【ニンジャ自由研究】悪の組織の被害状況調査
1.はじめに
ダイハードテイルズ出版局の代表作である「ニンジャスレイヤー」といえば、サイバーパンクに始まり、学園青春ものやスポーツもの、シュールなギャグやミステリなど、様々な面を持つ作品ですが、その根底には巨大なニンジャ組織に纏わる超常のニンジャ同士の戦いという骨子が存在しています。
今回は、その数々のイクサを「ニンジャ組織が被った人的(ニンジャ的)損失」という面から追ってみようと試みたものです。
慣れないエクセルによるグラフ作成や、突貫工事的なデータ収集など、拙い面や不正確な面は多々あると思いますが、一ヘッズの興味本位の試みとして話半分に見ていただければ幸いです。
2.調査方法
・調査に当たっては、主にニンジャスレイヤーwikiを参照する。
・調査対象組織は、主要敵組織の中でも特に大きな規模を持つ「ソウカイ・シンジケート(旧ソウカイヤ)」、「ザイバツ・シャドーギルド(旧ザイバツ)」、「アマクダリ・セクト」、「過冬」、「ネザーキョウ」の5つとする。
・基本的にTwitter連載版を元とし、物理書籍版と違う最期を迎えているキャラなどはTwitter連載版を優先してカウントする。ただし、物理書籍のみに登場しているキャラは、多少物語上の整合性を無視してもカウントする。
・少しでも多くのデータを集めるため、上記の通り物理書籍限定キャラに加え、ニンジャスレイヤープラス限定エピソードの登場キャラ、スレイト・オブ・ニンジャの登場キャラも可能な限り含む。
・被害要因の分類は、主に下の5つとする。
1.主人公であるフジキド・ケンジ及びマスラダ・カイ、wikiにてその協力者として紹介されているキャラとの戦闘による敗死及び敗北の末に自決。
2.組織内部での対立・内紛。
3.組織内部での粛正・処刑。
4.調査対象組織と対立する、別の組織との抗争による死者。
5.その他(主人公と協力者以外の無所属ニンジャによる被害、モータルによる被害、何らかのアクシデントによるものなど)。
3.ソウカイ・シンジケート(旧ソウカイヤ)
記念すべき最初の敵組織。当時のネオサイタマにおいて随一の支配力を有し、多少の敵対者はいれど所属ニンジャが実戦経験を積む機会が少なかったほどという彼ら。
ラオモト・カンのカリスマの下で、内輪もめはあっても結束は固かったイメージですが、彼らの受けた被害はどのようなものだったのでしょうか。
フジキド・ケンジ 61名
当然ながら、我らが殺戮者がソウカイヤに一番の被害を与えています。
並み居るアンダーニンジャは無論のこと、シックス・ゲイツにその名を連ねたニンジャ(一度ソウカイヤを抜けたとはいえ、戦闘時には半ば戻っていたインターラプター、結果的にフジキドとのイクサの中で死んだヘルカイトも含んでいます)を、13名も葬っています。
デビルフィッシュ、レイザーエッジ、ウォーターボード、アルマジロ辺りの末期シックス・ゲイツの出涸らしのようなニンジャも含んではいるものの、創設者ゲイトキーパーを始めソウカイヤの中でもトップクラスの実力者たちも多く倒しています。
何より、ソウカイヤそのものといえるラオモト・カンを討伐したことを考えれば、まさに旧ソウカイヤはフジキド・ケンジに滅ぼされたと言えるでしょう。ベイン・オブ・ソウカイヤの称号にふさわしい戦果です。
内部対立・内紛 10名
悪の組織のお決まりと言うべきか、フジキドによる死者に次いでこの死因が最も多かったです。
このうち、ヘルカイトに謀殺されたガーゴイル、ネオサイタマ炎上時にヨルジに付いてラオモト・チバを襲撃し、ネヴァーモアとチバに返り討ちにされたアイアンフィストとデッドラインを除けば、残りの7名はウォーロックの陰謀に加担し、ダークニンジャを襲って殺されたニンジャたちです(なお、ウォーロックは死亡時にアマクダリにいたものとして、ここではカウントしていません)。
手柄の取り合いはあれど、内紛による死者は第1部終盤での事態を除けばそこまでには昇っていないのは、やはりラオモト・カンのカリスマの成せる業でしょうか。
