洗濯機の気持ち

僕は老人ホームで働いている。

今日はホームは直接関係なくて、
最近買った水木しげる妖怪図鑑を読んでの感想。

もっと読まないといけない本があるのに、
読み進めてるのが妖怪図鑑。
#誘惑に弱い




そんなに詳しいわけじゃないけども、
僕は妖怪とかモンスターとかが好き。




物事が生まれる時、なんでもそうだけど
妖怪にも生まれた経緯みたいなものがあるはずで。

それはおそらく、
例えば闇を見て恐怖を感じた人間の
想像力だと思う。




想像力はすごい。
その想像が行動を後押ししたり、
先導したりする。


こうなりたい、と想像して
そうなるように、行動する。


想像力がなければ、
物事は生まれていかない。




…なんかすごい深いことを書き出しそうな
前置きだったけども、
僕が想像したのは洗濯機の気持ち。






たんころりん、という
柿の木の妖怪がいる。

柿の木になった柿の実を、
取らずにそのままにしておくと
柿の木が大入道に化けて歩き回る。

歩き回りながら実を落とし、
タネを広めていく。

【柿の木からしたら
種を運んでもらうために実をつけているのに、
誰もとらなかったら妖怪にでもなって
ばら撒きたい気持ちもわかる。】
と書いてある。

こういう表現が大好きで。





【人の気持ちになる。】


もちろん自分の意見を殺してまで
相手に同調するべきではないけど、
相手のことを考えるのは自然。

それを人じゃなく、
モノ相手にも考えていく。

僕は老人ホームで働いているんだけども、
洗濯機の気持ちとかによくなる。

施設で出た洗濯物は基本施設で洗濯する。
全部で9台の全自動洗濯機があるが、
だいたいどれか一つが故障している。

9台あるていで洗濯物を回しているので
一台ないと、洗濯業務の時間が大幅に狂ってくる。

洗濯機がないことに
イライラすることがよくあったんだけども、

そこでふと、
洗濯機の気持ちを考えてみると…

『いやいやいや、なんか壊れてる僕が悪いみたいな雰囲気出してくれてますけど、

こっちからしたらあんたたちのほうが悪いですからね。

こちとら、家庭用ですから！

どこの一般家庭に一日に3回も4回も毎日毎日洗濯機回す家庭がありますか？

こっちの想定以上に働かせといて壊れたらこっちのせいですか？！

とんだブラック企業だよ！詐欺じゃないか！

そっちがその気なら…こっちにだって考えがある…』

こんなふうに考えているんじゃないだろうか。

こんな想いを持った洗濯機が、
おそらく夜な夜な夜勤者を取り込み
ぐるぐる回転させて食べてしまう妖怪を
生み出したのではないだろうか…！
#いやおらんけどな

…たしかに。
洗濯機くん、悪かった。
#でも使うけどな

相手の気持ちになって考える。

その想像力が有れば、

争いを生むことなんてないし、
逆に妖怪を産むことだってできるのだ。


想像（創造）力って、
素晴らしい。