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「ナッジとは?:行動経済学を活用した、行動を促す賢い"誘導"

最近、Xで何度か見かけた興味深い図表があります。「行動できないボトルネック分析」という見出しの付いたこの画像、皆さんも目にしたことがあるかもしれません。異なるポストから偶然3回連続で目に止まったので、調べて見ることにしました。
今回ご紹介する内容は、その画像の元となった三菱総合研究所の資料を解釈したものです。この資料を通じて、「ナッジ」という概念と、それを用いた社会課題解決の方法について、AIの力も借りながら理解に努めてみましたので、是非読んでみてください。

ナッジって何?

ナッジとは、人々の選択の自由を守りながら、より良い選択をしてもらうよう後押しする方法のことです。例えば:

  1. 大腸がん検診の受診率を上げるために、「検診を受けないと来年は自宅に検査キットを送れません」というメッセージを送る

  2. 電気の使用量を減らすために、近所の人たちの平均使用量と比較したグラフを見せる

  3. 看護師の残業を減らすために、日勤と夜勤でユニフォームの色を変える

これらはすべて、人々の行動を強制せずに、自然と望ましい行動を選んでもらう工夫なのです。

なぜ人は行動できないのか?

ナッジを効果的に設計するには、まず人々が望ましい行動をとれない理由を理解する必要があります。以下の図は、行動のボトルネックを分析したものです。

出所:三菱総合研究所

この図から、人々が行動できない理由は大きく3つに分類されることがわかります:

  1. 行動の必要性を感じない

  2. 行動の必要性は感じているが行動できない

  3. 行動を継続することができない

それぞれの理由には、様々な行動特性が関連しています。例えば、「行動することのメリットが感じられない」という理由には、現状維持バイアスや社会的証明といった行動特性が影響しています。

ナッジの設計ポイント

効果的なナッジを設計するには、これらの行動特性を理解し、活用することが重要です。以下の図は、ナッジの設計アプローチを示しています。

出所:三菱総合研究所

この図から、ナッジの設計には2つのアプローチがあることがわかります:

  1. ボトルネックに作用している行動特性を弱める

  2. 行動特性を利用して行動を促す

例えば、「損失回避バイアス」を利用したナッジの例として、「このままでは損をしますよ」というメッセージを使うことが挙げられます。

具体的なナッジの設計ポイントをいくつか紹介しましょう:

  1. メッセージのフレーミング: 同じ内容でも、表現の仕方で効果が変わります。 例:「〇〇すると得をします」より「〇〇しないと損をします」の方が効果的なことがあります。

  2. 視覚的デザイン: 文字だけでなく、図やイラストを使うことで理解を深めることができます。 例:省エネレポートに顔の表情マークをつけるだけで効果が上がったケースがあります。

  3. デフォルト設定の変更: 何もしなくても望ましい選択がされるようにすることで、大きな効果が得られることがあります。 例:男性職員の育休取得率を上げるために、取得しない場合にその理由を聞くようにした自治体では、取得率が大幅に上昇しました。

  4. スモールアクション: 小さな行動から始めてもらうことで、大きな変化につなげることができます。 例:予防接種の予約時に日時を入力してもらうだけで、実際に接種する人が増えました。

  5. フィードバック: 行動の結果を見える化することで、継続的な行動変容を促すことができます。 例:歩数計で毎日の歩数を確認できるようにすることで、運動習慣の定着につながります。

ナッジの活用事例

ナッジは様々な分野で活用されています:

  • 健康: がん検診の受診率向上、予防接種の促進

  • 環境: 省エネ行動の促進、ゴミの分別率向上

  • 財政: 税金の納付率向上、年金加入の促進

  • 教育: 学習継続率の向上、図書館利用の促進

  • 交通安全: シートベルト着用率の向上、速度超過の抑制

私が感じたナッジの可能性と課題

ナッジについて調べていくうちに、私はこの概念の持つ可能性と同時に、いくつかの課題も感じました。
まず、ナッジの素晴らしさは、大規模な制度変更や多額の予算を必要とせずに、人々の行動を望ましい方向に導けるという点です。例えば、健康診断の受診率を上げるためのナッジは、医療費の削減にもつながる可能性があります。また、環境に配慮した行動を促すなどは、ナッジの得意分野かなと思います。
一方で、ナッジの使い方には慎重さも必要だと感じました。人々の行動を誘導するということは、ある意味で人々の意思決定に影響を与えることになるので、高い倫理観が必要ですね。

なんとなくナッジについて理解できたところで、実際の使い方、実例なども調べてみようと思いますので、またの機会に!

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