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【声劇台本】052「グリーンカーテン」

■配役
男子(17)高校2年生。
女子(17)高校2年生。

■本編
男子のMO「高校にある、緑いっぱいの温室。そこは俺の秘密の場所、最高の昼寝スポットだったのに……。俺はなぜか園芸部のアイツにつかまって、手伝いをさせられていた……」

女子「ちゃんと植えてよ。植物だって生きものなんだから大事に丁寧に」
男子「授業疲れたし。眠いんだよ」
女子「グリーンカーテンできたら涼しくなって居心地よくなるよ?」
男子「グリーンカーテン?」
女子「緑の葉っぱで窓辺に作った柵を覆ってカーテンにするの。緑のオアシス的な!」
男子「へえ……そんな構想があったとは」
女子「これは君のためでもあるのだよ」
男子「俺のため?」
女子「居心地よくなったら、よく眠れるよー」
男子「そんなこと言って、俺の労働力を都合よく使いたいだけだろ」
女子「ばれかたか!」
男子「図星かよ」
女子「快適な環境づくりのためだ! 頼む!」
男子「(嫌々ながら)はいはい」

男子のMO「この時の俺は知らなかった。アイツが転校してしまうこと。グリーンカーテンができあがった夏には、アイツの姿は、もうこの温室にはなかった。俺に植物たちの世話を引き継がせようとしていたこともあとからわかったことだった。俺はアイツが作ったグリーンカーテンの下で今日も一人で昼寝をする。夏の風が涼しく通り抜けていった……」

(おわり)

今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。