見出し画像

忙しい女性を支援することと炎上の背後にあるもの


遅ればせながらスープストックトーキョーの「離乳食無料提供」炎上について。初期の報道では、「炎上」に対する同社の毅然とした対応が絶賛されていた。「子供の受け入れ体制が少ない日本の飲食店」への対抗的な試みを評価する見方もあった。



#noteの徳力氏はこの炎上について、公正にして公平、客観的な見方の記事を書いておられる。


ただ、徳永さんの記事にもあるように、「お客様のライフステージが変わり、ご家族やお子様と一緒にご来店いただく方も増えてきた中、」というスープストックトーキョーのツイートには、おやっと思った人も多いだろう。

同社のホームページを見てみると、この一文は確かにまだそこにある。

あたり前のことだが、シングルでいることや子供をもたない選択をする人も多い中、「お客様のライフステージが変わり、ご家族やお子様と一緒に。。」は余計な一言ではないか。

ライフステージは既婚者であろうと独身者であろうと、誰でも移り変わっていくものの、それを枕言葉(まくらことば)にした後のかかりかたが、ご家族やお子様と一緒に、と続く、そこに違和感がある。

ライフステージが変わって、より年季の入った独身者になる人もいるのだ。

その代わり、この一文が単に「ご家族やお子様と一緒にご来店いただく方にも」というシンプルなものだけであれば、状況はもっと変わっていたような気がする。


出典:スープストックトーキョーのHPより


わたしが30年住んでいるアメリカでは、こんな文言はおそらく袋叩きだ。

Soup for all! というスローガンに基づくならば、「ライフステージが変わろうと、変わらまいと」大きなお世話である。


スープストックトーキョーの以下のステートメントは、『伝わる文章』として申し分ないと思う。

けれども、上記の文がまだHPに残っているのは、いろいろな生き方を受け入れるその姿勢とそぐわないように感じる。

世の中の体温を上げるのは素敵。でも炎を上げてしまわないように。

Soup for all!

離乳食提供開始の反響を受けまして


4月25日に開始した「離乳食後期の全店無料提供」の取り組みに対して、さまざまなお声をいただきました。


お声を受けてからの発言を控えておりましたのは、私たちの存在意義について想いを巡らせ、考えを深めていたからです。

改めまして、私たちがどのような想いでこの取り組みをはじめたのか、何を実現したいのかを私たちの言葉でお伝えしたいと思います。

――――――――――

私たちスープストックトーキョーの企業理念は、「世の中の体温をあげる」です。
スープという料理を通じて身体の体温をあげるだけではなく、心の体温をあげたい。
そんな願いを一杯のスープに込めた事業を行っています。

その理念のもと、さまざまな理由で食べることへの制約があったり、自由な食事がままならないという方々の助けになれればと「Soup for all!」という食のバリアフリーの取り組みを推進しています。

これまでの取り組みでは、
・グルテンフリーや、ベジタリアン対応スープの販売
・ハラル商品の開発(現在は終売しています)
・咀嚼が困難な方にも外食時のサポートができるよう、咀嚼配慮食サービスの開始
・コロナ禍での医療従事者への食事の無償提供
などを行ってきました。

今後は、病院食や介護食、減塩食、非常食などについても研究や開発を進めていく予定です。

このたびの「離乳食後期の全店無料提供」は、この「Soup for all!」の取り組みのひとつであり、小さなお子様連れという理由で外食店での飲食をためらう方の助けになればと始めたものです。

一部店舗で実施してきた取り組みでしたが、多くのお客様からご好評をいただき全国の店舗にて開始することにいたしました。

実際にお越しいただいた際には、狭い店内ではサービスが行き届かずご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、心を込めてお迎えさせていただきます。どうぞ気兼ねなくご利用ください。

――――――――――

最後になりますが、今回の反響について、改めて私たちの姿勢をお伝えいたします。

私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。

私たちは、私たちのスープやサービスに価値を見出していただけるすべての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客様を大切にしていきます。

世の中の環境の変化が激しい中、社会が抱える課題もさまざまです。それらを私たちがすべて解決できるとは思っていません。でも、小さくてもできることもあるとまじめに思っています。
ひとつひとつですが、これからも「Soup for all!」の取り組みを続けていきます。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。



株式会社スープストックトーキョー一同

出典:スープストックトーキョーのHPより




サポートは株式会社スクーンジャパンおよび米国スクーン社が乳がんのNPO団体(LBBC)に寄付する資金に利用させていただきます。