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第9回ス茶会(SCHR会)を開催しました。今回のテーマは「ビジネスと人権に関する指導原則10周年、SCHR1周年を迎えて」

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■日時:2021年7月29日(木)午前8:15−8:45(日本時間)
■テーマ:「ビジネスと人権に関する指導原則10周年、SCHR1周年を迎えて」
■スピーカー:SCHR共同創設者 佐藤暁子、鈴木真代、土井陽子

「ス茶会」とは、お茶会のような場で気軽な雰囲気で「ビジネスと人権」についてわかりやすく語っていこう!という主旨ではじめた活動で、いわば、オンライン朝活カフェです。

今回も早朝にもかかわらず、20名近くの皆様にご参加いただきました。どうもありがとうございました!

聞き逃した方がいらっしゃったら、こちらから聞いてみてください↓

ビジネスと人権に関する指導原則10周年
〜指導原則は課題解決の「ツール」〜

●2011年以前の議論
・指導原則策定まで、多国籍企業が自国を拠点としていない生産プロセスで起こる過酷な労働、児童労働などについて、「誰が責任を取るのか?」という議論がさまざまな国やNGOで繰り返されていた

●指導原則の新規性
・2011年に国連で策定された当初、企業が事業や製品・サービスに関わる人権問題に対応していく責任が明確化された点が画期的だった

●日本企業への浸透展開
・2013年、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンで、人権分科会が立ち上がり、いち早く取り組む企業が集い、議論する場となった
・2011年に指導原則が策定された3年後、日経エコロジーが誌面で「忍び寄る人権リスク」というタイトルで、初めて日本のメジャーな経済誌が「ビジネスと人権」を特集した
・その後、日経新聞でも「企業の人権侵害、企業が関心」というタイトルでサプライチェーンの問題を取り上げるように
・つまり、日本で展開するまでに2−3年遅れていることが理解できる

●ツールとしての役割
・指導原則という「ツール」を使い、どのように権利を実現できるかがポイント。つまり、影響を与える(可能性のある)企業と影響を受ける(可能性のある)人びとが対話するための「ツール」である
・他人事ではなく、一人ひとりがライツホルダーであるため、自分が声を上げたいときに伝える「ツール」として理解する必要がある(例えば、労働者の権利をどのように行使するのか?という視点で使いこなす必要がある)

この10年で何が起きたのか?

●SCHRメンバーの経験
・土井:2012年頃から電機メーカーで指導原則の実現に関わってきた。独立した人権方針を日本で初めて作った企業だった。
・佐藤:2010年頃、弁護士になる前にカンボジアに住んでいたので、ビジネスの与える可能性と負の影響を感じ、ビジネスと人権というテーマを関心を持つきっかけになった。
・鈴木:2014-2015年頃、ラナプラザ崩壊事故の調査を担当しており、透明性のない多国籍企業のサプライチェーンに関して疑問を感じていた。

●課題解決に向けて進歩がみられる部分
・さまざまなベンチマークが開発され、企業が比較されるようになった(Corporate Human Rights Benchmark、Know the Chainが代表的)
・訴訟やOECDのNCPを活用して、被害者や支援者が声を上げ、さまざまな企業に公平なアクションを求めていく活動が増えてきた
・指導原則における「影響力」の概念について、「(川上の企業だけではなく)川下の企業もビジネスと人権に対応しなければならないのか?」という質問が多かったが、最近では「川下の企業も率先して取り組まなくてはならない」という認識に変化してきた
・ミャンマーやウイグルの問題は、長年問題提起されてきたが、より多くのメディアで取り上げられるようになったことは進歩だと言える(民主主義が実現されていない国で「ビジネスと人権」のテーマを軸に「人権」が国際社会で議論されるようになった仕組み・システムは画期的である)
・市民社会側がこれまでより踏み込めなかった問題に、NGOが踏み込めるようになってきたとも感じる

問題提起

「現状、企業に所属している人なら、指導原則を知っている人が増えてきた。その一方で、市民レベルではまだまだ浸透していない」

・多くの企業が「人権方針は作ったものの、次はどうしよう」という試行錯誤の状況であることから、まずは、「サプライチェーンにおける人権侵害の予防」の観点で社員一人ひとりの意識の変化の必要性を感じる
・人権への取り組みを進める企業は増えているが「何のために人権DDを実施するのか」という理由が正しく伝わっていないこともある
・人権に関しては、国と国の話というよりは、一つひとつの事象を個別に注目して解決していく必要がある。「人権は政治的な話』と線引きをせず、企業として市民社会の動きも捉えながら、自社の取り組みを検討する必要がある

SCHRとしてできること〜今後の活動〜

●1年間の振返り
・ビジネスと人権をテーマにしたnote記事発信:60件
・SCHR会(オンライン朝活セミナー):計9回
・企業の担当者とのダイアローグ:計3社
・人権活動家、気候変動/環境活動家とのダイアローグ:積極的に実施中
・企業へのアドバイザリー業務(人権に関するe-learining, ESG案件):計2社

●今後の活動
・SCHRとしては、ライツホルダーの伝えにくい声を伝えやすくしていきたいので、指導原則を一人ひとりがツールとして活用できるのかを考え続けたい
・そのために、映画・本などカルチャー関連の身近なテーマを取り上げ、ビジネスと人権の概念に関する理解促進を続けたい
・サプライチェーン全体の情報に関する調査や分析は得意な人たちがいるが、「人権そのものの概念」「対話(ダイアローグ)の重要性」を伝えていきたい
・人権DDはライツホルダーの権利を尊重することが目的であるにもかかわらず、企業が責任を回避するために人権DDを実施するような状況が生まれないように、本来の目的を浸透していきたい
・ESG投資の観点からも多国籍企業に対してbeyond complianceという感覚が求められる時代であり、日本企業も競争力をつけていかなくてはならないが、「(人権への取り組みを)どこまでやればいいの?」という質問が後を絶たない。SCHRとしては、思っているよりも先のレベルまでやってほしい
・ビジネスと人権に取り組む人たち相互のエンパワメント、学び合いのコミュニティ作りをしていきたい

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次回は、日本時間9月9日(木)8:15-8:45に開催予定です。テーマは決まり次第、ご案内します!

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引き続き、次回も、みなさまのお越しをお待ちしております!

Social Connection for Human Rights/ 鈴木 真代

Social Connection for Human Rights(SCHR)
〜Bridge All for Responsible Business〜

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