旧ザイバツとの抗争 5名
当時のソウカイヤ最大の対立組織であろう、旧ザイバツとの抗争による死者は、作中で描写されている限りでは意外に少ないものでした。
このうち3名は、ダークニンジャのザイバツ入団試験の課題の如く扱われたダストスパイダーのグループ、1名はキョート城の斥候に向かってブラックドラゴンに消されたブリガンド、1名はソウカイヤ崩壊直後、ザイバツ強襲によって落命したソーンヴァイン(物理書籍版のロングドゥアとは同一扱いでカウント)です。
ザイバツがソウカイヤに対して、というよりラオモト・カンただ一人に対して警戒し、慎重に立ち回っていたことが、この程度の被害規模に収まった理由でしょうか。
ドラゴン・ドージョー 3名
ラオモト・カンも邪魔者の一つとして挙げたドラゴン・ドージョー。作中で犠牲となったのはゲンドーソーに倒されたデッドリーフとタルピダイ、そしてバッファローに轢き殺されたコーシャスですが、彼らが派遣される前から、すでにソウカイヤがドラゴン・ドージョーを警戒していたことを考えると、さらに多くのソウカイ・ニンジャが倒されている可能性もあるでしょう。
粛清・処刑 3名
ラオモト・カンの不興を買ったセントリーと自爆させられたクイックシルヴァーはサンシタでしょうが、フジキドに敗北してインタビューされ、情報を漏らす前にダークニンジャに口を封じられたビホルダーの死は、ソウカイヤにとっても痛手の一つだったように思います。
ヤモト・コキ 2名
ナンシー・リー 1名
後々まで活躍することとなる忍殺ヒロインの二人も、ソウカイ・ニンジャを倒しています。
ヤモトは、フジキドとスーサイドのアシストを受けてとはいえ、シックス・ゲイツのソニックブームと、少なくとも当時のヤモトよりは格上だったと思われるバイコーンを討つキンボシを挙げています。
ナンシーも、フジキドとの協力あってのことですが、ハッキング対決の末にシックス・ゲイツの一人にして今なおハッカーニンジャ界に並ぶ者なき強者、ダイダロスを下しています。
その他 9名
ドラゴン・ドージョーと並んでラオモト・カンにその名を挙げられたヤクザ天狗が4人を(20以上というキルスコアから、他にもハントしている可能性もあり)、フジキドのライバルの一人として挙がるジェノサイドが1人を、死期を悟って最後のイクサに赴いたシルバーカラスが2人を、それぞれ打ち倒しています。
他、マスダ兄弟にインパルスが殺され、ウォーロックの陰謀の巻き添えでトラッフルホッグが死亡していますが、彼らはサンシタとはいえあまりに不運でした。
まとめ
総評としては、ニンジャスレイヤーの出現までは、やはりソウカイヤはネオサイタマに君臨する絶対の存在だったといえるでしょう。
ニンジャスレイヤーはいつの世も、ニンジャたちの災いなのです。
4.ザイバツ・シャドーギルド(旧ザイバツ)
西のニンジャ組織ザイバツと言えば、ソウカイヤ以上の戦力を抱えた組織でありながら、内部の派閥抗争が激しくフットワークが重いという印象ですが、その被害の内訳はどれほどのものだったのでしょう。
フジキド・ケンジ 70名
ここでもやはり貫禄の主人公。我らがフジキドは、作中でわかるだけでも70名ものザイバツ・ニンジャをジゴク送りにしています。ここではカウントしていませんが、シンカンセンでキョート入りした直後にフジキドとジェノサイドを包囲したザイバツ・ニンジャたちなど、他にも犠牲となったニンジャもいることでしょう。
内訳を見てみても、グランドマスターの中でも武闘派であるダークドメイン、サラマンダー、ケイビインの3人を撃破している他、マスター位階のニンジャに限っても17名を討ち取っています。
「ザイバツ・ヤング・チーム」にて、ダークニンジャ一派の重大な生存要因が、フジキドによってザイバツの目立った強者が殺されていたことと語られていましたが、これも過言ではないでしょう。
内部対立・内紛 29名
