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渋谷の美容室で脱炭素⁉ スペイン坂の人気美容室「NORA」が脱炭素を発信する理由とは

地球温暖化の原因である二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」に向けて、近年さまざまな取り組みが生まれています。企業向けに脱炭素化プラットフォームを提供する「ゼロボード」と渋谷のスペイン坂や鎌倉で美容室を経営する「NORA」が来年始めるのは、主に20〜30代の若者に向けた試みです。

「美容室」という場所だからできる、生活者を巻き込んだ脱炭素化の形とは? zeroboardを提供する株式会社ゼロボード渡慶次道隆(とけいじ みちたか)さんNORA代表の広江一也さんにお話を伺いました。

脱炭素化を目指す企業のパートナーとして。
二酸化炭素の排出量の「見える化」を通してできること

そもそもzeroboardとは、環境配慮型の経営を目指す企業向けのクラウドサービスです。2021年7月にベータ版が公開、2022年1月には製品版の販売が開始され、上場企業を中心に100社以上の企業が活用しているそう。

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渡慶次「豪雨や熱波、ハリケーンなど、異常気象と言われる自然災害や気候変動が世界各地で発生しています。これらは二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が原因と言われていて、その排出をいかに減らせるかに注目が集まっています。

もちろん僕らひとりひとりの心がけも大切なのですが、企業が製品やサービスをつくる過程で出る二酸化炭素量も無視できません。実は最近の金融市場では、企業の出す二酸化炭素量の開示が要請されるようになっているんです。

二酸化炭素排出量が市場評価に影響を及ぼす可能性があるし、また、特に若い世代は地球環境への意識が高く、そういったことに取り組む企業を支持する傾向が強いとも言われています。つまり、これまで社会貢献活動(CSR活動)として行われてきた地球環境への取り組みが、今では企業の成長と切り離せないものになっているんです」

しかし、大きな工場をいくつも抱える製造業、複雑なサプライチェーンを持つ企業、たくさんの店舗を持つ飲食チェーンなど、業種や規模によっては、二酸化炭素排出量を計算するだけでも難しいことです。その上、排出量の削減方法まで考えるのは至難の技。

渡慶次「そこでzeroboardが提案しているのは、①企業活動における二酸化炭素排出量の国際基準に基づいた算定と可視化、②二酸化炭素の削減方法の提案&削減管理、③排出削減の努力を試みた上での最終手段としてのカーボンオフセット*という3つのソリューションです。これからますます加速するであろうこの動きを広めるため、僕らのできることでさまざまな企業のサポートをしていきたいと思っています」

*この場合の カーボンオフセットとは、森林整備など温室効果ガスの削減活動から、二酸化炭素の排出量に見合ったカーボンクレジットを購入すること。を指します。

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美容室での脱炭素化って?
新しいカルチャーの発信拠点としての美容室のあり方

そんなzeroboardを来年から導入するのが渋谷の美容室「NORA」。カットやカラーで発生する二酸化炭素量を専用アプリで可視化し、お客さんまたは店舗が数十円を追加負担することでカーボンオフセットできるようになる仕組みが始まります。

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現在zeroboardを導入する企業の多くは製造業や商社などの上場企業。それとは少々毛色の異なる取り組みに見える今回のコラボレーション。そこにはどのような思いがあったのでしょうか?

広江「美容室って、コミュニティの拠点としてとても可能性のある場所だと思っています。リアルな店舗に毎月必ずお客さんが1時間やってくる。性別、年齢、国籍、立場問わず多種多様な人が訪れて、実はたくさんの情報や価値観の交換が行われているんですよね。なので、僕はもともと美容室を単に髪を切る場所だとは捉えていなくて。僕自身パンクバンドをしていたこともあり、DJイベントやアートの展示販売など、カルチャーの要素を織り交ぜた経営を行なっています。」

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仕事柄、日々多くの若者と接する機会のある広江さんは、難しいキーワードと思われがちな「脱炭素」を、あえて若者にぶつけてみる可能性を感じたと言います。

広江「今の2〜30代の子たちは、古着を着たり、洋服をリメイクして楽しんだり、自転車やスケボーを移動手段にしていたり、今の彼らにとっての格好良い選択がそのままエコな暮らしや社会につながっているように思えます。

大人がSDGsやサステナブルと頭でっかちに叫ぶのではなく、若者にとって格好良くておしゃれなものとして脱炭素を位置付けていくことが大切なんです。新しいカルチャーとしての脱炭素をNORAから発信していけたらと考えています」

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「脱炭素化」が導くこれからの暮らしとは?

20〜30代を対象にした試みについては、渡慶次さんも大きな可能性を感じていると言います。

渡慶次「脱炭素化って大企業や国が取り組むものでしょ?と思われがちですが、すべての企業活動は最終的には生活者のために存在しているので、地球環境への取り組みを加速するためには、たくさんの生活者の支持が必要です。

そのためにもっとわかりやすく脱炭素について発信し、環境負荷の低い社会をみんなでつくっていくムーブメントを起こしたいんですよね。

例えば欧米には、カーボンフットプリントと呼ばれる数値がすべての商品に表示されているスーパーがあります。商品が陳列されるまでの二酸化炭素量が数値で可視化されているんです。

これからは食品のカロリー表示のような感覚で脱炭素化が日常になる社会がやってきます。草の根的な取り組みを進める第一歩として、NORAさんとの取り組みは非常に可能性を感じています。」

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古着の購入、フリマアプリの活用、スケボーや自転車の選択などがどのくらいの二酸化炭素の削減につながっているか、わかりやすく数値化される日常がやってくるのもそう遠くないかもしれません。

shibuya good passでは、今回ご紹介したzeroboardを「導入したい!」「興味が湧いてきた!」という店舗やオーナーさんをサポートしていく予定です。NORAさんのように、自分のお店や取り組みでもぜひ導入してみたいという方は、ぜひこちらからお問い合わせください!


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