暖色はトランペット、無彩色はピアノのイメージーー「色から連想する音」とは何か

Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート
2020.12/18 TBSラジオ『Session』OA


Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、トランペットは暖色を、ピアノは無彩色といった、色のイメージを楽器で表現した調査からわかったことを紹介します。

◾トランペットは暖色をイメージ、ピアノは無彩色をイメージ

芝浦工業大学デザイン工学科4年である松山聖太氏、レゲエ歌手でアプリ開発者のDOZAN11氏(元・三木道三)、同大学の日髙杏子准教授や企業らが共同で、色から連想する音についての調査を行いました。この調査は、2020年6月に行われた「日本色彩学会」第51回全国大会で発表されています。

調査は、日本語話者79名に日本語でアンケートを、またアメリカ・台湾・ブラジル・オランダ・インド出身の英語話者45名に英語でアンケートを行いました。12色からイメージする楽器についてのアンケートからは、日本語話者と英語話者に共通した、つまり国籍や言語、文化を超えて共通した結果が得られました。それは暖色(赤、オレンジ、黄色)、つまりあたたかさをイメージする音はトランペットであり、無彩色(黒、白、灰色)をイメージする音はピアノでした。寒色(ブルー)については、共通したイメージはありませんでした。

◾アプリ開発と色のイメージ

この調査はもともと、「mupic(ミューピック)」という、画像から音楽を作成するアプリの精度向上を目指して行われたものです。mupicは、自分で撮影した画像や動画を読み込ませることで、画像の色と顔の表情から、怒りや驚きとった、5つの感情に分類され、音楽が作成されます。

作成された後も、色や感情、音楽のジャンルを変更することで、音楽の変更・アレンジが可能で、SNS等で拡散して楽しむという用途もあります。昨今はモノクロの画像をコンピュータが自動で色付けするサービスがありますが、それの音楽版とも言えるでしょう。

画像に音楽を加えると、画像のイメージは大きく変化しますが、音が持つイメージを適切に読み込むためにも、私たちが持っている音のイメージを、より細かく調査する必要があることがわかります。

音のイメージに関しては以前、「共感覚」についても紹介しました。これは感覚刺激が別の感覚からも得ることができるというもので、有名な「色聴(しきちょう)」は、音を耳から感じるだけでなく、色としても見えるというものです。

こうした共感覚の他、音がイメージを与える「音象徴」という現象も紹介しました。濁音等の要素によって、音の強さを表すことがわかっています。

このように、音が私たちに与えるイメージ研究は、様々な領域で行われているのです。

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