番外編「艦隊これくしょん-艦これ-」の問題点といくつかの気付き。2024年のモダン・タイムス

この記事を投稿した後、もしかしたらボクのDMMのアカウントが消える可能性はありますが、長年遊ばせてもらっているからこそ、少しだけ言いたいこともあるので投稿します。
今回の記事に関しては全編無料です。
ゲームにマジになってどうするの、なんて言う冷めた物言いは出来ません。
ゲームにすらマジになれないつまらない人間ではいたくない、そういうワガママなテキストです。

「艦隊これくしょん」におけるメインコンテンツは、もはや年に3~4回開催のイベント海域に集約されています。
自分の自身の参加履歴ですが、2013年夏イベントからとなります。その初めてのイベント海域は終了時間ギリギリまで粘ってゲージが割れず、大和の獲得に至らなかったと言う非常に苦い思い出で終わりました。
そこから始まり、これまでに甲勲章を都合3度も撮り逃している木端、雑魚プレイヤーです。
まぁつまりは負け犬の遠吠えの記事と言われればそれまでなのですが。

2013年にサービスインしたブラウザゲーム「艦隊これくしょん」ですが、すでにサービス開始から10年以上が経過し、その間に様々な人が様々な形でファン活動をし、批評し、ときに罵詈雑言のような物を残してきたわけで。
これまで自分もSNSなどで「人外魔境」「クソ仕様が!」などとそれなりに汚い言葉も使ってきたことは認めますが、明確な運営批判やこき下ろしなどは投稿しないようにしてきました。と言うか、今もするつもりはありません。そこまでの強い感情は持ち合わせてもおりません。
ですが、物事には限度と言うものがあることは、大人ですから理解はしています。
有り体に言うと「ちょっとイラっとしました」。
だからこそ、できる限り冷静になって今回は記述させてもらいます。

さて。
今更ではありますが、このゲームはサービス当初から開発・運営側の人達は明言こそしていませんが、どこか「理不尽さや高難易度を楽しんで欲しい」と言う空気感を各所で臭わせています。
自分も高難易度のゲームはそれなりに遊んできました。
学生の時分には、CAVEさんの怒首領蜂大往生やサクセスさんのサイヴァリアで青春をSTGで塗り潰したことは過去の記事でお分かり頂けるでしょうし、RPGで言えばスクウェア・エニックスさんのSaGaシリーズは今も楽しんでいます。フロム・ソフトウェアさんのいくつかのゲームも苦しみながらプレイしています。
ですので、人並みかそれ以上にゲームをしていて「苦しい」と言う瞬間とそこを超えた時のカタルシスは理解しているつもりです。
艦隊これくしょんは基本的に「苦しい」が長いゲームです。
だからこそ乗り越えた時はカタルシスが非常に大きいと言えます。
ですが、「苦しい」にも質があります。
STGやアクションゲームにおける「苦しい」の大部分はプレイヤーの腕前や知識に起因します。
RPGにおける「苦しい」は発想と発見、知識が理由でしょう。
格闘ゲームであれば、これらに加え経験、人間力などが加わるでしょうか。ようするに、おおよそのゲームにおいて「苦しい」部分と言うのはユーザー側に原因があるわけです。

では、本作「艦隊これくしょん」で得られる「苦しい」は果たしてユーザー側の要因はどれだけあるのでしょうか?
基本的にプレイヤーが艦隊や艦娘たちにできることは「レベリング・装備の用意・運用資源の確保・整備体制」と言ったあたりでしょうか。
ですが、不利な状況、事故などを想定し、万全の準備を行い、机上でシミュレーションしたとしても、戦略通りに海域攻略が出来ないのが現実です。
長年プレイしている人らは、究極的に本作は「運」と「根気」の勝負になってくる、と言うことは承知しているでしょう。特にイベント海域は。
その、運とか根気と言うのはユーザー側に起因する、あるいはコントロール可能な物なのでしょうか?
多少であれば、耐えられるでしょうし、楽しめるでしょう。特にTRPGなどを嗜んでいれば。具体的にはCoCで神話生物と対峙した時の緊張感はなかなかに得難いものです。
ですが、近所の草むしりやトイレ掃除や墓参りで善行を積む、お祓いやパワースポットを訪れるなどは本当に効果があるのかは分かりかねます。
結局のところ、平清盛ですらサイコロの目は意のままに出来ないとボヤいたわけですから。

