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実業書よりも文学に学べ***菊池寛の「入れ札」に学ぶ経営マネジメントとチームワーク構築***


ビジネス書や実用書よりも、古典文学を読む方が経営のヒントを得やすい、とは常々考えていることだが、今回は菊池寛の「入れ札」を紹介したい。

文藝春秋・芥川賞・直木賞などを設立し、現代の文学界の基礎を作った菊池寛。その子供時代には図書館の蔵書2万冊をすべて読破してしまったという経歴の持ち主で、作家としても優れた資質を認められている。

その菊池寛の短編、「入れ札」を読んだ。

国定忠治一家が関所を逃れて信州へ向かう旅の話である。
11人の子分を連れて逃走する忠治は少人数で逃げ延びようと決意するが、
意中の3人を自分で決めると他の子分から不満が出ることを懸念して
自分から言い出すことができない。

子分たちの言い分を聞くうち、忠治は「入れ札」を思いつく。
連れて行くのにふさわしい子分の名を子分たちに書かせ
札数の多い者から3人を連れて行くことにしたのだ。
そうするこtによって、忠治は自ら選ばずに優秀な子分を選ぶことができるのだ。

子分達に異存はないが、一番古参の子分『稲荷の九郎助』は複雑だ。
一番の年頭(としがしら)で、表向きは「あにい」と立てられているものの、後輩らに追い抜かれ、親分や他の子分やたちから軽んじられているのは自分が一番知っていた。

誰が誰に投票するかはわからないが、自分は選ばれた3人の中に入るまい。この九郎助の寂しさや嫉妬、そして入れ札にどう臨んだかを軸に物語は進む

そこで九郎助はどんな行動に出たか。
ここではネタバレしないでいたいので、「入れ札」をぜひ読んでいただきたい。

この短編には、人間の欲と不安、卑しさ、悔しさ、自尊心と恥の心がうまく描かれている。

経営マネジメントやチーム構築の実用書はごまんとあるが、結局はこれらは「人」で成り立っている。人間のことがよくわからないで、経営もチームも成り立たない。

実業書からは決して学べないものが文学にはあることを、痛感させられた一冊である。この他にも以下の記事では、永世棋聖の資格保持者でしかも国民栄誉賞受賞者であるプロ将棋士、羽生善治氏の著書「結果を出し続けるために」についてその「大局観」を、最強のマーケター・戦略家である森岡毅氏の必勝メソッドと並行して考察している。


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