2020年度第2次補正予算案の決定について(談話)

2020年5月27日
社会民主党幹事長 吉田忠智

1.本日、政府は、2020年度第2次補正予算案を決定した。社民党は他の野党とともに、当初予算の審議中から組み替えを求め、第1次補正についても組み替えを求めるとともに、PCR検査拡充法案や学生支援法案、子ども支援法案、家賃支払い支援法案も提出してきた。第2次補正予算案には、家賃支援給付金の創設、雇用調整助成金の日額上限の引き上げ、学生支援緊急給付金の創設、地方創生臨時交付金の増額、低所得のひとり親世帯への追加的な給付、持続化給付金の対象拡大、文化芸術・スポーツ団体の支援など、これまで提案してきた内容が、不十分ながら盛り込まれてはいる。しかし、政府が最初から野党の建設的な主張や提案を受け入れていれば、もっと早く対応できていたはずであり、「周回遅れ」である。支援を待てずに閉店を余儀なくされた例も出ており、余りに遅すぎる。布製マスクの配布やPCR検査の2万件実施、10万円給付なども進んでいない。手続きや資料の準備など、煩雑なものが多いうえに、要件が厳しかったり、制度の谷間に落ちたりというケースも見受けられる。必要なことは、国民が求めていることを迅速にやることであり、わかりやすく、スピーディーな対応を講じるよう、猛省を求める。

2.臨機応変に対応することを理由に、予備費が追加されるが、10兆円という規模は巨額過ぎる。政権に白紙委任を迫るかのような扱いは問題である。財政民主主義や国会の予算審議権、予算の事前議決原則との関係も踏まえ、使途や規模の妥当性について十分な検討が必要である。

3.今年創業した事業者や事業所得以外のフリーランスへの持続化給付金の対象拡大は、評価できる。オンライン以外の受付体制を整えるとともに、複数回支給するなど、十分な支援となるよう求める。また、特別定額給付金の複数回の支給や、見送りとなった、収入が減少した世帯への30万円の現金給付など、深掘りした支援を検討すべきである。自治体がスピード感を持ちつつ、必要かつ十分な対策を実行できるよう、地方創生臨時交付金の5兆円規模への増額を求めてきた。地域ごとに事情も有効な策も異なる。2兆円では不十分であり、より手厚くし、地域の実情に応じて柔軟に対応できるようにするべきである。

4.雇用調整助成金の拡充や労働者への直接給付は前進であるが、経済活動の自粛とそれに伴う雇用情勢の悪化が懸念される。リーマンショック時に設けられた緊急雇用創出事業のような、雇用の受け皿を確保するための制度や、休業した事業所の従業員と他の事業所とのマッチング制度を創設するなど、雇用支援策を強化すべきである。あわせて、医療や介護従事者等に加え、感染の恐怖を背負いながら、社会生活・経済活動を根底で支えている「エッセンシャル・ワーカー」への危険手当や慰労金の支給などの支援策の強化、NPO・公益法人・協同組合等への支援、すべての人への安心できる住居の確保等も求めていく。

5.検査体制の充実を早急に実現し、感染の実態をしっかりと把握できるようにしなければならない。また、万全な医療体制を確立し、再び感染拡大局面を迎えたとしても冷静に対処できる仕組みを整えるべきである。重点医療機関だけでなく、経営環境が悪化しているすべての医療機関を支えるためにも、「医療機関等支援給付金」を創設すべきである。

6.新型コロナウイルス感染症が与える影響は、公共交通に対しても長期化することが予想される。感染防止対策補助金の創設は前進であるが、地域の足を守るために、地域公共交通確保維持改善事業の改善、休校・自粛期間中の損失補填や欠損補助、事業の安定に向けた基金の創設など公共交通への支援強化が必要である。

7.昨年10月の消費税増税だけでなく、新型コロナウイルス感染症により、地域経済はさらに疲弊し、国民生活や中小・小規模事業者は深刻な状況となっている。社民党は、国民の皆さんから寄せられた声を集約し、現場の声が反映された要望書をまとめ、共同会派として政府与野党協議会に臨んできた。引き続き、今後の感染拡大防止や医療提供体制の整備とともに、きめ細やかかつ大胆な、雇用、生活、経済活動支援をはかるものとなるよう、内容や規模をしっかり吟味し、改善・拡充を求め、全力で取り組む。

以上

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