このゲームの一つの構造的な欠陥として「一度取り逃がすと二度と挽回できない要素」が非常に重くのしかかります。
すなわち。
イベント海域での高難易度で獲得できる装備がないと、次回以降のイベント海域で上を目指そうにも足切りを喰らう」と言うことです。
たしかに任務や小イベントなどで優秀な装備も最近が多少手に入るようになりました。東海(九◯一空)銀河(熟練)。少し前には幻と言われた震電改すら配布されたのですから、多くのユーザーは喜びました。
では試製 陣風は?
一式戦 隼II型(64戦隊)は?
Corsair Mk.II(Ace)は?
陸軍歩兵部隊+チハ改は?
XF5Uは?
……無いと致命的な装備が非常に多いのです。
いわゆる「持ち物検査」と呼ばれるものですが、本作においてはそうした足切り要素があまりにも多く、結果として新規ユーザーを中心に既存のプレイヤーまでも上位難易度への挑戦が阻まれています。ほかでなにか代用できる、あるいは何かを犠牲に劣化装備で対応するにも限度があります。
制空値を無理矢理上げたら、今度は索敵が足りない。
索敵装備を乗せたら道中の対潜が出来ずに被弾する。
ならばダメコンを乗せたら今度は攻撃力が足りない。
持ち物役、補助役を作ってデコイにしたら、攻略ルートを遠回りする。
結果として、こうした高難易度で獲得出来た装備がなければ、次の高難易度への参加権すら得られない負のスパイラルが常態化している、と言うのが実情です。
成長したくても出来ない。
自分の艦隊が強くなった実感を得にくい。
なぜこうなっているのか。
一つには高難易度の設定が一部のトップユーザーを基準にレベルデザインされているから、とも言われていますが、あくまでも憶測レベルなので、ひとまずこの問題はここで切り上げます。

次に「ゲーム運営側の都合」の話です。
多くのソーシャルゲーム、ブラウザゲームには課金要素があります。
いわゆる「ガチャ」(バンダイナムコさんの場合は「ガシャ」)、「スキン」などゲームによって課金手段は様々です。
艦これの課金要素と言えば「ホーム画面のための家具」「保有枠、製造枠の拡張」などがメインであり、艦隊運用のための資源なども可能ですが、あくまでもオマケ程度として運営側もユーザー側も認識しているでしょう。
ユーザー数が非常に多いのであれば、基本的に「一人から五万円課金して貰う」よりも「百人から五百円課金して貰う」の方が有利でしょう。
しかしながら、サービス開始から10年以上が経過し、最も加熱し、ユーザー数の多かった時期と比較し、ずいぶんと人の数は減りました。具体的にどれだけの人が減ったのかは皆目分かりませんが、全盛期と言われたであろう2015年頃と比較すれば半分か、それ以下まで減っているのは見て取れます。
要するに「どうやってユーザーからお金を貰うのか」と言う商売の部分がここに来て首を締めている、と言うことです。
もっとも、ゲーム以外の部分……例えばキャラクター版権であったり、リアルイベントでのグッズの売上であったりと言った部分で十二分にマネタイズ出来ているのであれば良いのですが……
しかし、本体のゲームで赤字を垂れ流して運営し続けると言うのは基本的に健全な組織経営とは言えないでしょう。
その流れの中で2020年頃からでしょうか「百人から五百円」ではなく「一人から五万円」にシフトしているように見受けられるような部分が増えてきたわけです。
この流れの一つが「補強増設」にあると個人的には考えます。

補強増設」とは、艦娘に穴を開けて装備スロットを増やす、という訳ですが、実装当初はあくまでも補助的な要素であって強いて言うならロスト対策のダメコンを乗せる、程度だったわけです。
課金アイテムですが、時折イベントなどで配ることもあります。
しかし、段々とこの補強増設がなければ運用に支障を来たすような艦娘たちが増えてきました。
決定的だったのはおそらく最上改二の実装辺りでしょう。
それ以前にも速吸を高速化した上で洋上補給×2を要求されたことや、摩耶改二の実装など、その時限定の運用であるとか、秋月型がありきでの代替としての運用と見れば、かろうじて問題とは言えませんが、最上改二の実装以降は補強増設前提で多くの艦娘がデザインされているのが見て取れます。
大和型改二はその最たる例でしょう。
穴を開けなければ艦娘にあらず」と言う呪詛のような物に感じられます。
個人的には年々こうした課金圧が上がって来ている部分の一端と言えます。
その結果「強いて言うなら」ではなく「必須条件として穴開けて、女神積んで進軍せよ」とイベント海域の高難易度を招くことになったと言えるでしょう。
「増設補強」の値段は500円。
「ダメコン」の値段は200円。
「ダメコン女神」の値段は900円。
100連ガチャ回して爆死、などと言う話に比べれば可愛らしい金額ですが、1出撃に毎度毎度ダメコンや女神を消耗させられる、と言うのはアーケードゲームも遊んでいる自分としてはずいぶんと割高に思えます。

