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ケリをつけに行った話。

#シン・エヴァンゲリオン劇場版

 3月13日にシン・エヴァンゲリオン劇場版を見に行った時に思ったことの話をしたいが、身内に誰も見ている人がいないのでここで書くことにした。
 良ければどうぞ読んでいってください。ネタバレは無いです。



1.見る前の話

  正直この作品に関しては、
『さっさと終わってほしいコンテンツ』
の筆頭だった。もうお腹いっぱい、これ以上コラボとか見たくなかった。
 何年待ってもシン・エヴァンゲリオン劇場版は出ない、Qとかもう8年、9年前?嘘だろ。パチンコのよく新作出すわ、とか思ってた。心から。

 もともとそんなことは思ってはいなかった。作品としても普通に好きだったし、この作品に滅茶苦茶のメチャメチャに影響を受けた。カバラも齧った。考察も読みまくった。旧劇場版もレンタルした。モグ波にもお世話になった。同じ世代のオタクだと多いんじゃないかな、僕みたいなひと。

 序は確かDVD借りて見た。すげー面白かったし、破も見た後は暫くエヴァのことしか考えられなかった。Qを見に行って頭に疑問符が浮いたまま二週間くらい過ごして、全然面白くねーじゃん見たいな事を言ってる人を、
 「馬鹿だな、これが“エヴァ”だろ。にわかは旧劇とTV版見てこいや」
みたいに思ってた。カスですね。
 
 そんな作品を何で嫌になったかと考えると、『待つのに疲れてしまった』
の一言に纏められる。コラボカフェ、パチスロ、ローソン、一番くじ、ビックリマン、KATE、GU。もう数が多すぎて嫌になってしまった。いつ出るかわからない作品のコラボを見ていくのが辛かった。食品、衣類、イベントのコラボ商品が中古ショップでカスみたいな値段で投げ売りされているのが嫌だった。自分が好きだった、自分の身体の何割かを占めている作品が掃いて捨てる程そこにあることが我慢できなかったんだと今になって思う。

 そんな状態が数年続いて、公開日が発表された。3月8日。

 ああ、やっとか。特段嬉しくはなかった。やっと終わってくれるのか、そんな感じだった。地元の“信頼できるオタク”と見に行く車内である話をした。
 「僕、そこまで楽しみじゃないんだよね。昔、仲良かった友達の葬式に行く感じ。お別れ会みたいな?もう疲れたんだよね」

 世の中に楽しい事は溢れている。アニメ、漫画、ゲームのサブカルに限らず、最近はサバイバルゲームにも興味が出てきた。釣りも最近行っていない。お楽しみは星の数ほどある。

 そんな中、わざわざ車を出し高速道路に乗って、市内の映画館まで行く。映画館自体は割と行く方だけど、お通夜のような気分で映画を見に行くのは初めてだった。あいつとは昔よく遊んでさ、捻くれてたけど結構いいヤツだったぜ。こんなカタチで再開するとは思わなかったよ、みたいな。

 映画館について、予約していた券にお金を払い、席につく。
 それまで僕も、友達も最低限の言葉だけだった。
 幕が上がり、灯りが消え、銀幕が映写機の光を受けて、鈍く光る。

 久しぶり、エヴァンゲリオン。ケリをつけよう。



2.見終わった後の話


 映画が終わった後の、スクリーンが終わりに染まって、灯りが付くまでの真っ暗な時間が好きだ。ほら、終わったぞ。楽しい時間ってのはいつだって早いものだと言われている感じがする。
 「―――滅茶苦茶に面白かった」「なんもいえねえ」「ガルパンはいいぞ」「いやこれシラフで見るもんじゃねえな」
 映画終わったら何かしらの感想が出る方だが、映画感を出るまで本当に何も喋らなかった。喋りたくなかった。一応買ったペプシのレギュラーサイズはたいして飲まないまま随分薄くなっていた。
 一緒に行った“信頼できるオタク”のO君も喋らなかった。トイレに行ってくると言って手を振ったのは覚えてる。
 そのまま駐車場のエレベーターにO君と乗った。同じ映画館から吐き出された人と乗ったが、皆みんなスッキリしたような、寂しいような顔をしていた。自分も多分そんな顔をしていたんだろうな。
 車に乗って、O君とぽつぽつ喋った。終わったね、終わったよ、本当に終わったね。良かった、良かったよな。エヴァの事嫌いって言ったけど、やっぱエヴァ好きだったわ、わかる。

 ああ、僕はすごくエヴァンゲリオン好きだったんだな。

 最後に、テーマソングになっている宇多田ヒカルの『One Last Kiss』のフレーズを紹介したい。あの時の自分にピッタリの歌詞だなと思ったからだ。

 『もういっぱいあるけど もう一つ増やしましょう 忘れたくないこと』

 幕が降りたあの瞬間、終劇の文字を見たあの感情は忘れたくない。









3.最後にまだ見てない人に

・“信頼できるオタク”と見に行くといいと思う。
・ネタバレは可能な限り回避して。ツイッターとか見ないほういい。
・最後の瞬間は大事にしてあげて。

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