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医工学研究科ってどんなとこ?(2)

こんにちは。東北大学 サイエンス・エンジェルのさきです。
後編では、主に「医工学研究科のすごいところ」についてご紹介していきます。(前編はこちらからどうぞ!)

1.各分野の専門家による講義や実習を受けられる(医学・工学)

医工学研究科では、下記のような多種多様な講義が用意されており、生物系を学んできた学生は理工学系を、理工系を学んできた学生は生物系のことを学ぶことが出来ます。

工学系基礎科目:数学・物理学、基礎力学、流体力学、材料力学、熱力学、電磁気学、電気電子工学など
医学系基礎科目:基礎生物学、分子・遺伝生物学、生体機能科学、人体構造・機能学、病態分子解析学、基礎生化学など
医工学系科目:医用超音波工学、生体力学、生体計測制御医工学、医療情報計測学、医用画像診断工学、人工臓器・再生医療学、社会医工学、医用マイクロ・ナノ技術論

私自身は工学系の出身なので、医学部の先生方による講義にとても感動しました。知識を学ぶだけでなく、先生方の実際の体験に基づいた講義は、どれも非常に興味深いものばかりでした。先生方の中には、医学と工学の両方の博士号を持っている なんていうスーパーマンもいらっしゃいますよ。笑

あ、そうそう、医工学研究科の授業は、大学病院や医学部・歯学部などの建物がある星陵キャンパスで受けることが多いです(下記画像)。
なので、実際の医療機器に触れてみたり、医療現場を見学させていただく、なんてこともさせてもらえるんです。現場にふれる機会が多いのは、医工連携が浸透している東北大学ならではですね。
(現在は感染症対策のためオンライン講義)

大学病院

2.医療機器開発に関するさまざまな「変わった」講義がある

医工学研究科には、さまざまな「変わった」授業があります。笑
例えば「医療機器レギュラトリーサイエンス」という講義では、医療機器開発において大切な「規制」や「承認審査」について学び、医療機器開発全体の流れを知ることが出来ます。
私が授業を受けた年度では、実際に医薬品医療機器総合機構(PMDA)で仕事をされていた方が講師となり、現場経験に基づいた大変貴重な講義をしてくださいました。

また特色ある講義の一つとして「医療機器開発論」そして「医療機器開発実習」が挙げられます。
前半の「医療機器開発論」では、日本や世界で活躍する医療機器開発に従事する方々による講義を受けることができます。後半の「医療機器開発実習」では、実際の医療現場を見学しながら「医療現場のニーズ」を探し、チームで力を合わせて「ニーズに基づいた新しい医療機器の提案」を行います。さまざまな講義で得た知識をベースに、各々の得意分野を活かしながら、”ああでもないこうでもない”と議論をするこの実習は、とても刺激的です。
その他、医療機器の実用化のために欠かせない社会的・ビジネス的観点を学ぶ「医療機器ビジネス学」、他者とのコミュニケーションについて学ぶ「医工コーチング概論」という講義もあります。
これらの講義を通じて世界の現状を知るとともに、医療機器開発を成功させるためにどのような視点をもって開発に取り組む必要があるのか、ということについての考えを深めることができました。

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3. 多種多様な研究が活発に行われている

医工学研究科では、計測・診断、治療、生体機械システム、生体再生、社会医工学、生体流動システム、人工臓器、生体材料、生体システム制御、生体情報システムなどの多種多様な領域の研究が行われています。
国内唯一の専門大学院だけあって、その研究領域は多岐にわたります
臓器全てを人工臓器にしてしまおうという野心をもっている研究室、細胞膜を人工的につくろうとしている研究室、動物の動きを簡単な機構で再現するロボットをつくっている研究室、工学の力を使って生物の謎解きに挑戦している研究室などなど…
医療機器に関する研究だけではなく、さまざまなテーマの研究を行っています。きっとあなたの「知りたい」に応える分野があると思いますよ。
(私の友人も「治療に関する研究を専門的に行っているのがここだったから」という理由で、こちらに進学してきたそうです…!)

