになる。その作業を黙々とできるこの部屋は、私のオアシス

          26歳とねこと映画