「派閥抗争のザイバツ」というイメージにふさわしい数字ではありますが、この中で一番多いのは派閥抗争ではなく、ムーホンを起こしたダークニンジャ一派との戦いによる犠牲者です(ある意味では派閥抗争か)。
このうち3人は追い詰められたスローハンドによる被害、4人はザイバツに捨てられる形となったフェイタルとイグナイトによる被害(ブラックヘイズも2人倒していますが、外部の傭兵なので内紛には入れていません)、1人はムーホンの疑いをかけられたシャドウウィーヴに絡んで返り討ちにされたコンフロント、1人は私怨からダークニンジャに挑んで倒されたデザートバット、4人はヨゴレニンジャ同士の殺し合いでの死者です。
残りは全て、ムーホンを起こしたダークニンジャと、彼についたニーズヘグ、ミラーシェード、バンシーによるものです。パープルタコも描かれてはいないだけで幾人かは倒している可能性も大いにあります。
ダークニンジャをザイバツに招き入れたのは、ザイバツにとっての災いだったのではと思えてなりません。
デスドレイン一味 17名
ニンジャスレイヤーとダークニンジャに並ぶ、もう一人のザイバツにとっての災厄といえば、デスドレインを置いて他にはいないでしょう。
確認出来るだけで、15人がデスドレインに、2人がランペイジに殺されています。デスドレインが殺した中には名称不明ですがマスター位階も1名含まれており、この際に数人のアデプトも死んでいるなど実際の犠牲者はさらに多いはずです。
今回はカウントしませんでしたが、物理書籍版ではネブカドネザルをけしかける形でさらに10数名以上のザイバツ・ニンジャが倒れており、デスドレインがもたらした被害は相当なものに上っています。
粛清・処刑 9名
これも、いかにもザイバツらしい結果です。派閥抗争の犠牲となったシーホースやバンダースナッチ、サラマンダーの死後セプクさせられたフューズフィンガーやミノタウルなど、理不尽にこの末路を迎えた者も多いようです。
明確にザイバツに歯向かったのは、バンザイ・チャントを無視したデスペラードと、ロードに名指しで非難されたパラベラムくらいでしょうか。
タカギ・ガンドー 8名
第2部におけるニンジャスレイヤーの相棒たるガンドーは、キルスコアこそ上記の要因たちに一歩劣りますが、その戦果は極めて高いものです。
ザイバツのナンバー2たるパラゴン、屋台骨であるヴィジランス、瀕死だったとはいえザイバツ最強の呼び声高いイグゾーションと3名ものグランドマスターを屠り、シテンノの一角であるアイボリーイーグルも下しています。
ザイバツを追放された後だったためにカウントはしませんでしたが、狂っていながら実力は確かだったガンスリンガーも破っていることも加味すれば、彼のキンボシの大きさは疑うべくもありません。
ナンシー・リー 3名
ユカノ 2名
ヤモト・コキ 1名
第2部の前半は眠りについていたナンシーですが、最終決戦においては電算機室と壮絶なハッキング勝負を繰り広げ、ストーカーを含む電算機室のニンジャ3人のニューロンを焼き払ってのけました。
ユカノもまた、長きにわたる記憶喪失状態から脱し、キョート城の処刑人たるレッドクリーヴァーとワッチドッグを見事に打ち破っています。
ヤモトは第2部での出番は少なめでしたが、ワイルドハント配下の中でも実力者であったろうストームライダーを仲間との連携で倒しています。
彼女らの活躍は、ザイバツに確かな打撃を与えていたことでしょう。
シマナガシとの抗争 3名
ネオサイタマ侵攻時、運悪くシマナガシに遭遇した3人です。あの乱戦の中では、他にも彼らに倒されたニンジャもいるかもしれません。
シルバーキー 1名
ソウカイヤとの抗争 1名
マルノウチ抗争ではバンディットに倒された1人以外に、ザイバツの被害を確認することは出来ていませんが、他にも死者が出ている可能性はあります。
シルバーキーは、自分をいたぶったサージョンに引導を渡しました。武闘派ではなかったとはいえ、マスター位階が一人失われた形です。
その他 9名