気になる研究室を見つけた方は、ぜひ研究室見学をしてみてください♪(現在は直接ではなくオンラインで研究室公開を行っているところが多いと思います)
最先端の研究に興味のある方は、ぜひ医工学研究科が発行しているニュースレターを読んでみてはいかがでしょうか?最先端の研究がわかりやすい言葉で書かれているので、楽しん読んでいただけるかと思います。

医工学研究科では、「医工学」について知りたい高校生、高専生の皆さんに向けて、実際に講義を行っている先生方による学校単位での出前授業(講師派遣、最大90分まで)を実施しています。出前授業についてはこちらをご参照ください。

医工学研究科_授業1

4.医療機器開発の新たな拠点になろうとしている活気がある

東北大学は次世代の先端医療そして医療機器開発の拠点となるべく、さまざまな面で力を入れています。そのため医工学研究科の周りにも、実際の先端医療や医療機器開発に触れる機会がたくさんあります。

例えば、医療機器開発に携わる産官学の方々による講演やシンポジウムが頻繁に開催されています(講演者は大手医療機器メーカーの方から最先端を切り拓くベンチャー企業の方までさまざま)。

また東北大学では未来型医療創造卓越大学院プログラムジャパンバイオデザインプログラムなどの特別な教育プログラムも実施しています。

ジャパンバイオデザインプログラムは、スタンフォード大学で行われている人材育成プログラムの日本版で、医療機器のイノベーションを担う人材を育成する目的で行われています。(日本では東京大学、大阪大学、そして東北大学の3箇所で実施されています)
この動画で触れられているように、現場のニーズに基づきながら事業化を想定した医療機器開発を行える人材は、日本そして世界で求められています。

実際の学生の声を聞いてみました

医工学研究科に所属する私の友人に「なぜ医工学研究科を選んだのか?」そして「医工学研究科でよかったことは?」について聞いてみました。
(ちなみに私の学年には “医工学女子” なる同期が13人いて、例年に比べて多めらしいです!笑 わいわい賑やかでとても楽しいです♪)

<なんで医工学研究科を選んだの?>
●自分が得意な ”工学” ✕ 自分が興味のある ”医療” を学べるから
●医学部の先生方による生物学や医学の講義があるから
●実習が多いのが魅力的だったから
● ”治療ができない病気” を減らしたかったから(化学が嫌いだったため医学薬学は選ばず)
<よかったことは?>
●一つの技術によって、たくさんの人を救えるところにやりがいを感じる
●工学系の勉強が好きだけど医療にも興味のある人にとってはとても良い環境。工学の研究をしながら、医学部の人しか学べないような医療やビジネスについての勉強ができる。
●実習を通して座学で学んだことを活かせたり、現場の声を生で聞けたりするのがとても有意義だった。
●医療機器メーカーの開発秘話などを通じて、業界全体のことや開発のプロセスについて学べる。
●将来医療機器メーカーで働くイメージをつかめる。

これに追加するとすれば、医工学研究科は一学年の学生数が40~50人程度なので、先生方がとても親身に関わってくださる点がとても良いと感じました。医工学研究科には「わが国で唯一の“医工連携”の研究科として、次世代の医工学そして医療機器開発を担う人材を育てたい」という熱い思いを持った先生方がたくさんいます。
アドバイスや注意点としては「定員が工学研究科より少ない」「必修科目が工学研究科よりも少し多いのでがんばってください!」とのことでした。笑

桜

「医工学研究科」に興味を持ってくださった方へ

前述の通り、医工学研究科には様々な学部の出身者がいます。一番多いのは東北大学工学部の電気情報物理工学科 バイオ・医工学コース、機械知能・航空工学科 機械・医工学コースかと思われますが、医療系学部や、医学・工学のどちらとも関連のない学部/コース、また他大学から入学する人も多いのがこの医工学研究科の特徴です。

より詳しい情報や募集要項などは、医工学研究科HPそしてパンフレットをご参照ください♪
東北大学オンラインオープンキャンパスにも、さまざまなコンテンツが用意されるそうなので、そちらもぜひ楽しみにしていてくださいね…!

長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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編集後記

今回の記事では「ここに来てよかった…!」という思いを詰め込みました。医工学に少しでも興味のある方は、ぜひぜひ「医工学」そして「医工学研究科」の扉を叩いてみてください…!(さき)

東北大学サイエンス・エンジェル
次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「理系って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。

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