医師の9割は手術中に音楽を聞いているーー「手術中に流れる音」の紹介

2021.7/016 TBSラジオ『Session』OA

Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、手術中に医師が聞いている音について紹介します。

◾手術中に音楽を聞く

人が生きている限り、病気や事故等によって、手術を受ける機会があります。手術に音はどのように貢献しているのでしょうか。

病院によっては患者の緊張をほぐす目的で、好きな曲を受け付けるケースもありますが、患者ではなく、医師が手術のパフォーマンスを上げるために音楽を聞くこともあると言います。音楽の種類も様々ですが、歌詞のある歌だと世界に入ってしまうので、BGMにする医師もいます。

 そんな中、2021年3月、ドイツのハイデルベルク大学の婦人科・産科の医師たちによる、音と手術のパフォーマンスの関係を調査した研究が発表されました。研究はハイデルベルク大学医学部の学生87名を対象に、お腹に小さな穴をあけて内視鏡(カメラ)を挿入し、目で体内の状態を確認する腹腔鏡(ふくくうきょう)検査を、ツール(Luebecker Toolbox)を用いて練習する際に音楽を流すものです。
 実験では、ヒップホップ、クラシック、ロック、ラジオの4つの音を聞きながら行うものと、音のない状態のものを、各被験者がランダムに3種類の状況で検査を実施しました。結果は、音なしに比べて、(70デシベル以上の)音を聞いていた場合はパフォーマンスが上がっていることがわかりました。さらに、ヒップホップとクラシックを流したグループは、ロックとラジオを流したグループよりもパフォーマンスが高いという結果が出ました。


◾医師は手術中に何を聞いているのか

では、実際に医師は手術中の何を聞いているのでしょうか。ストリーミングサービスの「Spotify」と、医療関係者用のSNSである「Figure 1」が共同で50カ国以上から700人以上の外科医や医療専門家に調査したところによれば、医師の90%が手術中にオペ室で音楽を流していることがわかりました。さらに、その中の3割は、自分で手術用のプレイリストを作成していました。
 中でも、人気ジャンルの1位はロック(49%)でした。続いてポップス(48%)、クラシック(43%)、ジャズ(24%)等が続きます。
 執刀医だけでなく、音楽をかけることでたのスタッフの緊張もほぐれるといった効果があり、また全身麻酔ではなく患者に意識がある場合は、リクエストも受け付けるケースもあるとのことです。ちなみにSpotifyは、医師が手術室でよく聞くロックの曲をプレイリストにしています。曲の一例を挙げれば
スコーピオンズ「Rock You Like a Hurricane」
ガンズ・アンド・ローゼズ「Sweet Child O' Mine」
クイーンの「We will Rock You」
などがあります。こうした結果は、多くの読者が想定するイメージと異なるものかもしれません。



音による様々な効果が検証されていますが、患者の命を預かる医師にとっても、パフォーマンスと音には強い関係があることがわかります。音とパフォーマンスの研究は、様々な分野で今後も調査する必要があるのです。



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