ジェノサイドと戦う羽目になったり、ブラックヘイズの報復のついでに倒されたり、暴走状態のイヴォーカーに襲われて行方不明になったり、よりによってザ・ヴァーティゴ=サンに遭遇したりと、実際気の毒なニンジャが複数見られます。
更には、ブチ切れたレッドゴリラに殺されたアロンダイトやイグゾーションに使い捨てられたクラミドサウルス、ビビったばかりにニーズヘグに殺されたニュービーたち、数が不正確なためカウントはしていませんがパーガトリーのカラテミサイルの巻き添えを食った者たちなど、やたらと可哀想な面々が目につきます。
まとめ
旧ザイバツは、フジキド、フジオ、デスドレインという、三大災厄による被害が特に大きかったようです。ガンドーらザイバツに恨み持つ者の存在もあり、これまでの邪悪のインガオホーといったところでしょうか。
5.アマクダリ・セクト
その強大さと野望の大きさ故に、ソウカイヤとザイバツ以上に数多くの敵を作り上げたアマクダリ。彼らに敵対する者は数いれど、誰がどれほどの被害をもたらしたのでしょうか。
追記:ミスにより、アルゴスを被害にカウントしていなかったようです。合計死者数は230名です。
フジキド・ケンジ 95名(ミスのためカウントし損ねたアルゴスを入れれば96名)
圧倒的なこの戦果、死神とはまさにこのこと。サンシタから幹部まで、殺しも殺したり95人です。内訳を見ても、最高幹部たる「12人」のうち実に8人(ミスのためカウントし損ねましたが、月を爆発させたことを考えればアルゴスもでしょうか)、ハタモトたるドラゴンベインとスワッシュバックラー、その他アクシスの精鋭も数多く死神の鎌に刈り取られました。
第3部の連載が長期に渡ったこともあるのでしょうが、圧巻の戦績です。
内部対立・内紛 36名
意外にもザイバツ以上に内紛による死者が出ていますが、この大半は最終決戦にてアマクダリを裏切ったリー先生率いるINWと、同じく離反したチバが招集した傭兵部隊及びネヴァーモアによるものです。
仮にも最高幹部の一人であるリー先生と、傀儡とはいえ総帥であるチバの離反によって多くの死者を出したアマクダリ、アガメムノンの支配システムは末端には行き届いていても、中枢には無理だったようです。
他にも、アガメムノンの妻たるソルスティスの裏切りと死、後任とはいえ「12人」の一角だったトランスペアレントクィリンがサブジュゲイターのゲコクジョであっけなく死亡、さらにはディクテイターにまで1人撃ち殺されるなど、結構な被害を出しています。
シマナガシとの抗争 23名
反アマクダリ勢力の中で、特に多くの成果を上げたのはサークル・シマナガシでした。
アナイアレイターが10人(爆殺されたガルーダはここに含みました)、フィルギアが8人、ルイナーが4人、主にアシストに回っていたスーサイドも1人を倒しています。
カウントはしていませんが、ニチョーム・ウォーの乱戦の中で生死不明のプリザーヴとモナーク、アンブッシュがフィルギアの仕業としたらセコエンシアなども加わり、どれほどのアマクダリ・ニンジャがシマナガシの足元に屍を晒したのか、正確にはわからないほどです。
新生ザイバツとの抗争 12名
新生ザイバツとアマクダリとの戦いは、最終決戦の中でも特に乱れた激戦であり、双方の正確な被害を計測することは不可能です。
その中でも、作中で死が描写されているものを抽出したところ、最低でも12人のアマクダリ・ニンジャがここで戦死しています。ハーヴェスターの戦死後、容赦なく殺された者も含めれば、さらに跳ね上がるでしょう。新生ザイバツの恐ろしさがにじみ出ています。
レッドハッグ 7名
ユンコ・スズキ 6名
第3部から登場した二人は、反アマクダリの個人としては特に大きなキルスコアを稼いでいます。ユンコの場合はシャドウウィーヴを始めとした仲間のアシストも受けていますが、それでもこの数字は見事なものです。「12人」の一人であるスターゲイザーが含まれていることも、特筆に値します。
レッドハッグは、元ヤクザアサシンの面目躍如といったところでしょうか。スワッシュバックラーと戦って生き延びている点を含めても、彼女の実力の程が伺えます。
