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嫌われるその先。

僕は老人ホームで働いている

今日は、
お気持ち面に障害のある入居者さんへの
対応について。

正解なんて僕はないと思っていて、
賛否両論あるかと思いますが、
目的はその方の穏やかな生活なので…

『あぁ、あなたはそんな風にその方のことを
想ったのね』
と、眺めていただければ。




その方は、
入居面談から僕が行った方で、
かれこれ3年以上のお付き合いになる。

面談はご自宅で行い、
その時はご家族も来てくださったので
ご家族さんとの関係性も良好で
本人様ご家族様とも、
僕のことを信用してくださっている
(と思っている)。


ご入居前からお気持ち面に課題があり、
うつ傾向との診断も受けたことがあった。






1ヶ月位前からだろうか。

その傾向がまた出てきてしまったようで、
何をするにも倦怠感が出て、活動量が激減。

それまでは食事もリビングでとってくれていたし
アクティビティにも参加してくださっていた。

けれども、ここ最近は食事はお部屋、
アクティビティには参加しないことが続いていた。




さて、こういう時、
僕は薬を飲む、ということも
1つの方法だと思っている。

もちろん薬はなるべく飲まず、
声かけ、気配り心配りで改善を試みる、
これも1つの方法。


目的は、その方が穏やかに暮らせること。
その目標のために、
できることやれることを考える。


その方は以前、
うつ傾向と診断されたときに飲んだ薬で、
ほぼ昏睡状態となられたことがあったそうで。

何がどうなって、
そのような状態になってしまったのか、
原因はわからなかったようで。

その時のことがどうしても気になり、
どれだけ気持ちが滅入ってしまっても、
『薬は飲みたくない』
という考えになっていた。

そりゃそうです。
『またそうなったらどうしよう?』
『そのまま起きれなかったらどうしよう?』

怖い。当然です。


なので今回は当然、
薬以外の方法で考えていた。


でもその方からすると
効果がありそうな、内服という方法を取れない
そんな自分自身を責めておられた。

『薬が飲めたらいいんやけど…』
と言いながら
でもやっぱり怖い。
でも落ち込みが強くて動く気にならない。

負のループだった。




そんな中、
職員さんにお願いして、
一緒に毎日フロアを一周回ってもらう。
という業務を組み込もう、と考えた。

歩く力が減ってしまうというのもあるけども、
ずっと自室内に閉じこもりっぱなしはダメだ。
一歩でも部屋の外に出てしまえば。
それがきっかけになれば…と。


勝手に援助を増やしたり減らしたり
するわけにはいかないので、
その方にご意見を聞きにいくと、


「もういい!」
「そんなことされたら…今でさえしんどいのに…」
「断るのんにまた気を遣うから、そんなことせんといて…」

と、一蹴。


逆にスイッチ入る。


『ダメです。もういいことないんです。
僕にはあなたのこれから先を支えさせてもらう
責任があるので。

歩かんかったら足が衰えます。
何より外に出てこれんくなる。

嫌がられるかもしれませんけど、
僕の勝手でその援助は入れます。』

と、その援助はいれさせてもらうことにした。

#何のために意見を聞きに行ったのやら
#結局勝手に援助入れるんかい




その援助を入れて、
一週間ぐらいだろうか。

僕は
『怒ってるかなぁ…』
『嫌われちゃったかなぁ…』と、
声をかけづらくなってしまっていたので、

とおーくから、
『おお…歩いとる歩いとる…』と、
盗み見ていた。

すると今日、
お一人でフロアにその方が立っている。

慌てて近づき、
『大丈夫です?一人?職員さんは???』
と聞くと、



「さっき声かけに来てくれはって、
その分はもう歩いたのよ。今は一人で二週目。」
「あなただからこそだわ。
私のことを思って、というのが伝わりました。
ありがとう。」
と、にっこり。





何だよもー。
大成功じゃないかよー。



ええ、
もちろん想定内ですよ。
まさかそんな、
僕の思っていた通りです。

やはりね、
身を切る覚悟で提案しないとね。
わかってくれると思ってたんですよ。

嫌われるぐらいの提案の先にね、
ええ。

信用してもらっていれば、
想いは伝わるんですよ。
ええ。


……


良いケアマネの皆さんは
勝手に援助入れちゃダメですよ。





今日はここまで!





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