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公立小学校での対話を通した学校づくり〜先生同士が”聴き合う”対話〜

こんにちは、cokowillです。
すっかり夏本番!な毎日になりましたね。みなさんはいかがお過ごしですか?

今日のnoteは、”聴く”を大事にする対話ワークショップを千代田区の小学校で行なったので、その一部をみなさんとシェアできたらと思い、書いています。

「”対話”は大事だけれど、対話って一体なんだろう」
「対話をしているつもりだけど、議論になってしまうのはなんでだろう」
「学校づくりは教員全員で考えるのは大事だと思うけれど、始め方がわからないな」

と思っている先生はぜひ最後まで読んでみてください。

【取り組みの背景】子どもたちも先生も学び合う学校へ

ご一緒させていただいている千代田区の小学校は「子どもたちの学び合い」に長年取り組まれてきた学校です。
今年度は、研究授業での重点項目の一つになっている「対話」を先生がたも取り組み、深めていくことになりました。

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年間5回ご一緒させていただく中で「子どもたちも先生も学び合う学校」の土台として、対話が日常の中に織り込まれる光景を私たちも一緒に創っていけるように、頭と心と体の全てをつかった対話の体験を積み重ねていきたいと思います。

【実施に向けた工夫】校内で先生方が対話の時間を確保するためのヒント

学校へお邪魔して先生方とご一緒するワークショップをさせいただく度に、先生全員が集まる時間をつくりだすこと自体が本当に難しいことなのだ、と感じています。
一方で学校・学年・学級の運営について、先生方が『対話をして全体で共通の上位目標や目的の共有をしながら進めるようになりたい』と考えているみなさんが多いことも感じています。

今回のnoteでご紹介している千代田区の小学校は昨年から取り組みが始まりました。
初回は、会議形式で行われる予定だった研究発表会の振り返りを対話を中心としたワークショップとして行うことからスタートしました。

「学校で対話の機会をつくりたい」
「今までとは違う形で一緒に考えられる場を設けたい」

このように思われている先生は、いつもの会議の一枠などを使って、会議とは異なる対話を中心とした進め方を試してみることから、検討いただくとよいかもしれません。

【小学校での取り組み】”聴く”を大事にした対話の場(NVC/非暴力コミュニケーションの体験)

対話の場を設けるにあたり、どのようなテーマで話をしたいかを事前に伺いました。
「先生同士の学び合いはしたいけれど、そのための時間を確保するにはどうしたらいいか?について話せるといいよね」というお話から「先生方の学び合いに向けた時間づくり」というテーマで対話を行なうことにしました。

2時間弱のワークショップには、ほぼ全員に近い23名の先生方が参加。
対話のグループは学年を超えた混合のグループで実施しました。

対話というと、話すほうに意識が向いて、つい「どう話すか?」「どう伝えるか?」を考えやすいのではないでしょうか?
話し方に意識をもつことはとても大事なことです。

さらに対話を良いものにしていくには、聞き手の「聴き方」がとても大切で、話し手が安心して話せる環境づくりには大きな影響を与えています。

普段の会話では、図にある「できごと」と書かれている”語られた内容”に意識のほとんどを向けながら会話していることが多いのではないかと思います。
すぐに解決策を提示したり、相手の意見に対して判断をしたり、自分の意見を伝えるためにこのような聞き方をしていることがほとんどです。

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このような普段の会話は、誰かと何かを行う上で効率的であるために私たちは普段のコミュニケーションとして身につけてきました。
その一方で、このコミュニケーションによって誰かとの会話が堂々巡りになっていたり、人や組織の間で同じ問題が繰り返されたりなどしていないでしょうか?

「対話」という言葉は新学習指導要領にも盛り込まれています。
未来を創り出すための重要なコミュニケーションとして全ての人ができることが大事だというメッセージだと受け取っています。

そこで、今回は対話をする際に、普段とは異なる”聴く”を意識して体験することにしました。
図で書かれている「見えない」ところに意識を向けて”聴く”を実践することで
・いつもの会話とは何が違うだろう?
・何がおこるのだろう?
・話し手のどんな体験につながるだろう?
と、振り返りを行いました。

この体験をサポートしてくれるのがNVC/非暴力コミュニケーションです。

NVC(Nonviolent Communication)とは?
非暴力コミュニケーション。
1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱された、コミュニケーションの手法。
共感的コミュニケーションとも呼ばれる。
・人と人とが、心の奥から分かり合うためのコミュニケーション
(書籍『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』を参考にcokowillが作成)

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ワークショップではグループに別れて、「先生同士の学び合いの時間をつくろう」と思った時に、時間の確保においてどのようなことに困っているのか?を話し手が語るところからスタート。

聞き手は、その奥にある想いや何を大事にしたいと思っているから今の状況を変えたいと思っているのか?などを丁寧に聴いていきました。

氷山の聴き方の図にある「大事にしていること」がNVCのワークによって明らかになることで
「今の状況をどのように感じているのか?」
「どのような想いや願いをもっているのか?」

をお互いが知り合う時間となりました。

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グループワークの後には、お互いの「大事にしていること」をグループを超えて全員が眺めることができるようにホワイトボードに貼り出して全体で共有しました。
前へ貼りに来た先生同士で自然と共有がなされ、初めて知った大事にしたいことや共通でもっている大事にしたいことについて、ホワイトボードの前で更なる対話が生まれていました。

ワークを終えたあとのリフレクションでは、ご自身についての気づき、先生方への気づき、子どもについての気づきなどが先生方から寄せられました。その一部をご紹介します。

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・普段の会話は速さや効率性を求めていたこと、何より自分が言いたいことだけを言っていることに気づいた
・対話の時間は、何を言っても大丈夫、聴いてもらえているという安心感があった
・普段は感情を意識していないけど、改めて感情を意識する大切さを感じた
・普段の会話はとても無意識に話していることに気づいた。今回はすごく意識的に聴いていた。そのおかげで聴いてもらった満足感があった
・​​日常の会話とは違う“聴く”を意識した対話の意味やその良さを体感したことで、“よく聴こう”“最後まで聴こう”という気持ちになれた

ワークショップのあとに

ワークショップが終わってすぐに「先生たちも悩みながら学び合っているんだよ」ということをオープンにしようという声があがったそうです。先生方の気づきが書かれた模造紙を子どもたちの目に触れる廊下に貼り出そうということになり、貼り出されました。
翌日、子どもたちから「これなに?」と尋ねられるなど、先生と子どもとの間に学び合いの種も生まれているということでした。
これから学校での「学び合い」がどのように変化していくのか、私たちも楽しみです。

和泉小掲示 (1)

対話を通した学校づくりをご一緒しませんか

私たちは研修として対話の手法をインプットする形式ではなく、学校活動の中にあるテーマを先生方が「対話」する場づくりをご一緒させていただいています。
特別な技法としての対話ではなく、日常に織り込まれたコミュニケーションとなるようみなさんと一緒に場づくりを行わせていただきます。

過去の事例では、
・学校改革プロジェクト(働き方、校則の改訂など複数のプロジェクト)を始めるにあたってのチームづくり、ビジョンづくり
・年度の振り返りと今後の取り組みづくり
・学校評価の振り返りを活かした教員全員での学校方針づくり
などをテーマとした、場づくりをさせていただきました。

今回ご紹介させていただいた学校のように、先生みなさんでの対話の場を通じた学校づくりをされたい学校がいらっしゃれば、cokowillまでお問い合わせください。

▼お問い合わせ受付フォームはこちら
https://forms.gle/n5iU1rVaEA6ENpcf7

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