ヤモト・コキ 4名
ユカノ 3名
初期から登場している二人は、それぞれニチョームとオヒガンでの活動期間が長く、アマクダリに対するキルスコアは少し少なめでした。
しかしながら、激しい連戦の中で4人を討ち取ったヤモト(ヨロシサン製薬所属のためカウントしていないがアサイラムも下しています)、新生ザイバツと共に3人の首級を挙げたユカノと、双方アマクダリに確かな打撃を与えています。
サヴァイヴァー・ドージョーとの抗争 3名
カブキコムとの抗争 3名
旧ザイバツとの抗争 3名
地下に潜んでいた期間が長かったせいか、サヴァイヴァー・ドージョーはアマクダリに対して与えた被害は少なめで、ニチョーム・ウォーに纏わるイクサでは活躍したものの、サワタリが挙げたキルスコア3が最終結果のようです。
カブキコムとの抗争においては、マジックモンキーたちを相手に善戦したストーンコールド隊の実力を褒めるべきでしょうか。
旧ザイバツ、ダークドメイン部隊との戦いではブラックウィドーとフューネラルという実力者を失い、フェイタルがザイバツ在籍時最後の戦果としてコロッシヴの首を挙げているなど、思っていたより大きな被害のように思えます。
粛清・処刑 1名
モータルにビビって逃げた挙句、不正を暴かれて処刑されることになったサフォケイトただ一人がこの座についています。サンシタ界に燦然と輝く星です。
とはいえ、規律に厳しいアマクダリのことですから、組織がまだ不安定だった発足初期には、他にも粛正されたニンジャもいそうです。
その他 33名
何せ敵に回した相手が多かったアマクダリ、ニンジャからモータルまで幅広い相手から被害を受けています。
ツキジでジェノサイドやエルドリッチに殺されたり、ネオソウカイ・シンジケート相手にセプテントリオンが1人戦死したり、オウガパピーやデリヴァラーといったアマクダリと敵対することとなった個人に倒された者もいます。
あるいはマッチやカケル、ホワイトパイソンを爆殺したブラックメタリスト、乱戦の混乱の中でブラックハンドを撃ち殺してしまったテクノギャングなど、モータルの中にもアマクダリ・ニンジャを倒したものが存在します。
アガメムノンの八つ当たりで消し炭になったスクラピュラスエミッサリーに対しては、合掌する他ありません。
まとめ
アマクダリは数多くの個人・勢力を敵に回しましたが、やはりフジキドの与えた被害は甚大です。アマクダリ・セクトはフジキド・ケンジの手によって、月と共に砕け散ったと言えるでしょう。
6.過冬
街一つを支配するロシアン・ヤクザというと、ニンジャの世界では大したことのないように聞こえますが、実際は非常に強力な集団だった過冬。
彼らに被害を与えた要因はなんだったのでしょうか。
新生ソウカイヤとの抗争 26名
意外にも、単純なキルスコアでは成長したチバ率いる新生ソウカイヤが、マスラダによる被害を上回りました。
オヤブンたるチバが、自身の母とザルニーツァの真実を探るための陽動として、シックス・ゲイツを中心としたニンジャたちを送り込み、3名の死者を出しながらもこれほどの戦果を稼ぎ出した新生ソウカイヤは、第4部のケオスの中にあって確かな力を持つ武闘派組織なのではないでしょうか。
かなりの強者も含んだアンダーニンジャ25名のみならず、上級戦士ワイズマンの一角たるスノーマンをも下しています。第4部シーズン2をヤクザ抗争として見るなら、勝利を収めたのは目的を達した上で敵対する過冬も壊滅するという結果を迎えた、新生ソウカイヤと言えるのではないでしょうか。
マスラダ・カイ 21名
キルスコアでこそ新生ソウカイヤにトップを譲りましたが、内訳を見ればマスラダの戦果の大きさは明らかです。
首領たるシンウインターと、その側近の片割れであるミギ、ワイズマンのうち実質的な過冬ナンバー2に近いカークィウスを含む4名(オーガフィストはカイシャクのみでしたが)、そしてアンダーニンジャ15名を叩き潰してのけたマスラダ。サブタイトルに出て来た、ベイン・オブ・カトーの称号を冠するに不足はありません。
