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捨てられない死の指輪<全5話>

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オンラインゲームからはじまるリアル恋愛短編小説です。 初めて恋したアバターの勇者は禿げていた…白ウサギを追って飛び込んだ仮想世界への穴から抜け出すための解呪方法とは。ゆりにとって… もっと読む
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捨てられない死の指輪 #1

一度装備すると二度と外せない 死の指輪 無理に外そうとすれば 装備もろとも崩れ去る それは ゲームの仮想世界に囚われる 呪いだった *** 初めてのネット回線を繋いだ オンラインゲームは 両親に許可をもらって バイトの先輩に教えてもらいながら 自分でインターネット契約するところから スタートした 回線を繋げるのも大変だったけれど ゲーム機器にソフトをダウンロードして インストールすることさえも 丸1日がかり 学校が終わって帰宅しても まだ画面はインストール中の表示

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捨てられない死の指輪 #2

アリスは ”たいくつ” していた 毎日同じことを繰り返すだけの 刺激のない現実世界に 貪欲な好奇心は ためらわず冒険を突き進むための 原動力を与え やがてもとの世界へ戻るための 道しるべを奪い去った *** 部屋に戻ると 仮想世界の穴は案外簡単に ぽっかりと口を開けて待っていた 「インストール完了」の文字が画面に浮かんでいる ケーキを冷蔵庫に入れるのも忘れて コントローラーを握りしめる オープニングムービーが流れたときの感動は 今でも忘れない テレビ画面に広が

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捨てられない死の指輪 #3

白ウサギを 追いかけて辿り着いた 新しい世界で 新しい人生で 新しい冒険で 初めてわたしの ”勇者” となったのは 白ウサギじゃなく 禿げた冒険者だった *** コウモリ型のモンスターが飛び交う 薄暗い洞窟に迷い込んだ日 わたしは一人の冒険者と出会った 目の前にいる禿げた冒険者 あなたが わたしの ”主” そう 初めて恋したアバターの勇者は 禿げていた いや、正確に言うと あれはスキンヘッド 額にかけて入れ墨が入った とてもいかつい顔をした勇者 入れ墨の入っ

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捨てられない死の指輪 #4

4番目の箱には 死のリングが入っていた 4って数字 わたし大好きなの あなたからの指輪だって 嬉しくて嬉しくて 身につけたら 抜けられない 呪いにかかってしまったわ *** >> あとは若い者同士で 仲良うやってな! レベルの近いサークルの冒険者を招集し 新しい狩場で しばらくレベルを上げたのち 急用ができたとかで 抜けていくあなた お見合いの仲人か おせっかいな婚活アドバイザーか あなたはとにかく 人と人とを繋げることに 使命を燃やしているようだった みんな

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捨てられない死の指輪 #5<終>

あなたが大好き サークルの仲間達が大好き この世界が大好き ますます 現実世界に戻れない 深い呪いに囚われていく *** この仮想世界に降り立ってから 1年半ほどが過ぎた 学校も休みがちになっていく バイトを休むことはなかったけれど きっとひどい顔をしてふらついていたのかしら 白ウサギは おせっかいにも わたしがシフトに入りすぎないように オーナーにお願いしてくれていた 「ちゃんと学校には行けよ」 そう諭してくれたけれど 白ウサギだって大学を中退していた 仮

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