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日本の「怖い話」を英語で語ろう!【#11:「本当は怖い盆踊りの由来」をギリシア人に英語で説明した話】

久しぶりに「日本のホラーな話を海外の人に広めよう」な活動についてです。

今回は英語圏の人ではありませんが、ギリシア語の勉強の為に交流しているギリシアの方から、「盆踊りってなに?」という嬉しい質問が寄せられた話です

先に申し上げておきたいのですが、そもそも私、「日本のホラーな文化を守りたい」人間として、「どんなに都会化・ハイテク化が進んでも盆踊りの伝統だけは守り抜こう」を持論としている人。

イベントの出し物としてで構わないのです。形だけでよいのです。もし盆踊りすらも無くなったら、その時、本当に日本からは神も妖怪もオバケも絶滅する。盆踊りだけは残さねば本当に日本のオバケ文化はヤバイ!という意識で、今年も地元の盆踊り大会には、張り切って参加してきましたよー。

・・・という前提がある為、ギリシアの方に「盆踊り」を説明するこの機会には、燃えました。かなり推敲を繰り返して送った英文が、以下となります。

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"Bon-Odori", which means a dance of 'Obon', is a traditional folkdance in Japan. It usually takes place in summer festivals.

「盆踊りは、お盆の時期に行われる伝統的な大衆の踊りです。それは一般には夏のお祭りの時に催されます」

In Japanese traditional beliefs, during the Obon-days (about three consecutive days including August 15th), the spirits of our ancestors come back to our town.

日本の伝統的な信仰では、お盆シーズン(だいたい8/15を含んだ三日間程度)には、先祖の霊が街に帰ってくるとされています。

Thus, during these three days, we set an altar at home, and bring tea and snacks to the altar as if our invisible ancestors are gathering around the altar as our guests.

そこでこの三日間、私たちは家に仏壇を築き、お菓子やお茶を、あたかも目に見えないゲストが仏壇の周りにいるかのように、振舞うのです。

The traditional meaning of "Bon-odori" is ‘dance with the invisible ancestors'.

「盆踊り」の本来の意味は、このような先祖の霊たちと踊るもの、となります。

While we dance, our ancestors are also participating in the circle of the dance even if they can not be seen. (However, we believe that we can sometimes see people who have passed away in a circle of the dance. That is why a lot of Japanese ghost stories and horror films are set in "Obon" season.)

盆踊りの最中、先祖の霊たちもその会場にいて、私たちと一緒に楽しんでいる、と信仰されています(時には実際に踊りの輪の中に霊が見えることもある、とされています。これが、日本の幽霊話やホラー映画がしばしばお盆の時期を舞台にしている理由です)。

Sadly, such traditional meanings of "Obon" and "Bon-odori" have been forgotten in our urban life. These days "Bon-odori" is often used just as a party dance...however, if we visit a rural area, we can see the traditional way of "Bon-odori" in a sacred atmosphere!

悲しいことに、このような本来の意味での「盆踊り」は都会の生活では形骸化しています。ただし、今でも、田舎を訪れれば、このような伝統的な雰囲気を残した盆踊りに出会うことは可能でしょう。

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いかがでしょうか?専門の民俗学研究家から見れば甘いところのある考えかもしれませんが、私としては「お盆」をこのように考え、海外の人たちにも説明し、かつ、日本の今後にも継承していきたいと考えています。

神やら妖怪やらオバケやらは、たしかに迷信の産物にすぎないかもしれません。だからといって彼らを絶滅させてしまえば、それはそれで自然環境破壊級のダメージを結局は僕らにもたらすことになるのではないでしょうか

そう思って、私は今年も、オバケの保護に走り回るのです。たまに猛獣級の怖い奴に出会う危険があるとしても、です。

それに、こういう自文化に関する雑学を海外の方とお話できる機会が得られる現代は、とても楽しい時代なわけですから!燃えますねー。

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