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ヨーロッパ文化教養講座(2002年フィンランド映画「過去のない男」アキ・カウリスマキ監督)

2024/09/09
1996年の「浮き雲」とストーリーは全く違うが、アキ・カウリスマキ監督の様式美が溢れている作品。アキ・カウリスマキ監督作品は、3作目だが、益々好きになった。
本作は、「救世軍」の活動が描かれていたので、参考になった。

「浮き雲」を観た感想を使って考察する。「浮き雲」は、ヒロインとヒーローが初めから夫婦だったが、「過去のない男」は一目惚れするという「枯れ葉」と同じ設定

○は、「過去のない男」も同じ
・暗めの映像に、フィットしたオシャレな家具や小道具->○
・カップル(ヒーロー、ヒロイン)は中年の普通のルックスの俳優->○
->「過去のない男」カップルは、互いに一目惚れする「枯れ葉」も同じ
・2人とも真面目に働いていたが、リストラされて失業者になる
->ヒロインは、救世軍の持てない女性。ヒーローは、暴漢に殴られて記憶を失った男性。
・ほとんど笑みがなく、(ぶっきらぼうとも言える)棒読みに近い、少ないセリフ->○
・ハードラックにあっても、支えあい絶望しない->もっぱら、ヒーローが極端なハードラック。でも、ヒロインと知り合ったことで前向きになる。
・暴力シーンや痛いシーンは、画角から外して観客に刺激を与えない
->珍しく、冒頭で、暴漢に殴られるシーンや血の出るシーンがある。
・最後は、真面目に働いていたことが、功を奏して、支援を受けて再出発する->2人は結ばれハッピーエンド
・追加:登場人物は、いつも酒を飲み、タバコを吸っている->○
・追加:監督が小生と同じ年だからか、音楽の趣味がとても好き
例:チャイコフスキーの「悲愴」、ブルース、ロックなどのハイビートでない曲


夜行列車でヘルシンキに着いた男が、暴漢に襲われて重傷を負い、極貧の一家に拾われて命は取り留めるが、記憶喪失に。日雇い労働をして暮らすようになった彼は、救世軍で働く女性イルマと出会い、心を通わせていく。

アキ・カウリスマキ監督作の常連ヒロイン女優カティ・オウティネンが、本作で02年カンヌ映画祭主演女優賞を受賞。フィンランドのムード歌謡=イスケルマの名曲の数々とともに、監督がファンだと公言するクレイジーケンバンドの「ハワイの夜」が挿入歌として登場。
2002年製作/97分/フィンランド

原題または英題:Mies vailla menneisyytta
配給:ユーロスペース
劇場公開日:2003年3月15日

映画.com

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