スーサイド 4名
長きに渡る絶望と屈辱の末、ついに反旗を翻したスーサイド。派手な活躍こそマスラダに譲りましたが、シンウインターの側近ヒダリを含む4人のニンジャを始末し、新生ソウカイヤとのタフなネゴシエートも乗り越えて、過冬壊滅に大いに貢献しました。
フジキド・ケンジ 2名
フジキドもまた、マスラダを見守る形でイクサでは一歩引いた立ち位置でしたが、そもそもがムカデ・ニンジャとの戦いやワラキアでの連戦の傷も癒えぬままシトカを訪れており、その上でワイズマンの中でも上位と思われるサイグナスを下し、オーガフィストを瀕死に追い込み、古代ローマカラテ使いも仕留め、このイクサの直後に神話級リアルニンジャを立て続けに2人討伐するという快挙を成し遂げました。第4部でも彼は健在です。
シルバーキー 1名
シキベ・タカコ 1名
シルバーキーは同じコトダマ系の使い手たるホワイトアウトをニューロンのイクサで打ち倒した他、数が不明なのでカウントはしていませんが他にも複数のニンジャをニューロンを焼いて倒したという記述があります。
シキベはウキヨでありながら、仲間との連携をもってラジエイターを倒しており、ニンジャでなくともニンジャに対抗できるという事実を第4部においても示してくれました。
その他 2名
レッドゴブレットがシトカの船乗りニンジャたるタイダルテンペストに(描写はありませんが事務所はシトカ側が占拠したため敗死と推定)、カシマールが逃亡の末にシャドウウィーヴに粛清されています。
レッドゴブレットはイクサの結果ですが、カシマールは何ともインガオホーな最期を迎えました。彼に関しては、死んだ時点で過冬ではなかったかもしれませんが、幹部格ということでカウントしています。
登場した過冬のニンジャで明確に生き残ったのは、ガーランドに見逃されたザルニーツァと、新生ソウカイヤの軍門に下ったブルハウンドのみです。登場した所属ニンジャはほとんどが死亡、過冬は新生ソウカイヤ及びニンジャスレイヤーたちの手で、完膚なきまでに壊滅したと言っていいでしょう。
7.ネザーキョウ
暗黒カラテ国家として、まさに国軍クラスの戦力を有するネザーキョウは、規模で言えばこれまでの組織の中でも一番かもしれません。
2020年8月現在、未だ壊滅には至っていない組織ですが、そんな彼らがここまでに受けた被害はいかほどでしょうか。
マスラダ・カイ 14名
最終エピソードの「タイラント・オブ・マッポーカリプス」で挙げた首級はカウントしていませんが、この時点で過冬でのキルスコアより少なめなのは、連載期間の問題でしょうか。
しかしながら、アケチ・シテンノのうち、リディーマーのみならず、かのザンマ・ニンジャも打ち破っており、カイデンを受けたるマイトイカラスやテツバ・ドラグーンの精鋭たち、アカゾナエのセンシたちまでも倒しており、タイクーンの喉元にまで迫っている彼が、ネザーキョウに最も大きな被害を与えたことは間違いないと思われます。
UCAとの抗争 11名
ヨロシ・サトルCEOの遭難に端を発したイクサで、ヨロシサン・インターナショナルのニンジャに殺された5人は、半ば事故に近いかもしれません。
ヘラルドが参加した「ニーベルング作戦」では3人が戦死し、ファイアストトーム隊が3人を仕留めていますが、UCAはやはりネザーキョウとのイクサには、「天下布武(ネザーフォーミング)」発動までの間は、さほど力を割いていなかったように思えます。
内部対立・内紛 4名
ここでの死者は全てケイトー・ニンジャに唆された離反者たちであり、純粋にケイトーによってもたらされた被害と言えるでしょう。
粛清・処刑 3名
しくじったルーテナントはまだしも、アンシーンとガヴィアルは何度見ても可哀想です。
アズール 3名
アナイアレイター 2名
フィルギア 1名
全員がナガシノにおける「デスベレー隊」の死者です。一度に強力な敵対者がナガシノに集ったことは、リディーマーと「デスベレー隊」にとって、その日がブツメツだったとしか……。
