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追い求めていたのは本ではなく「本的なカルチャー」だった

2022年があと一日でおわる。
今日の目標は、いつもみたいに下書きに保存せず
このnoteを書き終えることだ。

休学を決断した日からもう少しで1年が経とうとしている。昨年の今日と違うことといえば、前より一杯目のビールが美味しくなったことくらいかもしれない。キャベツが沢山入った鍋に豚肉をしゃぶしゃぶして、そのお肉でお野菜を巻いてポン酢に付けて食べる。それで飲むビールは、格別に美味しい。でもお父さんが1缶で我慢しているから、私も我慢する。そんな話は置いておく。

今思えば、自由過ぎる1年だった。
自分にかかるお金のことだけ考えて、「書籍の編集者になりたい」と意気込み、本来であれば出版社を目指して就職活動をすればよいものの、とてもかっこうをつけて休学した。

最初の半年は出版社で校正アシスタントをした。
こんなんじゃ門戸狭き出版社にかすりもしない、
都会の大学生と渡り合えないと、
自分をじゃらじゃらに飾るために話せるエピソードを増やした。
期間中に何冊か奥付に名前を載せてもらったけど、
それだけだった。
得られたのは少しの校閲・校正スキルと本物のお局さんとの向き合い方だった。
私が求めていたきらきらしたものは、どこにでもあるわけではなかった。
むしろきらきらしていたものの裏側は、自分の身を全力で投ずるだけの覚悟とそれだけ胸張って好きと言えるだけの興味や頑張らない好奇心が必要だった。

それでもまだ好きなものは好きだったので、
本に関わるイベントの運営や卒業研究を細く長く1年続けた。

そして気づいたのは、私が好きなのは本そのものではなく、「本的なカルチャー」だということ。

「本と人とのタッチポイントを作りたい」

その思いの源は、文学作品に精通しているからでも、書店員を経験したからでも、物を書くことが好きだからでもなかった。
私は、「本を大事にする文化」が大好きなのだ。本屋を営むひとの気骨な精神や、自分の好きなものを表現するための本屋、「本的」なもの、本が好きな人たちが好きなもの、本で生きようとしている人。そんなブックカルチャーを守り、ブックカルチャーを愛する人を守りたいという思いと、「本をつくる編集者になること」を結びつけていた。今では電子書籍業界を牽引する会社にもエントリーしてるんだから皮肉だが、電子書籍業界が提供している価値だって、れっきとしたブックカルチャーだと思う。きっと何十年後かには、紙の本に戻ると予想しているけれど。

そんなことを考えている1年間は本当に自由で、楽しくて、人生で一番自分の好きなものと向き合えた時間だった。何が理由でも、平べったくても、そうやって本で生きている人たちを勇気づける論文が書きたいと、度々思う。

周りが就職先を決め、社会人になることに希望を抱いている中、自分は自分のあふれ出た大事にしたい価値観をひとに提供していた。そうしてある程度満足し、ようやく今年の秋から我に返ることができた。

まるで何事もなかったかのように就職活動を始めている。目指しているのも、まるで別の業界だ。「今の方がらしいね」と言ってくれるお友達、1年前に「らしくない」と言わず見守ってくれていてたいっへんありがとう。

昨年の今日と違うことと言えば、もう大学教授になりたいなんて思わないことだ。働く意味が分からないとも思わない。こんなことは器用であれば1年前から分かっていることだった。
今は、これから社会に出る人たちが、自分のキャリアを自由に創造できる社会を作りたいと思う。やはり本は好きなので、いつか国立で出会った絵の上手な友達と作品を作りたい。


変わらず自己紹介は苦手だ。何者と問われても、一番夢中になっていたこの1年間を象徴する私は秘めて、今の私が存分に伝わるように私を説明していかなきゃいけない。そうやって知ってもらって、仲良くなって、仲間に入れてもらって、少しづつ社会に貢献していく。「その価値観はどこからきてるの?」と興味をもっていただけたとき、秘めていた私をちょっとづつ出して、全部を知ってもらおう。そして相手の秘めている部分も、少しづつ教えてもらおう。そのときは一緒にお酒を飲む!

とりあえず、
過去は一旦アーカイブにして、未来に線を通すための残り大学生活1年間にする。とてもとても、楽しみで、不透明で、面白い。

年の瀬お忙しく、興味を惹くものが溢れている今日に、最後まで読んでくださってありがとうございました。
そして今年一年、ありがとうございました。

おわり

引用元↓
(早く就活終えて研究だけしてたいよ……!!)





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