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統合失調症関連作品感想文集 当事者の著作を中心に

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統合失調症関連作品の感想文を書いています。当事者の著作が中心です。たまに当事者以外も。 感想を書きたいものはたくさんあるので、ゆっくりですが更新していけたらと思っています。
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#コミックエッセイ

「統合失調症になった話(※理解ある彼君はいません)―推しと福祉に救われて社会復帰するまでの劇的1400日―」ズミクニ著 を読んで

感想文集ー統合失調症をもつ人の著作を中心にー no.14 統合失調症で措置入院となり職も失ったズミクニさんご自身による実録漫画。 山あり谷ありの道のりが軽快なタッチで描かれた、力強い作品です。 本書を貫く大きな流れは、発症から治療、福祉の利用を経て再就職活動に至る経過です。 併行して、折々の出来事が数々の4コマ漫画となって添えられています。 川の流れとともに岸辺の風景を細やかに描くようなこの構成のおかげで、とても読みやすくなっています。 ズミクニさんは家族親戚に頼らない

「わたし中学生から統合失調症やってます。―水色ともちゃんのつれづれ日記―」 ともよ著 を読んで

感想文集ー統合失調症をもつ人の著作を中心にー no.12 2018年に発行された本書は、統合失調症をもつ作者によるコミックエッセイです。 読むたびに私が感じるのは、こんなに人に説明しにくい、伝わりにくいあれこれが ”水色ともちゃん” の登場によって伝わってくるのはなぜだろう?という驚きです。 はじめに、明らかな発症に至るまでの日々が描かれます。 孤立して不安や焦りのなか無理を重ねてゆくこの時期の切迫感は、家族にもなかなか分かってもらえない。 その頃の短いエピソードがいくつ

「今日もテレビは私の噂話ばかりだし、空には不気味な赤い星が浮かんでる~統合失調症の私から世界はこう見えた~」 Himaco 著 を読んで

感想文集―統合失調症をもつ人の著作を中心にー no.11 学校図書室に置いてほしいなあ。 中高生に読んでほしい。 実はHimacoさんの前作からそう思っていました。本作を読んでさらにそう思いました。 統合失調症は100余人に1人、中学校なら1学年に1人がいつかは発症する、多い疾患です。発症のピークは10代後半から20代にあります。 若い作者が統合失調症との暮らしを描き、苦悩を経て生の肯定を伝えるこの本を、生徒たちや周囲の方々に読んでもらいたい。 もしやがて発症したならば、