サワタリ・カンパニーとの抗争 1名
海外へと遠征したネザーキョウのセンシのうち、明確に戦死したのはサワタリ・カンパニーに敗れたブラッドストリングスです。ジャングルでサワタリ・カンパニーを敵に回したのが運の尽きだったと言えましょう。
他の地域でも、オムラ・エンパイアやデルタ・シノビのように、各地に信仰したネザーキョウに抗う勢力・個人は存在していますが、正確な戦績が不明のため、割愛しています。
その他 12名
狂気に片足を突っ込んだヘラルドや、たまたま自分の都合でやってきたニーズヘグ、言わずもがなのケイトー・ニンジャ、恐るべきモモジ・ニンジャなど、外部からの予期せぬ来訪者の手で幾人かが犠牲となっています。
更には、あまりに相性の悪い相手だったためにヨロシ・サトルとドリームキャッチャー敗れカラテビーストに殺されたナウジア、いきなりザンマに斬り殺されたファーネイスもここでカウントしています。アンシーンとガヴィアルといい、「デスベレー隊」といい、ネザーキョウのニンジャには運のない者たちが割といるようです。
まとめ
ネザーキョウは規模の大きさではこれまででも随一ですが、こうしてみるとその大半は、やはりゲニントルーパー・チューニントルーパーによって賄われていたことが伺えます。
センシの登場数は思っていたよりは少なめだった印象です。「タイラント・オブ・マッポーカリプス」に登場した者たちのように、まだ控えている可能性は高いとは思います。
8.番外
上記5つの組織以外で、気になったものはいくつか調べてみました。
イモータル・ニンジャ・ワークショップ
今なおニンジャの闇を探求し続ける彼らの受けた被害は、全てゾンビーニンジャです。物語を通して一番無傷なのは、彼らかもしれません。
フジキド・ケンジ 4名
ブルーブラッドがフジキドに「うちのゾンビーをたくさん壊してくれている」と語っていましたが、その時点でフジキドが倒したゾンビーニンジャで確認できるのはキャバリアーとウィルオーウィスプ、仮にレベナントを加えるとしても3名です(レベナントにトドメを刺したのはデッドムーンのため、カウントはしていません)。未公開エピソードで他にも倒しているゾンビーニンジャがいるのかもしれません。
その後、第3部ではガーデナーとタイフォーンがフジキドに葬られています。
ジェノサイド 5名
キルスコアは彼が一番ですが、内3名はアマクダリのパペットマスターに操られた末のことであり、純粋に敵として倒したのはマミーとグールの2体でしょうか。
ヤモト・コキ 2名
アマクダリに出向していたスペクターを下した他、アマクダリ・ニンジャのズィーミに操られたカラミティを、ジェノサイドと共にヤモトが仕留めています。スペクターもカラミティも、ゾンビーニンジャの中でも強力な存在であり、キンボシ・オオキイ2スコアと言えるでしょう。
スーサイド 1名
エルドリッチ 1名
ケンワ・タイ 1名
それぞれの理由でゾンビーニンジャとぶつかることになった彼らによって、ニンジャマッシャー、ガーストリィ、ナックラヴィーが葬られています。特にナックラヴィーの強さは別格であり、彼と刺し違えたケンワ・タイの力と精神の強さが現れています。
この他、アマクダリ戦争においてネクロスパイダーやドラコニックを含むかなりの数のゾンビーニンジャが倒れています。
しかし、ゾンビーニンジャは第4部現在、最早リー先生の研究対象ではない ようなので、中枢メンバーたるリー先生、ブルーブラッド、フォーティーナイン、ラヴェジャーの4名がいる限り、INWに滅びはないことでしょう。
イッキ・ウチコワシ
バスター・テツオが抜けてからは一気に変質し、第4部の今はすっかり過去の存在となった組織ですが、彼らの変遷をその被害から見てみましょう。
フジキド・ケンジ 3名
フジキドを仲間に入れようとして失敗したことは、その邪悪さゆえに当然とはいえイッキ・ウチコワシの大きな失敗だったのではないでしょうか。