以前、運営スタッフはユーザーの中で流行っていた艦娘の装備例に「美しさ」と言う言葉で否定的にコメントしたことがあります。
醜美の価値観や捉え方に個人差はあれど、果たして次々と艦隊が大破、轟沈させられ、ゾンビのように蘇っては進軍している現在の艦これに「美しさ」はあるのでしょうか? そもそも美麗なイラストに穴を開けて傷付けるUIデザインは「美しい」のでしょうか。
海域攻略という目的のために「醜美」なんて価値観を入れるな、と言うのであれば、V2ロケットや核兵器、特攻兵器を否定し続ける倫理観を持ち続ける意味はなんでしょうか。人間ではない化け物を根絶、絶滅させるのに手段を選んでいる理由はなんなのでしょうか。

マネタイズ、と言う意味では例えば基地航空隊の熟練度上昇アイテムや、機種転換時間の短縮(あるいは瞬間的に完了させる)アイテムと言った物の販売は一つのカンフル剤になりうると思えるのですが、どうにもそういう便利なアイテムが出る気配もなさそうです。拾ったばかりのレベル1の艦娘や潜水艦の子たちをイベント海域に生贄のように放り込みチマチマと熟練度を上げるのがまだしばらく続くのでしょう。
他にも資源の上限が現在35万ですから、その上限を上げるアイテムとか、それなりに需要はあるのではないかなとも思います。

そして、これは最もクリティカルな内容かと思われるのですが、こうしたユーザーからの意見や要望、批評などをどうにも開発・運営側が汲み取る気配が見えないことが最大の問題なのかもしれません。
昨今のネットゲーム、ソーシャルゲーム、ブラウザゲーム全般がそうなのですが、多かれ少なかれユーザー側からの意見や要望に対し何らかの対策や変更、修正、アップデートなどをするのが基本と言えます。
生放送であるとか、SNSで意見を募るだとか、アンケートを書いて貰うなどやり方は様々ですし、反映や実装タイミングが遅くなることなども往々にしてあるわけですが、ほとんどの場合ユーザーの意見を汲む姿勢は見せます。
しかしながら、どうにも艦これに関しては開発や運営のそうした動きや発言はあまり見受けられないのが実情。
過去に一度だけHTML化に際して大規模なアンケートは開催されましたが、それもすでに6年前の出来事です。
もしかしたらリアルイベントの会場などでなんらかの発表なりコメントがなされているのかもしれませんが、少なくともそういったイベントは、当初からリアルタイムでの配信などは一切行われていないため、自分のようなリアルイベントへの参加経験のない人間からすれば「見えない」が答えとなります。
他のゲームとは違うんだ」「嫌なら難易度下げろ」「そもそもゲームやめろ」と言う言葉がそろそろ聞こえそうではありますが、それでは先鋭化、過激化したカルト宗教や学生運動と何も変わらない。プレイヤーの成長や背伸び、挑戦の否定は人を家畜や奴隷にする。インドのカースト制と同じ。
好き好んで蟹工船に乗ったのではなく、蟹工船になりつつあるゲームをなんとか普通に楽しみたいと言うワガママの話です。
わざわざこういう事を断りとして書かざるを得ないのは、ユーザーの間でもイエスマンだけが許されるクラスタになっているのではないか、と言う危惧があるわけです。現代の「つながっている」「仲間内」「結びつき」と言うソーシャルネットワーク的思考やコミュニティ思想はそれほどまでに恐怖を予感させます。

ゲームにおいて「苦しい」と感じる時間があまりにも長く続くと、次第にそのストレスの行き場を見失う、と言うことはしばしば起こります。
物に当たる人もいるでしょう。
周囲の人にぶつける人もいるでしょう。
あるいは悪態として口に出す、創作にぶつける。
食事、睡眠、セックス……風呂や散歩、運動するなんて人もいるかもしれません。
けれど、ゲームで生まれたストレスは、同じゲームでしか解消されない
長年ゲーマーをやってきた持論ではありますが、いずれの方法も結局代替に過ぎず、本質的に解決することはないのです。このテキストも結局はそういう代替と言えばその通りでしょう。
同意して欲しいわけでも、慰めて欲しいわけでもないのです。
ただ、どうにかしたい。
ただ、どうにかして欲しい。
一ユーザーとして、一人のクリエイター、文章屋として、できる方法としてこうやって吠えた次第です。

できる限り冷静に記述したつもりですが、一部過激な言い回しになっていたかと思われます。その点は申し訳ありませんでした。
しかし、これでボクのアカウントが本当に消えた場合、本格的に開発・運営側はユーザーにイエスマン以外の存在を認めない組織なのだと言う証明にもなると思います。
艦娘さんたちは好きです。レキシントンも頑張って獲得しました。
けれど、艦娘さんたちを嫌いになるようなゲーム性は、嫌いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?