実質的ナンバー2と言えるアンサラーを含め、フリックショット、ヨトゥンという戦闘的メンバーを失っています。
ユンコ・スズキ 1名
オムラ・インダストリとの抗争 1名
フジキドに敗れた末にユンコにカイシャクされたソーマタージ、エクスプロシブに爆殺されたラプチャーの2名。相手と状況が悪すぎました。
その他 3名
バスター・テツオが抜けた後のイッキ・ウチコワシは、イッキ・ウチコワシと呼んでいいものかどうか。
エヴリマン、ブリックウィル、モジュラーの3名は、結局何も果たせずにフィルギアやヤモトやシルバーキー、果てはアマクダリ・ニンジャのソリティアによって、次々に果てました。
彼らの死と、バスター・テツオがローニン・リーグのナラキに敗北したことをもって、イッキ・ウチコワシはトリロジーの時代と共に完全に退場したと言えるでしょう。
オムラ・インダストリ
第2部をもって倒産したオムラですが、ヨロシサン製薬とは違い所属ニンジャたちはニンジャである前にオムラマンという強い忠誠心の持ち主たちです。しかし、その最新武装もニンジャのイクサでは万全とはいかないようです。
フジキド・ケンジ 3名
フジキドが倒したインダストリ関係者は、クラウドバスター、エクスプロシブ、スコーチャーの3名と意外に少ないですが、いずれもラオモト・カンの前でブザマを晒して鬼瓦ツェッペリンもろとも敗北、命乞い虚しく自分の爆弾で爆殺、果てはインタビューの末に衰弱死など、いずれも悲惨な末路を辿っています。
フォレスト・サワタリ 1名
アズール 1名
スワッシュバックラー 1名
シンゴ・アモ 1名
ザイバツに出向していたヴォルテージは実力を発揮する前にサワタリに殺され、切り札たるネブカドネザルはデスドレインにいいようにされた挙句アズールに殺され(物理書籍ではフジキドとのイクサで最期の一花を咲かせているが)、アマクダリの陰謀の邪魔になったばかりにインフェルノがスワッシュバックラーに殺され、最後の残滓たるモーターカネダもシンゴによって殺されたという結果です。
モーターだけでは、ニンジャのイクサでは勝ち抜けないと言うことでしょうか。
ヨロシサン製薬
トリロジー当時のヨロシサンは、あらゆる陰謀を巡らせていましたが、それだけに被害も受けています。
フジキド・ケンジ 12名
特派員シリーズで関わることが多かったためか、結構な数のヨロシサンのバイオニンジャがフジキドの手にかかっています(ノトーリアスは除いています)。
ディープテラーやマンモンキー、ボタニック、チュパカブラ、ケジメニンジャといった離反者も含まれています。ある意味彼がヨロシサンの後始末をしたのかもしれません。
スーサイド 3名
ニチョーム・ウォーにおいて、キュア配下と思しき3名がスーサイドに敗れ、その後ペイシェントにされたようです。スーサイドのジツは、バイオニンジャと言えどそう簡単に打ち破れはしないようです。
ヤクザ天狗 1名
シルバーキー 1名
ヤモト・コキ 1名
フォレスト・サワタリ 1名
それぞれ、カンゼンタイ、マスモーフ、アサイラム、エルトリアトが彼らに敗れています(カンゼンタイは微妙なところですが)。やはり多くは、アマクダリの関係筋のようです。
9.最後に
長々と書き連ねましたが、ここまで読んで下さりありがとうございました。
調べてみると、「ニンジャスレイヤー」という作品が本当に一筋縄ではいかない、絡み合った群像劇であることが改めて見えてきました。短い時間で荒っぽく調査しただけでは、到底その全貌を掴むには至りません。割愛した小規模組織も多く、名鑑や書籍のみでの言及で、把握し切れていないニンジャもまだまだいます。
今回は、トラブルによって予定していた「夏のニンジャソン2020」への参加は逃しましたが、なかなかに有意義な時間が過ごせたと思います。
王道的なバトルものとしての骨子がありながら、R.E.A.L。「ニンジャスレイヤー」をこれからも追っていきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?